第三回リモートがっぴょう会の感想
第3回リモート合評会に参加して 小林史人
私は日本児童文学者協会主催の創作教室に通っていたことがあるので、合評会は初めてではない。オンラインによる合評会も、創作教室で知り合った仲間たちと月一で行なっている。
けれども、今回のリモート合評会の緊張感は今まで感じたことがないものだった。
リモートという環境や、タイムスケジュールが厳格に管理されていたということもあるが、なんといっても初めて会う方々との一回きりの合評会ということが大きかった。
創作教室にせよ仲間内での合評会にせよ、回を重ねていくうちにだんだん作者の人となりや作風がわかってくる。長所や欠点、そういったものも分かってくる。もちろんそれらを踏まえた意見ができることは良いことだと思うし、また同じ志を持つ仲間がいるという心強さは何物にも変えがたい。しかし、時としてそういった仲間意識のようなものに甘えてしまう事もある。
例えば講評の内容が作者を前提としたものになってしまい、結果的に作品そのものに向かわなかったり、自分でも未熟だと思う作品を提出してしまったり。
今回の合評会で提出された作品は、作風は様々あれど、どれも気迫のこもった力作ぞろいだった。「自分の力がどれほど通用するのか?」そういった作者の真剣な思いをジリジリと感じた。
その真剣さは講評でも表れていたように思う。ほめるところはほめるが、ダメ出しもキッチリする。各人が臆することなく自分の意見を言っていたことが印象に残った。
そして、濱野先生のご講評はやはり素晴らしかった。作品への視点、一文へのこだわり、さらには物書きとしての心構えなどなど、第一線の現場で活躍されている作家の言葉には重みがあった。自分以外の作品についても心に刺さるアドバイスがいくつもあり、用意していたノートにはびっしりと濱野先生の言葉が書きこまれた。ここでそれらを紹介することはしないが、個人的には特に推敲の重要性について思いを新たにしたところだ。
こういったスポットタイプの合評会は少なからず腕試しの要素があると思う。全国津々浦々、日々地道に作家としての腕を磨かれている方はたくさんいらっしゃる。そのような猛者たちの待ち受ける場に自分の作品を出すことは勇気が必要なことであり、参加しても自分が思っているような評価が得られないこともあるが、その分必ず得るものがある。真剣勝負は人を成長させる。
公募で思うような結果が残せなかったり、自分の現在地がわからなくなっていたり、そういった悩みがある方にはこのような合評会への参加をお勧めしたい。
私もここで得た学びを次に活かし、これからも精進していこうと思う。
濱野先生、スタッフの皆様、参加者の方々、ほんとうにありがとうございました。