会員の上坂和美さんにお話を伺いました
協会の講座での合評を機に新刊を上梓された会員、上坂和美さんにお話を伺いました。
新刊については以下の「新刊ブログ」をごらんください。
https://jibunkyo.or.jp/old/index.php/newbook/archives/48
オンライン合評会で、モチベーションを(上坂和美)
昨年出版しました『ショウと伊介のふしぎなスケッチブック』は、実は2回も児文協のオンライン合評会に提出させていただいた作品です。
1回目は2021年2月開催、濱野京子さん講師の「リモートがっぴょう会」です。2回目は8月開催の「がっぴょう研(※)」です。
この二つの講座が半年の間隔で開かれなかったら、あの作品はちがうものになっていたと思っています。というのは、迷走していた内容について濱野さんより「主人公とひいじいちゃんの二人の話にしたほうがいい」とアドバイスをいただいたのです。それまでは、ショウが友達たちといっしょに、ひいじいちゃんの話を聞くという設定でした。そこを書き直しました。
するとちょうど、「がっぴょう研」の募集があったのです。作品を提出すると、参加者さんたちの反応が以前より良く、「うまくいっているんだ」と実感できました。
その折、汐文社編集部長の三浦さんより「この作品は、主人公が転校生でないと成立しない」というアドバイスをいただきました。そこで、主人公を転校生にすると決断し、書き直しました。また高橋秀雄さんには「視点がぶれているところがある」と自分できづかなかった点を教えていただきました。さらに参加者の方々の貴重なご意見の数々……。なかには個人的にお手紙をくださった方もいらっしゃいました。そのつながりから勇気をいただき、モチベーションが高まっていきました。
ところで、この本は100歳の父に捧げたものです。父の95歳以降の口癖は、「空襲ほどおそろしいものはない」。今でも、空から光の爆弾が落ちてくる悪夢をみてうなされるほどです。トラウマとなっている体験を少しでもいい方向に向けるため、その生存中に本を完成させることができ、父ともども喜んでいます。
オンライン合評会開催に尽力してくださった事業部、研究部の皆様に、深くお礼申し上げます。
※ 文中の「がっぴょう研」は研究部が主催しています。協会員は、編集者や作家、ほかの書き手が参加する合評会に作品を提出することができます。