なかまというかけがえのない宝(新井爽月)
デビュー作を出版された会員の新井爽月さんも、かつては児童文学学校の受講生でした。
新井さんからのメッセージをお届けします。
私は今から12年前、文学学校39期生として当講座を受講していました。皆さんと同じように、様々な講師の方々の講義を熱心に受講していた当時のことを今でもはっきりと覚えています。書き手として上手くはなかったものの、やる気だけはやけに強かった為、長短様々な作品を毎月のように書き上げては、公募等のコンクールに挑むということを繰り返していました。
とはいえ、プロ作家を目指すとなると、やる気だけではどうにもなりませんでした。今度こそ!と自分なりに自信をもって挑んだはずの作品であっても、思うような結果は得られず、落選に次ぐ落選という日々が随分長く続いたからです。
そのため何度となく落ち込み、悲観し、自信も失いましたが、書くこと自体を諦めることはできませんでした。
諦めることはいつでもできるけれど、諦めずにいられるのは今しかない!と思っていたからです。
そんなこともあり、私のデビュー作である『なかまカナ?』(フレーベル館)は初稿から約8年もの間、改稿に改稿を重ね、ようやく出版の運びとなりました。そもそも改稿があまり得意でない私にとって、一つの作品をこんなにも長い間、書き直すということ自体、一筋縄ではいかない連続でした。書き直さなければならないとわかっていても、筆が一向に進まず、焦りばかりが募って何もアイデアが浮かばない……という時期も少なからずありました。
執筆は孤独な作業の連続ですし、先の見えない未来を悲観したこともありましたが、私の場合、諦めずに粘り強く書き続けられたのは、苦楽を共にする仲間の存在がとても大きかったと言えます。拙作『なかまカナ?』も、個性の異なる友達同士の友情をテーマにしていますが応援し合える仲間がいることは、本当に大きな力になりました。ぜひ皆さんも文学学校を通し、良き仲間と出会い、共に切磋琢磨できますように。同じ受講生の一人として、心から応援しております。