藤田のぼるの理事長ブログ

2021年2月

26、リモートのことなどあれこれ(21,2,25)

【今日は、】

◎午前中、川越市の画廊に行ってきました。知り合いの画家さんの個展を見るためです。僕の『みんなの家出』という本の絵を描いていただいた早川純子さんという絵描きさんで、その作品が思いがけなくもサンケイ児童出版文化賞(フジテレビ賞)をいただいたのも、多分に絵のインパクトがあったと思います。普通のリアリズムの作品なのですが、人間が動物(鶴と亀)の姿で描かれていて、これは編集者 のアイデアなのですが、おとなしい作品がこれで別の世界を演出するような結果になったと思っていま す。

◎その早川さんが、昨年『なまはげ』という絵本を出されたということで、それをモチーフに、個展のタイトルは「鬼我島」というものでした。なにしろなまはげは我が郷土・秋田の風習ですし、川越は近い場所でもあり、これはぜひ見に行かなければと思ったわけです。21日に、「オニライン(オンライ ンではありません)イベント 『なまはげ』絵本ができるまで」というのがあり、絵本の文章を担当された池田まき子さんが秋田から、早川さんが川越から、編集担当者が東京からと、三ヵ所をつないでのリモートのイベントでした。絵本ができあがるプロセスが、三人からそれぞれに語られ、まあ、今さらでもないですが、やはりリモートの威力を改めて実感した次 第でした。

【一昨日は、】

◎23日、天皇誕生日の祝日でしたが、協会の事務所に出かけました。この日は午後から事業部会があり、 次良丸さんも事務所に出ていました。部長の赤羽じゅんこさんを始め、何人かの部員の方が事務所に集まり、他の何人かはリモート参加という形でした。このところは、部会もほとんどリモートですから、珍しいなと思ったのですが、そういう形にしたのには理由があり、4月から始める児童文学学校のリハーサルというか、リモートのテストを兼ねての部会なのでした。

◎来期の文学学校は、リアルとリモートを組み合わせる形で行うことになっており、講師の画像の映し方、パソコンとの距離の取り方、リモート参加の方たちからの発言をどう組み合わせていくのか、というあたりは、なかなか難しいところがあります。それで、まずは協会の事務所を教室に見立てて、そのテストをしたわけです。僕はそうした具体的な部の活動には直接関わっていませんから、事業部の方たちの大変さや事務局の苦労を、これもまた改めて感じたことでした。ただ、これがうまくいけば、今後遠隔地からのリモート参加ということも可能になるわけで、これからにつながる苦労でもあると思います。

【リモートといえば……】

◎これはまったく私的な話ですが、僕の田舎の家は、家を継いだ長兄が亡くなり、その息子、つまり僕の甥が後を継いでいます。甥といっても僕の一回り下で、僕にとっては半分弟のような存在なのですが、 その娘がこの4月から東京の短大に進学するということで、問題は部屋探しなわけです。普通の状況でも秋田からわざわざ部屋探しに出てくるというのは大変ですが、コロナ禍の今ではそれは無理なことで す。それで、去年結婚した娘の連れ合いが、不動産関係と関わりのある仕事をしていることもあり、条件に見合う所を探して紹介するという話になりました。甥は県内ですが単身赴任なので、甥、奥さん、 進学する本人、僕の娘、その連れ合い、そして千葉にいる姪(つまり引っ越す本人から言えば叔母)、そして僕でラインを組み、物件の情報を共有しつつ、検討します。こちらから情報を流すだけでなく、秋田の方からもネットで探した物件について照会してきます。そして、あたりをつけた物件について、娘の連れ合いが出かけていってリモートで部屋の内外を見せてくれる、という展開になるわけです。いやいや、昭和生まれとしては、部屋もこんなふうにして探す時代になったのだ、と感心しきりでした。

 それにしても、4月から授業がきちんと行われるかどうか、感染者もやや下げ止まりの感じもあり、気がかりなところです。

2021/02/25

25、確定申告のこと(21,2,15)

【今年の確定申告】

◎今年も確定申告の時期になりました。例年は2月16日から3月15日までですが、昨年はコロナの関係で申請期間が一か月延長され、今年も同様に4月15日までとなりました。会員の皆さんの中で何割くらいの方が確定申告をされているでしょうか。意外に少ないのではという気もするので、確定申告についてのイロハを、今回書いてみたいと思います。国税庁のホームページなどを見ればかなり詳しく説明されていますが、逆に煩雑過ぎて分かりにくかったりもするので、わたしたちに関わるような点をメインに書いてみます。但し、僕の理解が正確でなかったり、ケースによって通用しなかったりする場合もあるかもしれないことをお断りしておきます。

◎確定申告をしなければならない人は、二ヵ所以上から給与をもらっている人、給与以外に所得がある人、そして自営の人(もちろん文筆業も入ります)などで、僕の場合は昨年度までは三つの大学の非常勤講師をしていましたから、その三つの条件のどれにも入りました。いつから確定申告を始めたのかは定かではありませんが、協会事務局に勤め始めた30代の頃は多少の原稿料などはありましたが、最初のうちは確定申告はしていなかったと思います。皆さんの中でも、印税や原稿料などの収入があるけれど確定申告は面倒そうなのでしていないという方が、少なからずいらっしゃると思います。それが法律違反で「脱税」になってしまうのかといえば、法律的な建前はよくわかりませんが、実際にはそんなことはなく、「税務署に見つかると延滞金を取られるぞ」というようなことはまずないと思います。なぜなら、税金を払ってないわけでなく、ほとんどの場合、印税や原稿料は支払われる際に10%(基本的に10%ですが、東日本大震災以降、それに加えて「復興特別所得税」というのが若干引かれています)天引きされているからです。それを出版社などが税務署に、本人に代わって(?)払っているわけです。 逆にいえば、わたしたちは知らないうちに自分の収入を10%引かれてしまっている、ということになり ます。

◎ところで、皆さんに出版社などから届く「支払調書」ですが、あれは地元の税務署にも送られます (但し、年額5万円以下は送られません)。ですから、税務署にはあなたが受け取った印税や原稿料は把握されているわけです。では、どれくらいの収入があったら確定申告をした方が無事かというと、これはまったく僕の個人的見解ですが、100万円あたりがひとつのラインのように思います。というのは、100万円以下の場合は、後で述べる必要経費と基礎控除を差し引けば所得金額としてはゼロに近い数字になると思うからです。ですから、概ね100万円以下の場合は、「あなたは収入が あるのに確定申告をしていませんよ」というようなご注意が税務署の方からくることは、まずないように思います。 ただ、逆に言うと、例えば手取り金額が80万円なら上記のように8万8千円引かれているわけですから、確定申告をすればその一部、場合によっては全部が戻ってくる可能性があります。ですから、多少面倒でもやってみようという方は、チャレンジする意味は充分あると思います。

【確定申告の基本的な計算方法】

◎ここで一つ言葉を整理しておくと、まずは「収入」と「所得」です。上記の場合で言えば、収入は80万円ではなく88万8千円です。「年収」というような場合、手取り金額で考えている場合もあるかも知れませんが、正確には税金や保険料など、引かれた分も含めて「収入」になります。では、所得が80万円かというとそうではなくて、収入から必要経費を引いた分が所得となります。サラリーマンの場合は、計算式があって収入から自動的に所得が割り出せるのですが、自営の場合はそうはいきません。仮に売り上げの収入が1000万あったとしても、仕入れに500万かかったりしているわけで、このあたりが計算になるわけです。特に、お店などと違って文筆業の場合は、何が必要経費なのかが漠然としていて、それによって所得が大きく変わってきます。そして、税金というのは、「収入」にかかるのではなくて「所得」に対してかかるので(だから所得税なわけで)、わたしたちが確定申告をする場合、収入からどれだけ必要経費分を引けるかの“勝負”になってきます。

◎僕の場合で言えば、必要経費として、交通費、通信費、交際費、資料費、事務費、会費などを必要経費として計上しています。評論の場合は、例えば3万円の原稿料を得るために資料費が5万円かかるというようなことは充分あり得ます。交通費や通信費などは、どこまでが印税や原稿料を得るために使ったものかは確定が難しいですが、このあたりは広く解釈していいと思います。私たちの場合は、言わばあらゆることが仕事のヒントにもなるわけで。 ともかく、例えばそうした費用が30万円かかったとして、これを上記の場合で言えば88万8千円から引きます。そうすると58万8千円になるわけで、これに対する税額は(ここは金額によりますが、この金額なら5%)29,400円になります。ところが、すでに88,000円(天引きで)払っているわけで、その差額の58,600円が戻ってくることになります。実際には扶養家族がいるかとかで控除額(必要経費とは別に、収入から引かれる金額)が違ってきたりしますが、以上が基本的な確定申告の仕組みです。

 どうでしょうか。最初は結構やっかいかもしれませんが、今はネットで簡単なソフトがあったりするようで、一度やってしまえば二回目からは簡単だと思います。お金の計算が嫌いでない方は(?)チャレンジしてみてください。ただ最初にも書きましたが、僕の経験も限られていますから、正確でない部分があるかもしれないことを、もう一度お断りしておきます。それと、帳簿記載が求められる「青色申告」の場合は、人件費なども必要経費として計上できると思いますが、そうした“本格的”な確定申告は、ここでは想定していないことも、合わせてお断りしておきます。

◎最後に、前に一度書きましたが、確定申告というと、思い出すことを一つ。以前に協会で税理士さんをお招きして、確定申告についての説明会を開催したことがありました。僕が事務局に勤めだしてそんなに時間が経ってない頃ですから、随分前のことです。その時に安房直子さんがいらして、多分安房さんが協会事務局にいらしたのはその時だけだと思うのですが、安房さんの作品世界と確定申告というのはいかにもそぐわない感じで、でも確かにメルヘン・ファンタジーの作家でも、確定申告対策はリアリズムで? 必要なわけですから、それがとても印象に残っています。

2021/02/15

24、各部・委員会合同ミーティングが行われました(21,2,5)

【合同ミーティングをやりました】

◎なんか、コロナに気を取られているうちに、節分、立春と、いわゆる「暦の上では春」となりました が、それよりも緊急事態宣言の延長という方に目も耳も向きます。延長自体に反対する人は少ないでしょうが、多くの人が言うように、「延長して(その間)どうするのか」という方策が相変わらずほとんど見えてきません。PCR検査の拡充とか、医療関係に対する大胆な補助とか、素人が考えても必要な措置が取られないのは、今の政権の無策とか能力不足とかいうのではなく(それもあるでしょうが)、結局オ リンピックやりたさで、それも決してアスリートのためとかでもなく、そこにまつわるさまざまな利権のため、としか思えません。そして、ワクチン接種でそれなりに落ち着き、例え無観客でもオリンピッ クが開催されれば、どうせ国民は今のような政権批判など忘れるだろう、とタカをくくられているのだ と思います。正直、またそんなふうになってしまうのかもしれないという気持ちが僕の中にもあり、自分の「民度」の低さとも闘わなければならないのかもしれません。

◎さて、先週の土曜日、1月30日ですが、各部・委員会合同ミーティングが、リモートで開催されました。

 協会には会報部、事業部など10の部と、「子どもと読書」「子どもと平和」の二つの委員会があります。部と委員会はどう違うのかはそれなりに厄介で、今はパスしますが、ともかく全部で12の部・ 委員会があるわけです。そして少ないところで5名、多いところだと10名ほどの部員(委員)がいます。平均すると7、8人くらいでしょうから、全部で100人くらいでしょうか。但し、一人で二つの部・ 委員会を掛け持ちしている人もいるので、多分実質80人前後かと思います。

 この各部・委員会のスタッフが二年に一回、一堂に会するのが「各部・委員会合同ミーティング」です。これが開かれるようになったのはそんなに前のことではなく、協会創立60周年の2006年度からで、なぜそれまでなかったかというと、以前は部や委員会のスタッフになるような人は大体協会の全体像が分かっていたし、部員同士も知っている場合が多かったのだと思います。しかし、60周年というより50周年あたりからは新しい会員も多く、部員・委員になって自分の部・委員会の仕事はわかるにしても、他の部・委員会が何をしているのかよくわからない、というような状況がありました。そうした中で、合同ミーティングをやろう、ということになったわけです。他の部・委員会のことを知れば、自分の部・ 委員会がやっていることの協会全体の中での位置づけも見えてくるわけですから。

 最初の5年間は毎年やっていたのですが、2010年度からは役員改選(部や委員会のメンバーが交替する)の年度だけにして、奇数年度の1月には新入会員の集いをやるという現在のパターンになりました。

【で、今回は……】

◎で、今回は合同ミーティングとしては、もちろん初めてリモート開催になったわけですが、前半は僕が75周年記念資料集のことを話し、榎本秋さんがリモートの会議や講座に関する技術的なことも含めた入門編のような話をしてくださり、後半は各部・委員会に分かれてミーティング、そして最後はいくつかの部からのアピールというプログラムでした。

◎僕の話は上記のように75周年周年記念資料集をめぐってということでしたが、今回の合同ミーティングでこの話をすることは、ちょうど創立75周年を前にした時期でもあり、ほぼ2年前から決まっていたことでした。ただ、合同ミーティングの時点では資料集は完成しているだろうという前提であったわけですが、コロナ禍の影響で編集作業が遅れ、まだできていない資料集について話すという形になりました。

 持ち時間が30分で、前の日に“リハーサル”をやったらどうしても30分を越えてしまうので、本番の時は逆に慌てたような話になってしまいました。最後の方で「迷い続けた75年」などとも言いましたが、古い文書を見ていると、児文協が決して昔から一枚岩でもなければ、かつてはみんな運動意識に燃えていたけれど今は失われている式の捉え方が大まちがいであることも見えてきます。逆に僕は「迷い続けた75年」、つまり協会が様々に試行錯誤を繰り返してきた組織だからこそ、4分の3世紀続いてきたのだと言いたかったのですが、あまりうまく話せませんでした。

◎榎本さんの話は、僕のようにOA関係に疎い人間にもよく分かる話で、リモートの利点と共に短所についてもなるほどという感じでした。榎本さんは専門学校などの講座でも、そうした両面を意識しながら、リモートをさまざまに工夫しながら活用されていて、すごいなと思う一方、これを協会に導入するのはなかなか大変とも思わされました。

 また、今回は、初めて“グループ分け”というか、60人ほどの参加者が、12の部・委員会に別れてミーティングをする時間を設定したわけですが、一部の部では画像がうまく出なかったり、ということもありました。それでもともかく児文協でこうした形でイベントができるのは、今回も会議をリードしてくれた次良丸さん、西山さん、榎本さんがいるからで、感謝です。

2021/02/05