講座ブログ

2019年4月

日本児童文学学校・感想

日本児童文学学校を受講して  斎藤恵津子

 

“駅から歩いて3分”というのがくせ者で、いつも時間のかかる私は、スマホを片手に、工事をしていたオッちゃんに聞くと、目の前でした。

「こんな所があれば行きたいなぁ」と楽しみにしていた文学学校だったので、一つ一つの話が、体にしみこんでくるようでした。
 私は今まで読む人だったのが、書いてみて、作品を書けたということに満足してしまっていました。ひとりよがりにならないで、読者にわかってもらう、おもしろがってもらうことが必要なのだとわかりました。
何となくそうだろうなとは思っていましたが、やっぱりそうなんだの連続でした。
 自分が体験したこと、思ったことはかけても、やっぱりお話をつくることは無理だと思ったこともあります。今回、赤羽さんのお話の中で、子どもをおもしろいと思える人は児童文学を書ける。ということばに力を頂きました。周りの人を観察するのも才能の一つだとおしゃられていて、私は人間観察が好きだなぁと思いました。子どもは大人には答えがわかっているようなことも、短い経験の中で、精一杯考えて、思いもよらない答えを返してきたり、本当におもしろいです。
 基本的な書き方も知らず、見よう見まねで書いていたので、原稿も書き方を比べられて、違いに納得し、読む方の大変さもわかりました。
 飲み会が気になりつつ、私にはとても有意義な1日でした。ありがとうございました。
                      

 

2019/04/26

日本児童文学学校・報告

第47期 始まりました! 松原さゆり

 

 いよいよ第47期日本児童文学学校が始まりました。

 今年の受講生は33名。教室がいっぱいになりました。昨年楽しかったから、また申し込んだといってくれた方もいました。皆さん、ワクワク、ドキドキの期待と緊張の様子です。

赤羽じゅんこさんの講義では「さあ、勇気をだして、殻をぬいで、あなたの物語を書こう!」と熱く呼びかけていました。実践的なテクニックとして、ワークシートを使った創作方法を話されました。また、グレードでおさえておく事、発想をかいていれておくアイデアボックスを作る事など話され、受講生は熱心にメモをとられていました。ご自身の現在にいたる創作体験では、会場に笑いがあふれていました。

 田部智子さんによる作品講評は、今回三作品。それぞれの作品に、受講生から積極的にたくさんの手があがりました。皆さん、とても意欲的に作品を読みこんでこられていて、おもしろかったところ、気になったところ、感想などを話されました。これは今後にも期待です。

田部智子さんは、魅力的な設定を生かすキャラクターの作り方の大切さを話されました。作品内では、動物のイメージに頼るか、こわしてキャラクターを作るかなど、ファンタジーでは不思議な存在が子どもにイメージしやすいものになっているかどうか、などです。また、リアリズムの作品では、物語の底に流れる心情も書いてあげてと話されました。

講義の後、希望者に残ってもらいフリートークの時間をもちました。スタッフをまじえ、自己紹介をし合いました。地方からも新幹線や高速バスで、来られている方もいらっしゃいました。

 第47期、活気あるスタートでした!

 

 

2019/04/24

おめでとうございます!

小さな奇跡     水凪紅美子

 

 数年前まで、ずっとひとりで、ぽつぽつ書いていました。

 作品を見てもらうのは、身近な友人くらい。公募に挑戦はしていましたが、落選ばかり。無人島の浜辺に座って、ガラスびんに入った手紙を海に放っているような、そんな心もとない日々でした。

 一大決心をして(魔がさして?) 実作通信講座を受講しましたが、最初の講評を見るのが怖かったこと! でも、優しい講師の先生が思いがけず褒めてくださって、本当にほっとしたのを覚えています。

 次の年の講師の先生は、原稿にがっつり赤を入れてくださり、句読点の打ち方もちゃんとしていないこと、変な書き癖があることに気づいたりで、顔から火が出る思いでした。

 ひとつの作品にじっくり取り組み、何度も書き直すよう指導して下さった先生もいましたし、最初に、趣味で書くのか、プロになりたいのか、覚悟を問う先生もいらっしゃいました。そして、私にはどの方の指導も、本当にためになり、はっとさせられるものでした。

 そして今回、思いがけなく受賞させていただいて、私にとってはガラス瓶に返事が入って戻ってきたような、奇跡の瞬間に思えました。

 自分の作品を批評されるのは怖いものです。でも、得るものはきっとあります。あなたにとっての奇跡の瞬間が、訪れるかもしれません。

 

今回は、第35回日産 童話と絵本のグランプリで、みごと大賞を受賞されました水凪絵美子さんに寄稿していただきました。

大賞の受賞、本当におめでとうございます。これを機にますますのご活躍をお祈りいたします。

グランプリのホームページ、こちらから見られます

 

2019/04/22

児童文学学校から創作教室へ

児童文学学校から創作教室へ   琴森雪湖

 

児文協の講座にはもう行かない!――昨年の9月に第46期児童文学学校を修了した時、帰りの新幹線でそう思いました。悔しくて。

いくつも公募を落選、いえ、玉砕し続けていた私は、まさに藁をもすがる気持ちで文学学校に申し込みました。受講してみると、すがろうとしてつかんでいたものは、藁などではなく金銀の財宝。学んだことや先生や受講生の方々との出会いは、私の心の中の「創作の部屋」にしまわれ、意欲を高め、アイデアを引き出し、推敲するときのチェック機能を担いはじめるようになりました。次のステップとしての創作教室は、当然のことながら受講を、と思っていたのですが……。土曜日。しかも月に2回。個人的な事情でこの物理的な条件がどうしてもクリアできず、断念するしかありませんでした。

しかし、やはりあきらめることができず、いろいろいろいろ……の結果、この度、第69期創作教室を受講させていただくことが叶いました。

4月6日、初日。中島ビルに着き、まずはエレベーター前におられた何者かの像にお辞儀をして手を合わせました。5階に着くと重々しい鉄の扉を小さくノック。そおっと開けると、講師の先生や受講生の方たちの姿。なによりもみなさんを囲む児童書の山!ドキドキがワクワクに変わった瞬間でした。その後の活発な合評会は、創作に関する具体的なことに踏み込んだ、それでいてあたたかな講師の先生のコメントに支えられ、とてもなごやかな雰囲気の中で行われました。

 児文協の講座に来たかった!――素直にそう思えることが、うれしいです。

 

2019/04/11

おめでとうございます!

創作教室、第55期(途中から)から第58期を受講された森埜こみちさんが、児童文芸家協会・新人賞を受賞されました。

おめでとうございます。

作品は『わたしの空と五・七・五』講談社 です。

森埜こみちさんは、3月7日に創作教室を受講された頃のことを、講座ブログに書いてくれています。

あわせてみてください。

2019/04/07

トークショーに参加して Ⅲ

扉の前に立つ 渡辺 朋 (第10回大賞受賞)

 

デビューというとてつもなく大きな扉がある。私がこの扉をくぐれる日は来るのだろうか。扉の前で、そう思ってた。

現在、私はまだデビューはしていない。今も扉の前にいる。一応整理券をいただけたようだが、扉を開くにはまだいくつもの試練が待っている。そんな私が、一日講座の中で、「公募までにした三つのこと」というお題をいただいた。

恐縮しながらも、受賞を目指す方々に少しでもお役に立てることを、と思い、私なりに頑張って話したが、うーん、当たり前のことだったかしら、偉そうだったかしら、と、終わった後も、一人反省をしている。振り返れば、大賞をいただく前の年も、その前の年も、私としては「これだ!」という作品を応募し、そして落ちた。その違いも分からないというのに。とにかくもう、いい絵本を作るしかないのだが、扉は頑丈だ。

でも、どうやらデビューの扉をやっとのことで開けたとしても、次から次へと扉は続いているらしい。もしかして地獄の入口だった?

創作の先輩方は、いつだってそんな扉の前に立って、「この扉を開いてやる」とにらんでいる。挑戦している背中は眩しい。

私はまだ一枚目の扉の前。不安もあるが、体当たりでぶつかっていくしかない。

そんな思いにしてくれた一日講座でした。

 

 

2019/04/05

トークショーに参加して Ⅱ

一日講座に参加して かねまつすみれ(第七回受賞)

 

 当日は沢山の方々にご参加をいただきまして、ありがとうございました。

 始めての経験で、毎朝欠かさず観ている朝ドラをすっかり忘れてしまう程

緊張しておりました。

 自分の応募経験から感じ取ったこと、学んだことなどを交えながらお話し

させていただきました。明日の元気に繋がるようなことが、何か一つでもお

届けできておりましたら幸いです。

 きむらゆういちさんの「とにかく書くしかない」の言葉に「やはりそこし

かないんだ!」と、背筋が伸びる思いでした。

 終了後の親睦会では、先輩の作家の皆さんからも良い刺激を頂き、刺激の

フルコースをごちそうになったような一日でした。

 受賞者の皆さんとも親しくお話させて頂き、まるで同期の仲間と出会えた

ような安心感でした。

 豊かで贅沢な一日となりました。ありがとうございました。

 

2019/04/04

トークショーに参加して

一日講座体験記  

清水真裕(第二回絵本テキスト募集(現・絵本テキスト大賞) 優秀賞)

 

 

来たる春、3月に控えたトークショー。(いったい何を話したら…?)と、冬はこたつで頭を抱えておりました。振り返れば、第二回絵本テキスト募集ははや10年前。当時の自分をゆり起こし、「受賞までにした三つのこと」を引っぱり出そうとするも、なかなかこたつから外に出てきません。「あたたかくなったら出ていくよ、テキストの時もそうだったでしょ?」と。どうやら人の性分は、10年たっても変わりません。

当日、代々木は早春の薄曇り。どんな1日になるやらと、メモを手に、会場の右隅に小さくなっておりました。いざ、壇上にあがると、参加者の視線が集まり、最初に話を切り出すと、会場中のペンがいっせいに動き…。(うわ、これはすごい)。緊張している頭にも、参加者の皆さんの創作への熱が、ブワッとかぶさってくるのを感じたのです。

そして、隣に居られたかねまつさん、渡辺さんのお話は、おもしろくって個性的。絵本への想いの強さが、頼もしくって心地よい。ホッとしながら席にもどった時には、生で感じた作家のエネルギーに、わたしもとても温められていたのでした。

大熊編集長のお話は、「絵本のテキストが何を目指せばいいか」という、大切な指標を示してくださいました。そして、子どものための作品が、どんなに大事に作られているか、あらためて教えてくださいました。

きむら先生の創作のひみつの一片は、「日常の中に作品の核は隠されている」、「身近な遊びの中にドキドキの秘訣がある」、というもの。それを聞いては、もう期待せずにはいられません。それじゃあ、いま目の前にある風景には、どんな物語がかくれているのか?  講演を聞いて以来、ずっとわくわくしております。

まもなく桜も満開です。春は物語も動き出します。それを探して見つけ出し、がっちりつかまえるまで追い駆ける。また、おもしろい絵本テキストに、出会うことはできるでしょうか?

 

3月16日の一日講座では、絵本テキストからデビューした、また、デビューが決まっている、3人の新人さんに

壇にあがっていただき、トークショーをしました。3人それぞれ、個性的で魅力にあふれていて、とても好評でした。

今日、明日、明後日と、その3人の感想を載せていきます。

4月になり、事業部も新年度になりました。

6日、土曜日から第69期・創作教室も始まります。

 

2019/04/03

第68期 創作教室講師より

創作教室を終えて  加藤 純子

 

十数年ぶりに講師として、一年間、創作教室にお邪魔しました。

十数年前に受講した人たちは、すでに作家となり活躍している人たちがたくさんいます。

今回も、そうした書き手の人たちと出会えることを楽しみに伺わせていただきました。教室の熱気は昔と変わりませんでした。そして書く意欲も同じでした。

ただ違っていたのは、描きたいジャンルの多様性です。時代性というのは作品にも現れます。しかし根底を流れている、「何を書きたいのか」「どんな人間を書きたいか」「どんな世界観を示したいのか」と言った核のようなものは同じです。

十数年前も、今も、私は作品の新しさは、作者ならではの「発見」だと思っています。すでに書き尽くされた手垢のついた人間像やテーマを書いていても、新しさにはなりません。

創作教室の最後の日に、皆さんに申し上げたのは、「想像力だけで書いていても、いずれ行き詰まってしまう。もっといろんな人間や核になるテーマを勉強してインプットして書いて欲しい」ということでした。

文章は書き続けていれば、必ず上手になります。上手な文章で、すでに書き尽くされた人間像や関係性を描いても、新鮮な作品にはなりません。

何に気づくか。何を発見するか。その視点をいつも頭に入れながら世界を見渡し、本を読み、気になったら取材するという姿勢を持たない限り、魅力的な児童文学は生まれてこないと思います。

そして本をたくさん読むこと。読んで学ぶこと。

・・そういえば、十数年前の児童文学学校の修了式に、こんなご挨拶をしたことを思い出しました。

「読んで読んで読んで。書いて書いて書いての千本ノックをすること」

今でもその愚直さと勤勉さが、作家になる一番の近道だと私は信じて疑いません。

 

第68期、創作教室が3月で終わりました。

引き続き、第69期は、津久井恵さんと後藤みわこさんの講師で始まります。

4月6日は、部長の赤羽が担当します。

 

 

2019/04/01