小さな奇跡 水凪紅美子
数年前まで、ずっとひとりで、ぽつぽつ書いていました。
作品を見てもらうのは、身近な友人くらい。公募に挑戦はしていましたが、落選ばかり。無人島の浜辺に座って、ガラスびんに入った手紙を海に放っているような、そんな心もとない日々でした。
一大決心をして(魔がさして?) 実作通信講座を受講しましたが、最初の講評を見るのが怖かったこと! でも、優しい講師の先生が思いがけず褒めてくださって、本当にほっとしたのを覚えています。
次の年の講師の先生は、原稿にがっつり赤を入れてくださり、句読点の打ち方もちゃんとしていないこと、変な書き癖があることに気づいたりで、顔から火が出る思いでした。
ひとつの作品にじっくり取り組み、何度も書き直すよう指導して下さった先生もいましたし、最初に、趣味で書くのか、プロになりたいのか、覚悟を問う先生もいらっしゃいました。そして、私にはどの方の指導も、本当にためになり、はっとさせられるものでした。
そして今回、思いがけなく受賞させていただいて、私にとってはガラス瓶に返事が入って戻ってきたような、奇跡の瞬間に思えました。
自分の作品を批評されるのは怖いものです。でも、得るものはきっとあります。あなたにとっての奇跡の瞬間が、訪れるかもしれません。
今回は、第35回日産 童話と絵本のグランプリで、みごと大賞を受賞されました水凪絵美子さんに寄稿していただきました。
大賞の受賞、本当におめでとうございます。これを機にますますのご活躍をお祈りいたします。
グランプリのホームページ、こちらから見られます