創作教室を終えて 加藤 純子
十数年ぶりに講師として、一年間、創作教室にお邪魔しました。
十数年前に受講した人たちは、すでに作家となり活躍している人たちがたくさんいます。
今回も、そうした書き手の人たちと出会えることを楽しみに伺わせていただきました。教室の熱気は昔と変わりませんでした。そして書く意欲も同じでした。
ただ違っていたのは、描きたいジャンルの多様性です。時代性というのは作品にも現れます。しかし根底を流れている、「何を書きたいのか」「どんな人間を書きたいか」「どんな世界観を示したいのか」と言った核のようなものは同じです。
十数年前も、今も、私は作品の新しさは、作者ならではの「発見」だと思っています。すでに書き尽くされた手垢のついた人間像やテーマを書いていても、新しさにはなりません。
創作教室の最後の日に、皆さんに申し上げたのは、「想像力だけで書いていても、いずれ行き詰まってしまう。もっといろんな人間や核になるテーマを勉強してインプットして書いて欲しい」ということでした。
文章は書き続けていれば、必ず上手になります。上手な文章で、すでに書き尽くされた人間像や関係性を描いても、新鮮な作品にはなりません。
何に気づくか。何を発見するか。その視点をいつも頭に入れながら世界を見渡し、本を読み、気になったら取材するという姿勢を持たない限り、魅力的な児童文学は生まれてこないと思います。
そして本をたくさん読むこと。読んで学ぶこと。
・・そういえば、十数年前の児童文学学校の修了式に、こんなご挨拶をしたことを思い出しました。
「読んで読んで読んで。書いて書いて書いての千本ノックをすること」
今でもその愚直さと勤勉さが、作家になる一番の近道だと私は信じて疑いません。
第68期、創作教室が3月で終わりました。
引き続き、第69期は、津久井恵さんと後藤みわこさんの講師で始まります。
4月6日は、部長の赤羽が担当します。