94、図書館の話(2023,2,5)
【新人賞の話】
・昨日は事務局に出て、前回書いた文学賞のリストの修正と、新人賞の対象作品のチェックをしました。協会の新人賞は、その著者の「3冊目程度まで」となっています。「程度」というのは、微妙な表現ですが、かつては最初の本(「処女出版」という変な言い方がありましたが)のみが対象でした。(僕が関わる前ですが、かつては同人誌の掲載作品なども対象でした。安房直子さんなどはそれで新人賞を受賞しています。)それが、1冊目はあまり注目されなかったものの2冊目で力作を出版、といったケースが結構見られるようになり、「2冊目まで」としたのも、大分前のことになります。
ただ、出版状況が厳しくなる中で、特に高学年向けの本がなかなか出せず、3冊目でようやくその書き手本来の持ち味を発揮できた、といったケースも見られるようになり、これもそんなに最近ではありませんが、3冊目までを対象にすることにしたわけです。ただ、自費出版的な本をどうカウントするかといった問題や、逆に1冊目から(新人賞は逃すも)かなり力作を出している人の3冊目と、本当に1冊目の人を同列に扱っていいかといった問題もあり、「3冊目程度」として、機械的な運用を避けたり、3冊目の人は多少ハードルを上げたりしているわけです。このあたりは、なかなか難しいことですが、協会新人賞の歴代の受賞者を見ると、本当によくぞ有望な書き手を見逃さなかったな、と感心してしまいます。
【さて、図書館ですが】
・これも前回書いたかと思いますが、僕も文学賞委員をしています。去年出た本をそれなりに読んでいるとはいえ、リストを作ると、当然気になる本で読んでいないものが結構あることに気づきます。協会事務局にあるものもありますが、ないものは図書館で借りることになります。
僕は公共図書館のカードを、6枚持っています。地元の坂戸市の図書館のカードの他に、今は(多分、全国的にそうだと思いますが)近隣の市町村の図書館のカードも作れるわけで、毛呂山町、鶴ヶ島市、川越市の図書館のカードを持っています。更に協会事務局は新宿区にありますから、勤務先という形で新宿区の図書館のカードもあります。これに、埼玉県立図書館のカードを加えて6枚です。3年前までは、講師をしている3つの大学図書館のカードも加え、9j枚を駆使(?)していました。
j県立図書館は、古い本とかが必要な時に使うので、日常的に使うのは他の5館。一番近いのは(僕の自宅は、坂戸市の西端なので)隣町の毛呂山図書館で、数えたことはありませんが、年間100冊前後は借りるのではないでしょうか。ですから、受付のカウンターの方たちも「また来たな」という感じですが、小説や歴史の本などに加え、絵本や児童書をしばしば借りるわけで、「このオッサンは何者?」と思われているのでは、というのは自意識過剰でしょうか。また、鶴ヶ島や川越は本館までは距離がありますが、どちらも事務局に行く時に乗る東上線の駅前に分館があるので、借りる時も返す時も便利です。5館合わせると、年間で借りる数は相当な量になると思います。
・僕はこういう仕事をしている割には、蔵書は少ない方だと思いますが、持っている本は学生時代の60年代終わり頃からになります。学生時代、大学の図書館にはあまり寄り付きませんでしたし、行ったとしても児童書はほとんどなかったと思います。今思えば秋田市内の県立図書館や市立図書館に行けば当然児童書はあったはずですが、そうした発想というか、習慣がありませんでした。ですから、読みたい本は基本的に買い求めたわけです。ところが、どこでどうやって買ったのかほとんど覚えていません。むろん、市内の本屋でお金を出して買ったわけで(笑)、貧乏学生がよく買えたな、と思ってしまいます。ただ、そのおかげで、60年代終わりから70年代にかけての主要な本は、大体本棚にそろっているという状態です。
これからも、図書館にはおおいにお世話になるでしょう。いま民間委託が主流になるなど、公共図書館はさまざまな問題を抱えていると思いますが、児童書の出版がなんとか支えられているのも、こうした図書館の存在抜きには語られません。『日本児童文学』についても同様です。皆さんの地元の図書館で『日本児童文学』がないところには、ぜひリクエストしてください。多分、上記のように今は広域での貸し借りが浸透しているので、どこからか取り寄せになってしまうと思いますが、それでも図書館の人にこの雑誌の存在を知らせることになるわけで、ぜひリクエストを続けていただければと思います。