82、お金を拾った話(2022,10,5)
【市役所支所の帰りに】
・前回の「懸賞に当たった話」に続いて、「お金を拾った話」というショーモナイ話題で恐縮ですが、2、3日前に市役所の支所に、必要があって戸籍謄本を取りに行きました。支所(公民館も一緒ですが)は、歩いて5分もかからない所にあり、それでも自転車で行く場合もありますが、天気も良かったので歩いていきました。戸籍謄本を受け取ったら、手数料が450円ということで、「結構かかるんだな」と思い、500円玉をだして50円のお釣りをもらいました。
その帰り道、支所と僕の家のちょうど中間ぐらいのところでバス通りを横切ります。そこが横断歩道になっているわけです。そこを渡る途中何の気なしに下を見ると、光るものがあります。500円玉に見えました。拾ってみたら、本当に500円でした。「これは、市役所の神様(笑)がお金を返したくれたのかな」と思い、持って帰り、よく洗って財布にしまいました。何円以上だと警察に届けなければいけない、という規定があるのでしょうか。まあ、ここに書いても捕まることはないと思いますが。
【お金を拾った話】
・思い出してみると、お金を拾ったことで記憶に残っているのは2回。1回目は子どもの時で、やはり500円でした。といっても、僕が小学校中学年くらいの時ですから、1960年前後、今の価値でいえば5000円くらいでしょうか。当時は「500円札」でした。学校の帰りで、友だちと一緒でしたが、ちょうど近くに派出所があり、勇んで(だったような気がします)届けに行きました。「良く届けてくれたね」みたいなことを言われたような気がします。書類を作ってくれて、家に帰り、母親に報告したのだと思います。
・このシステムは昔も今も変わらないと思いますが、拾われたお金は半年間保管され、持ち主が現れなければ拾った人のものになります。そのことは派出所で教えられたと思いますが、子どものことですから、忘れていたのではないでしょうか。やがて母親から半年が過ぎたことが告げられ、兄が銀行に取りに行ってくれました。兄といっても末っ子の僕より17才上で、学校の先生でした。当時でも銀行で500円を下ろすという人は少なかったようで(今のように機械で手軽に入れたり出したりするのと違い、下ろすとなれば、ある程度まとまった金額の場合が多かったようです)、窓口で500円を受け取るのは恥ずかしかった、と兄から言われた覚えがあります。その500円をどう使ったかは覚えていません。
・二度目は大学生の時でした。僕は秋田市の大学の寮に住んでいましたが、秋田駅の駅前広場で、銀行の封筒を拾ったのです。その時は一人だったように思います。拾ってみると、手の切れるような(という感じでした)1万円札が1枚と千円札が1枚入っていました。なにしろ、貧乏学生、場所がそこでなければ多分そのまま懐に入れたと思いますが、駅前広場という人が多い場所で、すぐ横に派出所があります。しかたなく(?)届けました。
そこで書類を作ってもらったわけですが、今度は「半年後までに持ち主が現れなければ、自分のものになる」ということは知っています。ただ、銀行から下ろしたばかりのようだし、持ち主は当然現れるだろう、と思いました。
・「おっ」と思ったのは、半年後の日付でした。12月24日だったのです。ということは、その日は6月の24日(25日?)だったのでしょう。「こりゃあ、クリスマスプレゼントだな」と、内心笑ってしまいました。当時の1万円は今の5万円くらいでしょうか。僕からすれば大金で上記のように当然持ち主が現れると思いましたが、まあその程度のお金で、結局持ち主は現れませんでした。どうせ、もらえないだろうと思っていたので、このことは寮で吹聴していたので、もらった1万1千円は、寮の友だちやらで忘年会で(?)飲んで終わりだったと思います。
・このことを題材にして、大分前ですが、実話風の短編に仕上げたことがあります。学研の学年雑誌だったか。〈ぼく〉は、そのまま学生寮に住む大学生という設定。半年後の12月24日に1万円を受け取った帰り道、目の前をサンタクロースが歩いています。思わず後を追いかけるのですが、見失ってしまいます。その時に、子どもの頃にお金を拾ったことを思いだして、急に母親のことを思いだし、急いで家に帰るのです。1万円で、ケーキと母親へのプレゼントを買って。きっとこのお金は、そんなに遠くにいるわけではないのにちっとも家に帰らない僕への、サンタからのメッセージだと思いながら……。
という話でした。考えてみると、10歳の頃に500円、20歳の頃に1万円ですから、その法則からすると40歳の頃に20万円を拾わないといけないのですが、72歳の今日までサンタはやってきません。今回500円拾ったのは原点に帰れ(!?)ということでしょうか。