藤田のぼるの理事長ブログ

92、今年の抱負です(2023,1,15)

【遅まきながら】

・この年になると(僕は1950年生まれなので、年齢は計算しやすいです)、「今年の抱負」といっても、そんなに飛び切りなことがあるわけではなく、むしろし残していることをいかに片づけるか、みたいなことになるのですが、自分の整理のためにも、半月遅れですが、書いておきたいと思います。

 第一は、なんといっても個人誌『ドボルザークの髭』の発行速度を上げること。この個人誌は、まあ僕のライフワークともいえる「現代児童文学論」を書くために発刊したものですが、2015年11月に創刊しましたから、もう七年以上経っていますが、大変恥ずかしながら、まだ9号でようやく1960年代が終わり、今70年代を書き始めている、という状態です。言い訳はいろいろありますが、言い訳するヒマがあったら書け、という具合で、10号は9割方できています。僕は1970年前後に本格的に児童文学を読み始めましたから、ようやく僕のリアルタイムの経験で書ける時代になったので以前に書いたものも援用できることになり、ともかくペースを速める、具体的には今年中に3号は出して、来年くらいには70年代を終わらせ、そこで一区切りにできればと念じています。

 後は順不同という感じですが、はっきりした宿題としては新美南吉著作権管理委員会の資料をまとめて、新美南吉記念館の来年の紀要に載せられるようにしなければなりません。協会が新美南吉著作権管理委員会の窓口になっていたことは以前に書いたと思いますが、そのため南吉作品がどこでどのように使われたのかが(絵本などはもちろんですが、「ごん狐」や「手袋を買いに」などは、人形劇とかアニメとか、いわゆる二次的使用がものすごく多いのです)、すべてファイルになっています。そのファイルはいずれ新美南吉記念館に寄贈するつもりですが、それにあたって、実際に著作権管理に当たった者の責任として、南吉作品の使用の実態について、大雑把にでもまとめて文章にしたいわけです。「ごんぎつね」がすべての国語教科書に載っていることもあり、ある意味、新美南吉は、戦後もっとも読まれた童話作家かもしれません。これはすでに南吉記念館の遠山館長に約束したことなので、明確に「宿題」です。 著作権管理ということで言えば、昨年から、協会に著作権を遺贈してくださった那須正幹さんの著作権管理についてもいくつか宿題というか、今年中にしておきたいこと、しなければならないことがありますが、この具体的な中身については、改めて書きます。

【抱負というか、野心というか】

・もう一つ、僕が今年中に何とかしたいなと思っているのは、僕がそもそも児童文学に関わるきっかけを作ってくれた斎藤隆介に関する仕事です。去年、黒姫童話館で「八郎」の1950年のオリジナル原稿を見たことはすでに書きましたが、『八郎』や『モチモチの木』など、絵本化されて多くの人に親しまれてきたものの、僕からすると、まだ絵本になっていないものでこれを絵本にしたらいいだろうなと思う作品が、いくつかあります。なんとかその可能性を探りたい。そして二年後2025年は没後40年になるので、どこかで斎藤隆介展をやってくれないかな、というのが、まあ僕の“野心”です。今年は6月に秋田市で、11月に八郎潟町で講演が予定されており、秋田の方たちとも共に、その可能性を探れればと願っています。

 最後に、これはまあ“夢”のレベルですが、去年の12月5日付で、詩人の小泉周二さんを囲む会に行きますという話を書きましたが、とても楽しい会でした。そこで僕はビールの勢いも手伝って、「小泉さんの詩に曲をつけたい」と宣言(?)したのでした。小泉さんはご自分で自作の詩にいくつも曲をつけて、CDも出しておられます。僕はどれも大好きで、できたら、まだ曲がついてない詩に曲をつけてみたいなと、これはまさしく野心ですね(笑)。野心のまま終わるかもしれませんが、ここに書いて、自分へのプレッシャーにしておきたいと思います。  

 最後、いかにもなことではありますが、多分(将来も含め)日本の歴史の中で同じ年代の人間がもっとも多い世代の一人として、絶対に「戦前」にはしないよう、子どもや孫世代が武器を持たせられるようなことにならないよう、今まで以上に声を大きくしなければと、やはり書かずにはいられません。

2023/01/15