みなさま、こんにちは。
今期の機関誌部ブログ更新を担当いたします山﨑と申します。
宜しくお願いいたします。
2020年夏、奥山恵編集長率いる新体制の機関誌部がスタートしました☆
(前編集長の高橋さん、4年間お疲れ様でした! 高橋さんからの襷、繋げていきます!)
メンバーは奥山恵(編集長)・相川美恵子・小川英子・指田和・次良丸忍・せいのあつこ・東野司・間中ケイ子・山﨑道子の9名。
新体制始動ということで、まず初めに編集長の奥山さんからのご挨拶をお届けいたします。
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こんにちは。
6月に、歴史ある雑誌の編集長を務めることが決まり、
当初はプレッシャーに押しつぶされそうでしたが、
たいへん心強い編集委員のみなさんと、
毎月会議を重ねていくうちに、
議論が深まり、新企画や特集テーマが練り上げられていくのが、
やっと少しずつおもしろく感じられるようになってきました。
新編集部最初の号は,創作特集ですが,
じつは、私自身が短歌を作っていることもあり、
今回のこだわりとしては、詩・短編・掌編に加えて、
俳句・短歌・エッセイ・ノンフィクションなど、
さまざまな創作表現を集めたことです。
特集テーマは「ディスタンス」。
もちろん、新型コロナで広まった
「ソーシャル・ディスタンス」という言葉も連想されますが、
このテーマを決めるときに、委員の指田さんが、
「From A Distance」という歌を思い出したと言ってくださり、
この歌のもつ地球規模の視野に改めて感銘を受けました。
「You Tube」でも聴けると思いますので、
ぜひ、聴いてみてください。
それから、「日本児童文学」の顔ともいえる表紙を,
今回、味戸ケイコさんにお願いしました。
味戸ケイコさんといえば、絵本や児童書にこれまでもたくさんの絵を描かれていて、
ただ明るいだけではない、子どもの影の部分も含めた印象的な絵がたくさんありますが、
じつは今年、奥山が千葉県柏市でやっている本屋「ハックルベリーブックス」で、
味戸ケイコさんの原画展をさせていただき,
コロナの中でのいろいろなやりとりで、味戸さんのお人柄にも触れて、
ぜひ表紙をお願いしたいと思ったのでした。
味戸さんの絵は、5-6月号まで続きます。
さっそく新年号にすてきな絵が届きました。
降りしきる雪の中を鳥の背に乗り、一冊の本を抱えて飛ぶ女の子、
遠くの町や空のむこうのかすかな青空…。
いろいろなことを思わせる表紙絵です。
この絵の力に背中を押されて、これから2年間、
豊かな児童文学の世界に飛び出していきたいと思っています。
どうぞよろしくお願いいたします。
奥山恵
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部会も今月で第六回。(ちなみに第一回は7月15日。全六回ともzoom会議です)
すでに、2022年の特集についての話し合いをしています。
たくさんの人が手に取りたくなるような機関誌を目指して、アイデアを出し合っています。
zoom会議で画面越しですが、奥山編集長はじめ、みなさんの熱い想いがビンビン伝わってきます!
私はいまだに緊張しっぱなしですが……。
マスクなしで顔を合わせることも緊張の要因のひとつかもしれません。
口紅が久しぶりすぎて“口紅って賞味期限あるのかな”と感じたり、うす~く塗ったのにやけに厚化粧に感じたり。
毎回部会に参加する我が家のサビ猫。サビ猫がひざに乗ってきても動きが目立たないように、服は猫の保護色を選んでいるなど、へんてこな配慮や見た目を気にしている自分に笑っております。
次回の部会は1月20日です。
また、ご報告いたします!
山﨑
日本児童文学者協会の「糸魚川児童文学セミナー」の成功に向けて、本誌は9・10月号に特集を組む。題して「雪国が紡ぐ物語――新潟と北陸の児童文学」。
越前、越中、越後の「越の国」と「加賀の国」の特集になるわけだが、越後新潟の糸魚川の児童文学作家、横沢彰氏にも、特集の中で自作を語ってもらう。
そんな横沢氏のご息女でタレントとしても活躍されている横澤夏子さん主演の映画「えちてつ物語」が封切られた。舞台は越前、福井県の「えちぜん鉄道」。横澤夏子扮する車内アテンダントの物語だ。
パンフレットのコピーがいい(映画もよかった)。「福井県の青い空の下。〈えちぜん鉄道〉を舞台に、あたたかい感動が日本中を駆け抜けます!」。また別のコピーには「心の故郷が、ここにある―。」
「糸魚川児童文学セミナー」のオープニング飾ってくれているような映画だった。
『日本児童文学』も雪国の暮らしに「心の故郷」を探そうとした。作品を「雪国が紡いだ世界」と捉え、新潟県在住の作家、杉みき子さんを訪ね、インタビューをする。ご期待ください。 (編集長 高橋秀雄)
北海道の澤出真紀子さんより、11・12月号のご感想をいただきました。
本誌でご紹介したいのですが、誌面の関係で難しいので、このブログに掲載させていただきます。(編集部)
今年から連載のはじまった細谷建治さんの評論「児童文学批評というたおやかな流れの中で」がとうとう最終回を迎えました。毎回楽しみに読んでいた読者のひとりとしてはさみしい限りです。「へいわかるた」が「げんきかるた」へと変わっていたときの衝撃について読んでいて、ある作品を思い出しました。
日本児童文学者協会から1998年に刊行された『北海道の童話 1』(リブリオ出版)所収の、井上二美さんの「朴さんの宝もの」という戦争児童文学です。本が出版されてすぐこの作品を読んで二十年近くが経ちました。わたしの記憶のなかでは、戦時中、日本にいて虐げられていた朝鮮人の家族を良心的な日本人の家族がたすける物話でした。ですが、作品を改めて読み返してみたところ、日本が敗戦した年の樺太が舞台となっており、苦しい生活を送る日本人家族を、同じ下宿の朝鮮人の朴さんが折に触れて助ける話でした。朴さんにお礼を述べつつも、日本人の家族がようやく祖国へと引き揚げることになった前日、父親は嬉々として「あしたの出発は、日本晴れだぁ!」と叫ぶのです。その瞬間、読み手のわたしにはその言葉が「日本万歳」と響いたのでした。日本にいたときには炭坑で日本人になぐられ、ひどいめにあい、家族とも離ればなれで今も朝鮮に帰ることのできない朴さん。その朴さんの前で不用意にも「日本晴れ」という無神経さ。あの作品が、朴さんに感謝しながらも、無意識のうちに朝鮮人を下にみている日本人のエゴをあぶりだしている作品ならわかるのです。しかしながら、作品は残念なことに善良な日本人という枠組みから抜け出ていないと言わざるを得ませんでした。感謝という善意の底に潜む欺瞞。善意の持つ危うさ。嘘に込められた真実。嘘よりも善意の方がより戦争に近いのだと思いました。そして、いつのまにか都合よくすりかわっていたわたしの記憶。わたしのなかにも確かに刷り込まれている、朝鮮のひとに対する優越感に気づかされ、はっとなりました。
<特集 子どもたちはどこへ>は、どの論も読み応えがありました。なかでも、とりわけ野澤朋子さんの評論「世界の片隅の人間」に深く共感いたしました。芹沢俊介氏の『「存在論的ひきこもり」論』を引き、「自分が自分であるために必要な『存在論的ひきこもり』」について言及している点、特にひきこもりの肯定的側面にふれているところはうん、うんと頷きながら読みました。「他者を受容することは、自己の受容となり」、そのことは同時に、自分が誰かのそばにいる他者となることを意味します。折出健二氏はその著書『他者ありて私は誰かの他者になる』のなかで、次のように述べています。
「みずから弱き人間である自分が、誰かに対して『いつもあなたのそばにいる』と言えるのは、自分の中に宿している類的な存在、自分が誰かの他者として生きる能力(他者性)をすなおに表現する生き方なのです。それは、あなたのそばにいることで、あなたも私のそばに居続けて欲しい、というメッセージを含んでいます」と。
ひとはひとのなかで、ひとになります。ひととの出会いで変わっていきます。ひとは生きづらさを抱えながら、抱えている現在だからこそ、均質的でない固有のつながりを他者と結んでいけるのだと、野澤さんの評論を読んで感じました。
民主教育研究所で発行している『季刊 人間と教育』95号(最新号)の特集は、「子どもの貧困ー子ども・若者支援とその課題」で、今号の『日本児童文学』と併せて読むと、現代の子どもたちが置かれている状況が、よりいっそうわかります。「季刊 人間と教育」95号から、赤木かん子さんの新連載「児童文学なんてありませんっ!」がはじまりました。今号の『日本児童文学』においての村中李衣さんの次の指摘と呼応しているかのようでした。
「生きづらい子どもたちの現在を映し出していると評価された日本の児童文学作品を集中して読んだ。そこで強く感じたのは、読み手である私の『リアルな身体性』を揺さぶるような作品が少ないということだ」。
「児童文学の終焉」ということも囁かれている今日ですが、村中さんが論の最後に「児童文学は、社会を変えたりはできない。でも、たった一冊の児童文学作品と出会った子どもが、新しい一歩を踏み出す可能性はある」と述べている言葉をしっかり胸に刻みつつ、これからの赤木かん子さんの評論の展開をみつめていきたいと思います。
『日本児童文学』を足掛かりにして、いろんなことについて考える機会をいただきました。次号も楽しみにしています。どうもありがとうございました。(北海道・澤出真紀子)
◆雑誌を介しておしゃべりしあう「井戸端会議」なる場を用意しております。座長は西山編集委員が務め、適宜、高橋編集長始め、執筆者も参加します。参加費無料!申込み不要!「日本児童文学」という井戸を囲んで、お菓子をつまみながらの自由なおしゃべりです。どうぞお気軽に立ち寄ってみてください。
次回は、10/14(土)午後2時より、日本児童文学者協会事務局です。(編集部)
前回の更新から、なんと半年も更新なし。何とも恥ずかしい限りです。ずっと「栃木ではまだブルブル――」とからかわれていました。ほんと、情けない。
そんな編集長から、みなさまへのお願いです。
『日本児童文学』2018年3・4月号では『赤い鳥』を特集します。『赤い鳥』は日本の児童文学の魁になったことはご存知の通りです。その『赤い鳥』が来年、創刊100年を迎えます。『赤い鳥』の名作童話集を出版していた小峰書店を始め、『赤い鳥』を主宰していた鈴木三重吉の旧居があった東京都豊島区、発祥の地の広島市や、多くの関係先が創刊100年を記念したイベントを行うことと思われます。
『赤い鳥』に作品を寄せていた新美南吉(新美南吉記念館)関係、佐藤義美(佐藤義美記念館)関係、小川未明(小川未明記念館)関係、北原白秋(白秋童謡館・北原白秋記念館)や浜辺の歌音楽館などが代表的なところですが、全国各地で、『赤い鳥』と童話と童謡を愛する人たちがなにがしかの催しや行事を行うものと考えられます。
そこで、お願いです。全国の催しなどを誌面でも紹介したいと思います。我が町、わが村での「赤い鳥100年」を教えてください。メール、お手紙をお待ちしています。よろしくお願いします。
(編集長 高橋秀雄)
「日本児童文学」を読んで話そう!
「井戸端会議」のお知らせ
◆雑誌を介しておしゃべりしあう「井戸端会議」なる場を用意しております。座長は西山編集委員が務め、適宜、高橋編集長始め、執筆者も参加します。参加費無料!申込み不要!「日本児童文学」という井戸を囲んで、お菓子をつまみながらの自由なおしゃべりです。どうぞお気軽に立ち寄ってみてください。
次回は、8/19(土)午後6時より、日本児童文学者協会事務局です。(編集部)
春先の三寒四温かな? と思いながら、桜の花を待っている今日この頃ですが、『日本児童文学』3・4月号はいかがでしたでしょうか。そう、聞くまでもありませんよね。実は大好評なのです。特集の「絵本テキスト考」を楽しみにしていた、絵本作家を目指す人たちが大勢いたのです。ある研究会で好評なのを実感することができました。
まあ、依頼原稿を受け取った時から、好評の予感がありましたけどね。この号を読めば、参考になる絵本や絵本作家の考え方、そして絵本テキストの書き方までわかります。あとは、絵本作家を目指す人たちの個性がどこまで発揮されるかにかかっているでしょう。今年も4月1日から「絵本テキスト大賞」の募集が始まります。締め切りは6月末日です。詳しくは『日本児童文学』3・4月号でご確認ください。
そうそう、ゴールデンウイークの5月3~5日、今年も「上野の森親子フェスタ」が開かれます。5月5日の日本児童文学者協会のブースでは会員の作家たちのサインセールが行われます(前回も宣伝させてもらいました)。今回はワークショップ、読み語り、本格的な占いなどのアトラクションまであります。もちろん、『日本児童文学』3・4月号も販売しています。 (編集長 高橋秀雄)
4日は立春です。もうすぐ春ですね。
遅くなりましたが『日本児童文学1・2月号』はいかがでしたでしょうか。
今号から、前編集長いずみたかひろ氏の後任として、高橋が引き継がせてもらいました。頼りない編集長ですが、強力な部員の方々が支えてくれています。前編集長いずみたかひろさん、元編集長の西山利佳さん、海沼松世さん、木村研さん、次良丸忍さん、野澤朋子さん、間中ケイ子さん、みおちづるさん、茂木ちあきさんがメンバーです。新しい『日本児童文学』をどうぞよろしくお願いします。
機関誌はもう、7・8月号の原稿依頼に入るところです。その早さと時間の無さにまだ戸惑っています。それに加えて、出版業界同様に『日本児童文学』の発行部数の減少をいかに食い止めるべきかという課題を背負っています。
しかし、5月5日の「上野の森親子フェスタ」でのPR活動と販売など、手をこまねいているわけではありません。チラシの活用、7・8月号から設けた「読者のページ」で頂く予定の『日本児童文学』の感想を反映させて、より読者のみなさんに寄り添える機関誌にしたいと考えています。ご支援、お願いします。
という、真面目なお願いですが、新編集長には3月からの「釣り解禁」も重要なんです。川のせせらぎが聞こえて来て困っている今日この頃です。