3・4月号読む会のご報告☆
機関誌部ブログをご覧のみなさん、こんにちは。山﨑です。
4月15日(金)に『日本児童文学』(3・4月号)読む会をZoomにて行いました。編集委員で評論家・研究者の相川美恵子さん(当日はゲストとして参加)が、読む会の報告をしてくださいました!
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桜の季節は終わってしまいましたが、最寄りの商店街には今年も燕たちが巣に戻ってきました。燕の子育てを見守るのが、この季節の私のささやかな楽しみです。
さて、4月15日(金)PM6時半から、「日本児童文学 3-4月号」を読む会がありました。この号は那須正幹さんの追悼号です。ご論考を書いてくださった村中李衣さんが岡山から、くぼひできさんが広島から、西山利佳さんが埼玉から、参加してくださいました。時評を担当してくださっている荒木せいおさんは東京から、そして小学校の先生をされている女性の方は千葉から。ワクチン接種の副反応でお辛いなかを参加いただいた方は東京だったかな。リモートでなくては成立しない会ですよね。皆様、本当にありがとうございました。
それから、今回は特別に、最初の30分ほどですが、中国新聞の若い女性の記者さんもご参加くださいました。この号を中国新聞で取り上げて頂くことになったんです。嬉しいです。
初めに、採録作品に「ビー玉」を選んだ理由を、少し詳しく編集のほうから説明させていただいて、すぐに話題は那須作品論に移りました。今回、追悼特集を編むにあたっては、方法的な視点から、つまり何が描かれているかということ以上に、どのように描かれているかということに迫りたいということがありました。そしてまた、それぞれのご論考がそれ視点から那須作品の「方法」に迫ってくださっています。
というわけで、前置きする間もなく、早速にいくつかの作品のエンディングをめぐって発言があり、応答があり、それがまた次の発言に引き継がれ、リモート越しに参加者の皆さんの熱量が行きかう対談となって……その一つ一つがとても刺激的で面白かったのですが、なにしろ書記としてこの会の内容をまとめる立場であることを私自身がいつの間にか忘れて、その、なんと言いますか……つまり夢中になって参加しておりまして、詳細なメモを取り忘れる始末。
そこでこの際、ひっくるめてまとめてしまいますと、『ぼくらは海へ』『ねんどの神さま』のみならず幼年ものも含めて、那須作品のエンディングには、おっと思わせるものがあるんだけれど、それをどう評価するかというと、結構、難しいねっていうことになる。ただ、個別の評価よりも、那須さんが子どもたちに手渡した多様な作品群全体が、全体として子どもたちに何を伝えているかということのほうが大事じゃないのって、これは村中さんが繰り返しおっしゃいました。個々の作品から何を読者に読み取ってほしいかっていうことよりも、多種多様な物語に出会った読者が、それらと出会ったことを通して、その後、読み取り体験の後に、何かを自分たちの中に育てていってほしい、そんな姿勢が一貫しているんじゃないの、って。
だからエンディングって実はないんだよ、っていうか、何回もある、そんなんじゃないかな、みたいな。西山さんや奥山さんもそうそうって。このあたりで、村中さんは「最終電車に間に合わないの!」ということで退席。で、退席されつつも(?)、ぜひ読んでほしいと紹介してくださった作品が『奥畑村のゆかいな仲間』(偕成社1978)です。「励ましを受けた人は終わらないんだよ、絶対に、そのことを信じてたと思うよ、那須さんは」と、村中さんの声は次第に遠ざかっていきました……(この辺りはもちろん相川の演出です、実際はあっけなく画面が落ちました)。
こうして、エンディングの話で始まった「読む会」はなかなかエンディングしなかったのですが、最後に小学校の先生が、実際に『ねんどの神さま』を5年生に読み聞かせた体験を語ってくださいました。子どもたちはちゃんと内容を読み取っていたこと、同時に「えっ、これで終わりなの」「続きが読みたい」という声が多数あったこと。子どもたちが那須さんにお手紙を書いたこと、そして那須さんから丁寧なお返事が子どもたちに届いたこと、そのお手紙の中で「居心地の悪さを感じてください」「続きは皆さんで書いてください」「このお話しの続きは、今の日本のありようを見ればわかりますよ」といった内容のことが書かれてあったこと、を教えてくださいました。胸に刺さる言葉です。とりわけ、2022年4月末、核兵器の使用が現実的になってきた今にあっては。
とてもよい会でした。ご参加くださった皆様に、そして那須正幹さんと那須さんが遺したたくさんの作品に、心からお礼申し上げます。
相川美恵子
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中国新聞4月22日(金)の朝刊に、追悼号についての記事が掲載されました。これをきっかけに、さらに多くの方に手に取っていただけると嬉しいです。
【お知らせ】
★「日本児童文学」11・12月号 短編作品募集!★
「日本児童文学」2022年11・12月号は特集「森へ川へ」を予定しています。それにちなんで、「森」または「川」をテーマにした短編作品を募集します!
協会員内外、どなたでもご応募いただけます。ふるってご応募ください!
《作品・募集要項》
▼「森」「川」のどちらか一つを選んで応募してください。
【応募資格】どなたでも!!
ただし、本誌5・6月号の「応募券」を同封すること。
【締め切り】2022年6月末日(消印有効)
【字 数】26字×161行(400字詰原稿用紙換算10枚程度・タイトル別)
一人一編のみ
【応募方法】〒162-0825
東京都新宿区神楽坂6-38 中島ビル502 日本児童文学者協会
「日本児童文学」編集委員会宛
※「応募券」の同封をお忘れないようお願いします。
◎作品の選考は、編集委員会がおこないます。入選作は本誌に掲載し、所定の原稿料をお支払いいたします。
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次号5・6月号の特集は「子どもの文学この一年」です!
昨年一年間に出版された子どもの本について、ジャンル別に振り返り、検証しています。どうぞお楽しみに☆
山﨑