6月24日「読む会」のご報告☆
機関誌部ブログをご覧のみなさん、こんにちは。山﨑です。
6月15日(水)に第25回編集会議をZoomで行いました。
7-8月号は、お手元に届きましたか?!
特集は「ホラー? horror?! ホラー!」☆ まず表紙絵で、ゾクッとしちゃいました!
内容ももちろん、じわじわと寒気が襲ってくるような、夏にぴったりのラインナップ! ですが、ただ怖いだけではありません。ホラーについての深掘りが興味深い、読み応え抜群な一冊です。
掌編募集の「こわい話」入選6作品も掲載しています! 入選のポイントなど、選考経過をお読みいただければと思います。
「ホラーブックガイド」では、古典的名作から電子書籍まで、30作品を紹介しています。ホラー好きな方もそうでない方も、これをきっかけにホラー作品をお読みいただけたら嬉しいです!(←ご感想を、読者のページにお寄せいただけたら、さらに嬉しいです!)
詩・短歌・短編、エッセイ、お化け屋敷プロデューサーへのインタビューなど、様々な角度からの「ホラー」が盛りだくさん! ぜひ、ご堪能ください♪
6月24日に『日本児童文学5-6月号』特集「子どもの文学この一年」の“読む会”がオンラインで開催されました。出席された編集委員の相川美恵子さんが会の様子をまとめてくださいました!
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こんにちは、編集委員の相川です。
今、このブログを書いているのは6月後半、京都は連日35度ぐらいあります。なんと梅雨は開けてしまった!!
でもって参議院選挙のさなかです。地上は猛烈に暑いのですが、ある友人から、SNS空間はさながら地獄の窯のごとく煮えたぎっているよと言われ、遅ればせながら少し覗いています。ついでに以下の本を読みました。
・伊藤昌亮『炎上社会を考える 自粛警察からキャンセルカルチャーまで』中公ラクレ2021
いやあ、若い人たちはこういう社会を泳いでいるのか……。じゃないない、私たちはこういう時代を生きているのか……。電話代わりにしかスマホを使わない私には、SNSの世界はまさにホラーでした。
さて、いつものように「日本児童文学」を読む会の報告です。今回は6月24日午後6時半から9時まででした。5-6月号は年度回顧の号です。
ご参加いただいたのは座談会にご出席くださった米田さん、林さん、総論を書いてくださった横川さん、児童文庫の年度回顧を書いてくださった川嶋さん、創作時評をご担当いただいた荒木さん、「ただいま修行中」の執筆者である小林さん、清木さん。他に一般の方のご参加もありました。ゲストは座談会を仕切ったわれらが編集委員の東野さんです。司会はいつものように編集長の奥山さん、NHKの『日曜討論』よりずっと上手い采配ぶりでしたよ。
でもって、今回はかなり焦点が絞られた感じで進みましたし、今後につながる重要な指摘も出てきましたので、そこを中心にまとめてみました。
1.年度回顧は難しい!
新刊を網羅的に読むということが、物理的にも難しい。また、新しいテーマを取り上げている作品に目が行きがちで、文学的な方法論を突き詰めて新しい可能性を拓こうとしている貴重な作品などを取りこぼしてしまう。座談会、総論、各論を問わず、この点については、具体的な作品名も挙げながら、意見が交わされました。
エスニックマイノリティ、LGBTQ、コロナ、SDGs、SNS社会などなどの新しいテーマに果敢に取り組んでいる作品には注目しなければならないが、他方、「どう描くか」という文学的形象の水準が追い付いていない場合もある。何を描くかということはどう描くかという問題を引き寄せずにはいられないのに、取り上げましたよ、で終わっている場合もある。このあたりも具体的な作品を挙げながらの討論になりました。
2.批評なのか、紹介なのか。
これも悩ましい問題。年度回顧に限らず、創作時評においても、批評なのか、紹介なのかは、編集サイドでも毎回、迷いつつ、いただいた原稿を拝読している。いやいや、苦闘しております。年度回顧や時評の記録的な価値を大切にしようとすれば、できるだけ多くの作品を挙げておきたいということになるし、読者に多様な作品を知ってほしいとなれば、やはり「紹介」に重点が置かれる。
一方、その作品を「わたし」はこのように読んでみました、という評論は、作品を読むという行為の持つ創造性を伝える大事な文学的作業であり、批評を軽視する姿勢は児童文学というジャンルの足腰を弱めてしまう。ここで、会での相川の発言をエラソウに挙げさせていただくと、「作品に対する最大の敬意の払い方は、作品と責任をもって向き合い、私はこのように読みましたと論じることだと思います」。ちょっとカッコいい。が、天井に唾を吐くとはこのことで、相川自身は、まだまだ、真摯にかつ、責任をもって逃げずに、作品と向き合っているかと言われると、ココロモトナイ……。
気の弱い相川に代わってここで荒木さんが、かつては、もっと闊達に作品批評をしてたよね、喧嘩みたいになったこともあったよ、と当時のエピソードも交えて語ってくださいました。
要するに、「日本児童文学」という雑誌で全部をやろうとするところにそもそもの無理があります。と言っても、現実的には定期的に評論を掲載できる媒体は小誌以外にはほとんどないわけで、とはいえ、読者に「読んでね」って楽しく紹介もしたいし、あれもやりたい、これもやらなくちゃ、みたいな状況の中で、今までの編集委員も試行錯誤してきたし、これからも試行錯誤していくしかありません。
3.ネタバレは?
座談会や総論において、物語の結末まで話してしまうこと、書いてしまうこと、いわゆるネタバレをめぐってやりとりがありました。一般的な傾向として、書評などを依頼される場合にネタバレさせないでほしいと言われることもあるようです。また、それこそ評論か紹介かによっても変わってくるよねという話でしたが、小誌の座談会や評論などでは自由に語ってもらい書いてもらうことを基本にしています。
4.いわゆる児童文庫をめぐって
今回、児童文庫関係の年度回顧を書いてくださった川嶋さんは、小学校の図書館司書をされています。児童文庫は新刊数も膨大で、かつ、子どもたちにとって最も身近にあるジャンルです。にもかかわらず小誌でも、この分野の大切さをかねてから痛感しつつその動向も追えていない状況です。そこで、川嶋さんに、子どもたちはどうやってあの文庫の海の中からお気に入りを見つけてくるのかということ、また、川嶋さんご自身はどのように溺れることなくその海を泳いでいらっしゃるのかとお尋ねしました。
川嶋さんいわく、「子どもたちがどうやって本に出合うか、ですか? それはまずは口コミですね。友達に薦められて。で、その中でも自分に合う、合わないっていうのがあって、だんだん自分が読みたい本がわかってくる感じかな。その次は本の中に挟まっているしおりです。しおりにいろいろな作品の紹介があるでしょ。そこから自分に合いそうなものを見つけてくるんです。」
「私はって言うと、最初は全然、どこから手を出したらいいかわからなかったんですけど、あるとっかかりから、少しずつ手探りで。子どもから、どんな本を読んだらいいのって聞かれて、一生懸命に探して紹介したり、この子にはこの本かな、あの子にはこの本かなって続けてきました」。
スゴイ! 一番理想的な本の手渡し方かも。
5.「ただいま修行中」あれこれ!
このコーナーの書き手から、今回、小林さんと清木さんがご参加くださいました。お二人から出た質問が「日にちのある原稿は難しいですね」ということでした。原稿を書いている時点と、掲載された雑誌が発売される時とはかなりずれていますから、確かに書きづらい。他にもいろいろとご発言いただきました。で、結論的には、担当者に預けた枠ですから、どう描くかも含めて自由に書いていただいて構わないです、ということを編集からは申し上げました。非常に限られたペースにぎゅっと言葉をまとめなくてはならないという制約を逆手にとって、それぞれの個性を存分に発揮していただければと思います。
こんなところでしょうか。今回は相川らしくない生真面目な報告レポートとなりましたが、たまにはこういう文章だって書けますよってところで、またまた、次回ね。
相川美恵子
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相川さんらしい生真面目さたっぷりのレポートを、ありがとうございました♪
6月末締め切り短編作品募集へのご応募、ありがとうございました。その数、47作品!! ズラリと並んだタイトルを見ただけでも、わくわくしています! すべての作品に敬意と感謝を申し上げます! これよりじっくり選考させていただき、入選作品は11-12月号に掲載いたします。
私は今、「森・川」の物語で奥山編集長が薦めてくださった『クロニクル千古の闇』(ミシェル・ペイヴァー=作 さくまゆみこ=訳)のシリーズを夢中になって読んでいます。大自然の中で生きていく逞しさはもちろんのこと、少年から青年へと成長していく姿から目が離せません。午前零時の風とヒーリング音楽と共に、物語の世界を楽しんでいます。
また、ご報告いたします!
山﨑