【二つの感想文コンクール】
◎僕は先週の金、土と、続けて感想文コンクールの選考会でした。12日(金)は雑誌『ちゃぐりん』の感想文、13日(土)は総合初等教育研究所という財団主催の感想文です。『ちゃぐりん』という雑誌は、JA系の家の光協会の発行で、農業関係の記事はもちろんですが、お話やマンガ、料理のレシピや運勢占いなど、なんでもありの月刊誌です。学研の「科学と学習」もなくなった今、こういう雑誌は『ちゃぐりん』だけではないでしょうか。毎月「ショートストーリー」が掲載されるので、そこに書いたことがあるという会員の方もいらっしゃると思います。実は7月号には那須正幹さんの作品が載り、もしかしたら、那須さんの最後の書下ろしだったかもしれません。感想文は、7・8・9月号が対象で、その中のどの記事について書いてもいいので、通常の単行本を対象にした感想文コンクールとは違ったおもしろさがあります。
もう一つの財団主催の感想文コンクールは、その意味では“普通”の感想文コンクールですが、僕はこの審査員になる前は正直読書感想文というものにやや拒否感を持っていた部分がありますが、もちろん最終候補になるような感想文は、本が好きな子が書いたものなわけですが、そうか、こんなふうに本と出会ってくれたんだということが実にしっかりと伝わってきて、心強くさせられます。上記の『ちゃぐりん』のほうは、JAを通しての応募なので、昨年も今年も例年通り実施されましたが、財団の方は小学校を通じての応募なので、昨年は中止、今年はなんとかできたものの、応募数はかなり減ったということでした。学校側の体制、先生方も、コロナ禍の中で、なかなかそこまで手が回らないという実態が、応募数にリアルに現れた感じでした。
【この季節は】
◎実は、この11月は、僕にとってはコンクールの季節で、かなりハードな月です。少し前ですが、11月3日には、新美南吉童話賞の選考委員会が半田でありました。この後、27日の「子ども創作コンクール」(児文協ほか主催)のリモート表彰式のために入選作品を読まなければならず、その二日後の29日は日能研の文学コンクール(中高生が対象)、そして12月1日は、やはり別の財団が主催する作文コンクールの選考会があります。
なぜこの時期に集中するかというと、こうしたコンクールは大体夏休みをはさんで応募期間にすることが多く、9月の始めから中頃に締め切りが設定されます。そこから予備選項が始まって、候補が絞られるのが10月あたり、そうして11月あたりに最終選考ということになるわけです。今はむしろ童話のコンクールが少なくなりましたが、かつてはもう一つ二つあったり、児文協の長編新人賞の選考をやっていた時は、なにしろ長編をそれなりに読まなければいけないので、ちょっと泣きながら(笑)読んでいました。
◎ただ、児文協主催のものは別として、当然それなりの選考料ということがあるわけで、正直なところ、僕にとっては一番“稼ぐ”月でもあります。それと子どもの作文や感想文は、子どもたち自身の受け止め方にふれるという意味で貴重な場でもあり、また童話コンクールなども、一般の人の「児童文学観」が見えてくるところもあって、決して嫌々やっているわけではありませんが、できればもうちょっと時期をずらしてくれないかな、というところが本音でしょうか。