【久しぶりのお集まりでした】
◎記念すべき?第50回ブログが、本来の5日から3日遅れになりましたが、これも僕らしいでしょうか。そのため1週間以上が経ちましたが、10月31日、一ツ橋の教育会館で(リモートと並行で)東京では5年ぶりとなる公開研究会が開催されました。1か月前に、リアルとリモート両方のハイブリッド開催ということを最終的に決定したわけですが、この段階では本当に集まれるかどうか、一抹の、いや三抹ぐらいの不安がありました。しかし、コロナは想定以上に収束、予定通りの開催ができました。参加申し込みでは、リアルが約70名、リモートが130名余り。当日実際に会場に来ていただけたのは50数名でした。
会場はつめれば300人定員でしたから、ややがらんとするかなと思ったのですが、3人掛けのテーブルに1人ずつ、後ろの方は空けて、大きなカメラを始めリモート配信のための機材がかなり入ったので、むしろちょうといい感じで、ちょっとテレビ中継をしているような感じでした。
◎なにしろ、こんなふうに集まったのは、一昨年以来でしょうか。そんなにものすごい人数ではないけれど、とてもたくさんの人が集まった感じを受けたのは、そのせいもあるかもしれません。目の前に人がいて、進行につれていろいろと人が動き、机を動かしたり、飲み物を運んだり、照明を明るくしたり、暗くしたり、そんな一つひとつのことがとても新鮮で、やはり実際に集まることの感触のようなものが実感できた一日でした。
【講演とシンポジウムは】
◎講演の安田菜津紀さんは、この日の午前中もTBSのサンデーモーニングにリアルで出演されていましたから、そこから回られてきたのだと思います。さすがに放送で鍛えられているだけあって、発声や話しぶりがとても明晰で、感心させられました。冒頭で、幼い頃に、お母さんが絵本の読み聞かせがとても好きで、「1カ月に300冊」というノルマ?だったことが語られ、みんなをびっくりさせましたが、これが単なる話のマクラではなくて、ある時お父さんが珍しく早く帰ってきたので、「読んで」と絵本を持って行ったのですが、お母さんの流暢な読み(なにしろ月に300冊ですから)とは大違いに、とてもたどたどしい読みで、思わず「日本人じゃないみたい」と言ってしまったのですが、少し大きくなってお父さんが韓国籍であることを知ります。安田さんの一つの原点が語られたわけでした。お話の中心は、シリア難民のことと東日本大震災で被災した大船渡の人たちのことで、大船渡は安田さんのお連れ合いの出身地で、そのお母さんを震災で亡くしていたのでした。こんなふうにまとめてしまうと元も子もないかもしれませんが、〈公〉への怒りと悲しみ、〈私〉の哀しみがダブって迫ってくる、さすがの80分でした。
◎後半のシンポジウムは、なにしろ全体で3時間という枠なので、パネラーお一人の発言時間が合わせて15分位しかありません。ただ、それぞれにご自分の創作活動の中心的なモチーフを語っていただいて、それが本当に一人ひとり違っていて、とてもおもしろかったです。特にリモート参加の皆さんからは終了後に画面上でたくさんアンケートのご回答をいただきましたが、ひとつのテーマを深めるという点では物足りなさもあったようですが、コーディネーターのひこ・田中さんも含め5人の書き手の語りようがとても個性的で、僕はとてもおもしろく、楽しく聞くことができました。そして、それがいま書いている人たちへの“励まし”にもなったのでは、と思っています。
【残った宿題も】
◎かくて、公開研究会は無事に終了したわけですが、「無事に」というのは、一番心配だったのが、リモートの参加者に画像や音声がきちんと届くかどうかということでした。当初はこれを自分たちで、と考えていたのですが、昨年と今年の総会のように、全面リモートならなんとかなるのですが、リアルで会場で進行しつつ、配信もするというのは、技術的にかなりハードルが高いことが準備の途中で分かってきました。特に今回は参加費をいただいての開催ですから、うまく配信できなかったでは済まされません。ということで、そのための業者に頼むことにしました。20万円近くかかりましたが、当日3人が見えて、午前中から準備、その動きや機材の数々をみて、納得でした。
ただ、それだけに、これから総会・学習交流会、公開研究会などをどんな形で開催していくのかは、宿題として残った感じです。
◎もう一つ。今回は冒頭に書いたように200人近い参加があったわけですが、僕の目論見としては、会員のリモート参加(全国から参加できるわけですから)がもう少し伸びてほしかったという気持ちもあります。内容の問題や、参加のしかたの問題など、さらに検討して、次回はもっとたくさんの方に参加していただけるようになったらいいなと、今から思っている次第です。