藤田のぼるの理事長ブログ

15、理事会声明のこと、学習交流会のこと(2020,10,26)

【理事会声明のこと】

◎今回のブログは「5の日」から一日遅れになりましたが、報告が二つです。一つは、前のブログに書きましたが、10月15日付で発表した日本学術会議の任命拒否問題についての理事会声明のことです。理事会は13日でしたが、欠席の理事も含め、文章の確定ということもあって、発表は15日付になりました。この日、各新聞社にファックスで声明文を送ると共に(大体こういう場合は、今もファックスですね)、関係団体や出版社などにも声明文を送りました。児文協はこの問題では直接の当事者ではないし、かなりいろんな団体から声明が出ているので、今回の声明がマスコミに取り上げられることはないだろうと思っていました。

 翌日の16日ですが、僕は午前中児文協の事務局で少し仕事をして、午後からは別のところで用事があったのですが、その帰り、池袋駅で(僕は東武東上線で帰ります)乗り換えました。売店で夕刊紙の見出しが目に入り、「日刊ゲンダイ」が学術会議のことを取り上げていたので、買い求めました。帰りは大体本を読みますが、その本が読み終わりそうで、読むものがなくなりそう、という理由もありました。

 電車に乗ってから第一面を読み始めて、びっくり。いきなり「日本児童文学者協会」という文字が目に飛び込んできたからです。本文を冒頭から引用します。

 

  抗議声明は既に350件を超えた。/日本学術会議が推薦した6人の新会員候補が任命拒否された問題について、きのうは日本児童文学者協会が撤回を求める声明を発表。協会は、戦前・戦中の童話作家らが国家の要請で戦意を高揚させるような作品を発表したことへの反省から設立された。そうした経緯があるからこそ「単に学問分野のことではなくて、表現の自由、日本の民主主義の行方に関わる由々しき問題だ」とつよく批判している。(引用終わり)

 

◎記事の冒頭にあるように、350件もの声明の大半は、おそらく学術系の団体だと思います。これは直接の当時者ですから、当然のことです。わたしたちと関わる分野でも、児童文学学会・英語圏児童文学学会・絵本学会の三団体が連名で13日付で抗議声明を発表しています。これも僕が知る限りでは異例というか多分初めてのことで、各学会のHPに声明文が掲載されています。

 そうした中で、学術団体ではない、そして子どもに関わる児文協のような団体が、この問題について声をあげていることが「ゲンダイ」の編集者の目を惹いたのではないでしょうか。紹介のされ方、引用のされ方もわたしたちの意をとてもくみ取ってくれていて、うれしく感じました。すぐに次良丸さんと宮田さんにメールで伝えたのでした。

【学習交流会のこと】

◎さて、報告としてはやや遅くなりましたが、10月17日の土曜日午後、リモートでの学習交流会が行われました。今年は総会前日に開けなかったので、今回の開催となったものです。 今回は絵本の文章ということをテーマに、前理事長の内田麟太郎さんのお話を、村上しいこさんが聞き役となって、いろいろとうかがいました。

 この詳しい報告は、12月の会報を待っていただくことになりますが、内田さんから「一方的な講演という形でなく、誰か聞き役を立てて」という要望だったので、内田さんとも親しい村上さんにお願いしたわけですが、これは大成功でした。二人の漫才みたいにならないかなと心配(?)もしたのですが、村上さんは皆さんから事前に寄せられた質問も交えながら、実に要所をおさえた聞き役を演じてくださいました。

 一時間弱ほどでしたが、最後の方で(これはどなたかからの質問だったようですが)「いまどんな作品が求められているのでしょうか」という問いに対して、内田さんは「そんなのはありません、わかりません。内田の作品が受けているといって、そういう作品を書こう、というのはだめ。求められているのはあなたしか書けない作品です」といったお答えで、村上さんも大きくうなづいていました。実にさすがに名答だと思いました。

◎講演(というか対談)も良かったわけですが、その後休憩をはさんで、協会文学賞のお祝いタイムというのがありました。今年は春の総会前日に、やはりコロナで贈呈式ができなかったわけで、今回こうした時間を設けました。たまたま協会賞受賞の佐藤まどかさんがイタリア在住ということで(受賞作もイタリアが舞台ですが)、イタリアからの映像で佐藤さんがご挨拶され、これはリモートならではの威力でした。また、新人賞のたなんしんさんは画家としても活躍されていて、ご挨拶の際の映像ではバックにたなかさんの絵が何枚も置かれていて、これもリモートならではの演出でした。

 その後、組織部のいずみさんから、来年3月の大牟田セミナーのアピール、そして事業部の開(かい)さんから部で企画しているリモートでの講座のことなどについて報告がありました。実はなぜか開さんの画像が出なくなってしまい、声だけのアピールになったのですが、これはこれで味が(?)ありました。

 100名以上のお申し込みがありましたが、ご都合がつかなかったり、うまく参加できなかったり(パソコンのちょっとした操作ミスなどで、どうしてもそういうことがありますね)という方も若干いらしたようで、僕がチェックした画面上の数字では97人の参加でした。まだまだリモートにハードルが高くて申し込まなかったという方もいらっしゃるかも知れませんが、とても児文協らしいイベントになったと思います。

◎最後に、ちょっと(かなり?)恥ずかしい話を一つ。リモートの場合、自分の画像はもちろん自分のパソコンで見えるわけですが、その場合の見え方が鏡像のパターンになっています。ですから、例えば絵本を映した場合、左右逆、いわゆる鏡文字で映るわけです。僕は公開研究会の開会あいさつの時に、最初に書いた「日刊ゲンダイ」の紙面を皆さんに見せたいと思い、しかしこのままでは鏡文字の形になってしまうなと、いつもパソコンの操作や修理でお世話になっている方に電話して、修正の仕方を聞きました。それで修正の方法は分かったのですが、わかったことがもう一つ。自分には鏡文字に見えていても、他の人たちにはちゃんと(左右逆ではない)映像が届いているのだ、ということ。

 もしかして、僕と同じ勘違いをしている人もいるかもしれず、恥ずかしながらの“告白”でした。

2020/10/26