第50期 日本児童文学学校 感想⑰
童話賞で一攫千金!? 小塩美里
「受賞したら賞金で好きなものを買おう!」これは、私が運営する学校以外の学び場「フリースクール」に通う子どもたちと私の合い言葉です。フリースクール以外でライターの仕事もしていることから、週に1度、作文の時間を設けることにしました。読書感想文や日記は、学校を思い出してしまうこともあって続きません。子どもたちも私も楽しい時間を過ごせるのは、なんといっても童話づくりです。それは、童話のなかでは冒険ができるから。普段、不安が強くて知らない場所に行けない子も、育児と仕事に疲れて休日にウッカリ寝て過ごしてしまう私も、童話の中では主人公になって魔法を使ったり、知らない国に行ったりできます。誰かの夢のなかにだって入り込めちゃうこともできる童話の楽しさが、子どもたちの心を引きつけました。それに童話を書いていると、我が子たちに幼い頃、寝かしつけに即興でつくったお話を喜んで聞かせていたことを思い出すようになりました。日に日に「もっと上手に書いてみたい」気持ちが大きくなり、思い切って童話講座に申し込みました。
講座の後半には、受講者作品の講評があります。まさか自分の作品が、事前に受講者の皆さんに配られるとは知らなかった私。講評の日までドキドキが止まりませんでした。そんな不安な思いは良い意味で裏切られ、受講者の皆さんと先生からの愛あるコメントで胸がいっぱいになりました。そして勉強になることばかり!!!振り返ってみれば、ほかの方の作品を読む機会はあまりありません。講座でたくさんの方と出会い、多くの作品に触れる機会に恵まれることは、とてもありがたい経験でした。
講座では、童話づくりのために勉強になるお話がたくさんありました。でも、これから受講を考えている方には、なによりも先生方の童話にかける熱意に直接触れてもらいたい。忙しくなると、童話づくりをすることから遠ざかってしまうこともあります。そんな時、講座で先生方のお話を聞くたびに、童話づくりのある毎日はとても幸せであると気づかされ「今日からまた頑張ろう」と思えました。最初はよこしまな思いから始めた童話づくり。今では受賞にかかわらず、これからもずっと続けていきたい大切なものになっています。