編集部だより

2021年12月

「猫特集を読む会」ご報告☆

 機関誌部ブログをご覧のみなさん、こんにちは。山﨑です。

 寒いです! 寒すぎます! そして、出窓の結露……激しすぎます! 本日は雑巾6枚でやっつけましたが、もっと短時間で済ませたい!! と、吸収力の高いマイクロファイバークロスをネットで検索♪ 週末にポチっとしちゃいそうです。

 

 12月15日(水)に、第19回編集会議を行いました。まだリモート会議です。

 今回も相川美恵子さんが12月17日に開催されました「『日本児童文学11・12月号』猫特集を読む会」の報告を寄せてくださいました。

 

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 今年もあとわずかになりました。年内最後の「「日本児童文学」を読む会」のご報告です。

 今回の特集は「ファンタジーの猫」。というわけで、

「中世の魔女狩りの時に猫も一緒に焼かれたんです…」

「宮沢賢治って、ホントに猫、嫌いやったんかなぁ」

「このところの猫ブームって、そもそもいつから?」

「投稿作品50以上も集まったんですけど、化け猫の話はひとっつもなかったんです」

と、うなずいたり、うそっ、って驚いたりであっという間に2時間半が過ぎました。

 

 巻頭の詩を書いてくださった西沢杏子さん、新藤悦子さんの「黒猫と猫のジン」に挿絵を描いて下さったそねはらまさえさん、「魔法のバイオリン」の高橋桐矢さん、評論を書いてくださった井上征剛さん、そして、イタリアからは連載「仮想家族」がフィニッシュした佐藤まどかさん! 詩人の方、中高一貫校で勤務されている現役の先生、ほかにも評論や研究をお仕事にされている方々のご参加がありました。本当にありがとうございました。

 

 ご参加いただいた何人かの方から、今回の特集、面白かった! っていう言葉をもらいました。嬉しいです。猫というテーマに、詩、創作、評論、コラム、投稿作品といった多様な方法と視点から迫っていること、コラムのちりばめ方などレイアウト的にも、読みやすく楽しかったよって。

 

 今回、西沢さん、高橋さん、井上さん、そして佐藤さんから直接、創作の背景や覚悟みたいなものをうかがえたのは貴重でした。それから、挿絵を描かれたそねはらさんが、文章を書かれた新藤さんとやりとりされて、「トルコの女性は、髪を三つ編みにして、柄物のスカーフをかぶります」というアドバイスから当初の絵を描き直されたことを知りました。一つ一つの作品が生まれるまでに、一人一人の書き手の中の葛藤があり、書き直しがあり、迷いももちろんあり、そうして編集のところに届くんですね。改めて、編集の責任を感じました。

 

 ゲストの間中さんからは、今日の猫ブームを考えるときに、ということで『猫の手帖』なる隔月刊の雑誌が1978年に創刊されたこと、創刊の理由に、猫がペットから家族になってきたことが挙げられてますよ…っていう情報、もらいました。なんか、うなずける。猫って、もともと、まがまがしくて死の気配を漂わせていたのに、今じゃ、「家族」を通り越して、カワイイ!! っていう猫っかわいがりの対象になっちゃってませんか。猫の矜持はどこへ行ったのだっというわけではないのですが、話題は自然と、猫のイメージの変容とその背景にフォーカスしていきました。

 

 でも、そう、なにしろ今回の参加者の多くは、猫になるといくらでも語り続けられるという人ばかり、例外は評論書いてくださった井上さんで、「僕は鳥なんですけど」と、それはそれで可笑しかったのですが、猫のように自由に自在に話題は行きつ戻りつ。それはそれは心地よい、しかしながらこうしてまとめるのにはなかなかに困難な時間となりました。

 

 さて、最後に2つ。1つは研究、評論をお仕事にされている参加者の方から、各号に出てきた作品を巻末にリストとして載せられないかな、との要望が出されました。そうしたら、この号ではどんな作品が取り上げられたか、すぐにわかって便利ですよ、と。そうですよね、まったく、それは本当に素敵なアイデアなのです。が、現状、編集部は猫の手も孫の手も借りたい状況なんです。すみません…必ず編集会議に持ち帰って思案してみます。

 

 2つめは佐藤さんの「仮想家族」について。今、まさに進行しているパンデミックのただなかで、自分もその中にいつつ、その状況をフィクションに落とし込んで表現するということは、かなりの覚悟と想いが必要なお仕事だったと思います。佐藤さんご自身からいろいろなお話を伺えて本当に良かったです。
また、そうした物語に誌面を提供できたことをうれしく思います。佐藤さん、ありがとうございました。

 

 というわけで、今回はここまで。次回、また皆さんとお会いできることを楽しみに!!

 

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【お知らせ】

★「日本児童文学」7・8月号特集 ホラー掌編作品募集!

 「日本児童文学」2022年7・8月号では、「怖い話/ホラー」(仮)特集を予定しています。それにあわせて、会員のみなさまからホラー掌編作品を募集します。

 海や山にまつわるこわい話、にひそむこわい話など、夏の夜の暑さを吹き飛ばすゾッとするような怖~いホラー掌編作品を、ぜひお寄せください。

 

《作品・募集要項》

▼次のA~Cのいずれか一つを選んで応募してください。

 …海のこわい話 …山のこわい話 …街のこわい話

 

【応募資格】日本児童文学者協会・会員限定

【締め切り】2022年2月末日

【字数】26字×80行 一人一編のみ

【応募方法】日本児童文学者協会事務局にEメールまたは郵送でお送りください。

 

◎作品の選考は、編集委員会がおこないます。誌上に作品が掲載された場合には、所定の原稿料をお支払いいたします。

 

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 今年一年ありがとうございました。良いお年をお迎えください。

 また、ご報告いたします!

 

 山﨑

 

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2021/12/24

「読む会」は信号機のないスクランブル交差点☆

 機関誌部ブログをご覧のみなさん、こんにちは。山﨑です。

 あっという間に12月! 2021年もあと一ヵ月なんて、本当に月日が経つのが早いですよね~。壁掛けカレンダーの最後の一枚を、しみじみと眺めてしまいます。みなさんは来年のカレンダーの準備はお済みですか?! 日めくり、卓上、壁掛け、ポスタータイプなど、種類もデザインも豊富なカレンダーが並ぶ特設コーナー。この時期ならではのワクワクスポットです♪ 私は早々に壁掛けと卓上のお気に入りを見つけてGetしました☆ 少しずつ新しい年を迎える準備をはじめています! 

 

 11月17日(水)に、第18回編集会議を行いました。まだリモート会議です。

 今回は相川美恵子さんが「『日本児童文学』を読む会」の報告を中心にコメントを寄せてくださいました。

 

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 こんにちは、相川です。

 私は京都市内に住んでいます。京都に住んでいる人間が京都の話を京都以外に住んでいる人にすると、「ヤダ、また京都人の京都自慢が始まった、これだから京都人は嫌味よねぇ…」みたいに舌打ちされる、その京都に35年ぐらい住んでいます(笑)。 だって住んでるんだし。

 でもって、せっかく住んでいるのだから、国内外からのお客様が途絶えている今年は、ゆっくりと季節の移り変わりを愉しみました。二枚の写真を挙げさせていただいています。(写真はタイトルをクリックすると見られます!)画像左は「天授庵」の回遊式庭園の一部です。永観堂から南禅寺を抜けてしまうその手前にあります。右は「勝林寺」の庭。こちらは東福寺に行く手前の細い道を上ったところにあります。いずれもあまり知られていません。私の好きな場所です。ちなみに今回、勝林寺を訪ねたら寺の秘仏である毘沙門天立像を公開していました。そこで「鏡」なるものを初めて見ました。立像の前にまあるい鏡。不思議な不透明な乳色に鈍く光っていて、確かに人が映っています。ぞくっとしました。お尋ねしたところ、なんでも明治の神仏習合のおりに供えたのだそうです。三種の神器といいますが、あのまあるい鏡は、確かに畏怖を感じさせます。ちょっと夢に出てきそう。

 さて、ところでです。

 なぜか今回も「日本児童文学」を読む会の報告をすることになりました。なので、もう少しお付き合いください。今回は10月12日の夜6時半からリモートで。編集委員を除いて10人以上の方が参加してくださいました。ありがとうございます。

 9-10月号の特集は「伝える」を問い直す、でした。でもって論文ばっかり4本も並べてしまった!! これは重い、しんどい、くたびれる……わけでして、読む会が成立しなかったらどうしようと、4本のうちの1本を書かせていただいた私としてはかなり不安でした。

 ところが、これがね、よく語ってくださったのです、皆さん。しばしば横道に逸れ、時々脇道に迷い、されどへこたれず、その逸脱とウィットそれじたいを私たちは愉しんだ気がします。

 うれしいことに北海道支部から三浦幸司さんがご参加くださいました。三浦さんはウポポイ民族共生象徴空間などの施設の取材をしてくださいました。それから沖縄のひめゆり平和祈念資料館についての情報をくださった真鍋和子さんも参加してくださいました。お二人からじかに貴重なお話を伺えたのはとても幸せでした。

 それから4つの論文が相互に関連し補い合いながら、全体として、今、わたしたちはどの地点に立っているのかを確認し、今後を見通すための視座を提示しているものになったのではないか、という、励ましも含めたご意見をいただいて、ほっとしました。

 そうそう、忘れるところでした! 論文執筆者のおひとり、伊藤敬佑さんが赤ちゃんを抱いてリモートに出て下さったんです。伊藤さん、新米パパさんになっていたんですね。おめでとうございます!

 ほかに、女性学を研究されている若い女性研究者のご参加もいただき、記憶の女性化の問題の背景についてフェミニズムやジェンダーの視点からの刺激的な発言も提示していただきました。

 映画の話題もでました。「MINAMATA」観た? みたいな。雑談もしました。ねえねえ、元気だった? みたいな。学校の先生から、現場ではこうなんですよっていう貴重なお話しも。作家にとって評論ってさぁ、みたいなことも。もっと会員の創作を優先して掲載すべきじゃないのっていうご意見も。途中からのご参加もありました。

 というわけで9時になっても終われない、終わりたくない、でもって、やっぱり会いたいよねぇということになりました。

 会いたいよねぇ。

 これで報告はオシマイ……じゃなかった、次回のお誘い、忘れるところでした。次回の「読む会」は12月17日夕方6時半から。特集「ファンタジーと猫」です。ゲストは間中ケイ子さん。

 ところどころしか読んでない方も、しっかり読んでくださっている方も、途中からのご参加も歓迎します。

 こういう会って、信号機のないスクランブル交差点みたいなものだと思います。いろいろなジャンル、いろいろな考え方、いろいろな職業、そのほか「いろいろ」が、あっちからもこっちからも集まって、やぁ、とか初めましてとか言って、またね、それぞれに別れていくんだけど、なんとなくざわざわしたものが残っていくみたいな。

 というわけで、次回、お会いできることを楽しみにしています。

 相川でした。

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【お知らせ】

Zoomオンライン『日本児童文学』を読む会

 

【日 時】 12/17(金)18:30~20:30

【テーマ】 2021年11・12月号

【ホスト】 奥山恵(評論家・編集長)

【ゲスト】 間中ケイ子(詩人・編集委員)

【申し込み方法】 メールにて megumiokuyama18@gmail.com

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 また、ご報告いたします!

 

 山﨑

 

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2021/12/01