公募入選 おめでとうございます ⑤
人生の転機 岡崎タケル
人生の転機はいつだったか、と問われれば。
間違いなく私は、創作教室の募集を見かけたときだと答えるでしょう。
転職しておよそ一年、ようやく新しい仕事にも慣れてきた中で始めた趣味が、児童文学を書くことでした。
元々読むのが好きだった児童文学を、自分でも書いてみたい。そう思い独学で始めてみたはいいものの、なんとか書き上げた長編は一次も通過せず落選しました。
さてどうしようか。さしたる強いバックボーンを持たず何となくで創作活動を始めてしまった私は、このとき執筆を続けるかどうか迷っていました。一作書き上げたんだし、結果も出なかったんだからもういいじゃないか、と。今考えると、とんだ打たれ弱さです。
そんなとき、たまたまTwitterで見かけたのが創作教室の募集でした。
これも何かの縁だ、せっかく始めた趣味なのだからもう少しだけ頑張ってみよう。
勢いそのままに、見かけた当日に空きがあるかを電話で確認し、申請しました。
このときは、物は試しにと一期だけ受講する予定でした。
誤解を恐れずに言えば、記念受験をするような気持ちだったのです。
しかし。
気づけば私は、一期どころか、四期という長期に渡って受講していました。
その理由を一つだけに絞るのは難しいですが、一番大きかったのは「仲間がいたから」です。
私のまわりには、児童文学好き、ましてや自分で児童文学を執筆したいという知り合いはいませんでした。
けれど創作教室の受講生は違います。年齢も性別も、職業も思想もバラバラ。けれど、児童文学を書きたい、世に出したいという気持ちをみな等しく持っていました。
私が目指そうと考えた道には、多くの仲間がいることを実感しました。
そしてそんな方々と語らううちに、続けたい、もっともっと書きたい、という気持ちがどんどん強くなっていったのです。
創作教室に通ってからは、日常生活の過ごし方も大きく変わりました。食事に読書、映画やテレビを観た後、はては仕事中まで。何か思いついたらすぐにメモ、メモ、メモ……。まさに創作活動が生活の一部となりました。
現在、創作教室は受講しておりませんが、教室で出会ったメンバーの何人かとは、いまでも集まって作品を合評し合っています。
すべては創作教室に通ったことがキッカケでした。
この度『5分ごとにひらく恐怖のとびら 百物語』第二期に入選することができたこと、大変嬉しく思います。創作教室の募集を見かける前に、筆を折らなくて本当によかった。
これからもずっと、私は物語を書き続けていきます。
もう私の創作活動は、何となくで始めた趣味ではなく、本気で取り組むライフワークとなりました。