講座ブログ

第48期日本児童文学学校・講師より

4月から開講する第48期日本児童文学学校は、申し込みを開始しています。この講座で講師をつとめてくださる中から 初参加のおふたりに、エッセイを書いていただきました。今日は佐藤まどかさん、15日には如月かずささんを掲載します。

佐藤まどかさんは、なんとイタリア在住。グローバルな視点が新鮮な作品を書かれます。5月17日、日本に来るときにあわせて、講義をお願いしました。この機会をおみのがしなく。(ビジターで一回だけの受講もできます。事務局に問い合わせてください)

 

イタリアからこんにちは  佐藤まどか 

2020年。こう書いてみると、インパクトのある数字ですね。こんな未来的な数字の年にまだ生きているとは、若い頃の自分には想像もできませんでした。大昔に観た数々のSF映画の世界のようには幸いまだなっておらず、一見それほど変わっていません。車はまだ地を這っているし、人間そっくりのアンドロンドも闊歩していないし、AIは明日の天気予報さえも間違える。でも、2020年という数字を見れば、なんだかワクワクしてきます。

この記念すべき新年を、久しぶりに日本で迎えることができました。一時間以上待ってつかせてもらった除夜の鐘、冷えた身体に沁みた熱々の甘酒、懐かしいおせち料理に三つ葉の香りのお雑煮。至福の「ザ・日本の正月」を味わいました。

一方、イタリアのお正月はあっけないものです。カロリー過多のご馳走と、年越しそばの代わりにレンズ豆煮で翌年の豊かさを祈り、カウントダウンには大抵友達や恋人同士で友人宅やパーティに参加し、花火とおしゃべり、スプマンテ(発泡酒)とパネットーネ(もしくはパンドーロ)ケーキで乾杯をします。そして1月2日からもう仕事開始! ですが、私は日本式のお正月のほうが好きです。
 

 さて、五月に文学学校の一日講師を務めさせて頂くことになりました。お話を頂いた時は、なにか講義(抗議なら得意ですが)ができるのか、しばし悩みました。そしてふと思いついたのが、「だれのために書くのか」というテーマです。以前、ベテラン編集者さんから、この点で問題のある投稿作品が多いと伺ったことがあるからです。

児童文学は、対象年齢によってテーマもコンセプトも書き方も違います。漢字をトジル、ヒラク、というような表記の問題だけではなく、例えば0歳児用の絵本に「死」や「恋」をテーマにしたり、YA小説に「うんち遊び」の話は難しいでしょう。もちろん、絶対無理ではないでしょうけれど。また、字数の制限や、それによる登場人物の人数の限界や、使える語彙など、考えるべきことはたくさんあります。

今まで、絵本から幼年童話、中・高学年向け読み物、YA長編、そして中高生新聞連載小説に至るまで、いろいろな年齢の子どもたちを対象に物語を書いてまいりました。執筆活動の中で気づかされたことや苦労したことなど、皆さんの執筆活動のお役に立てるような具体的なお話をさせて頂きたいと思います。

東京で皆さんにお会いできることを楽しみにしております!

 

2020/01/10