4月からの第48期日本児童文学学校の講師をつとめてくださる如月かずささんに書いていただきました。実は児童文学はあっとう的に女性作家が多く、如月かずささんは、数少ない若手男性作家のひとりです。文学学校には初登場です。如月かずささんの講義は、8月23日です。キャラクターがうまく立ちあがらない、物語の中でうまく動いてくれない、などと思う方、ぜひ、いらしてください。
魅力的なキャラクターとは? 如月かずさ
昨年の11月に、大沢在昌さんの人気シリーズ「新宿鮫」の最新刊が8年ぶりに発売されました。中学のころから読み続けているおきにいりのシリーズ。年末に夢中で読みました。事件の展開も先が読めなくてとてもおもしろかったのですが、なにより主人公の鮫島が素晴らしく格好良いんですよね。
「新宿鮫」だけでなく、昔から大好きになる作品の中心には、魅力的なキャラクターがいました。小学校時代に愛読していた「ズッコケ三人組」のハチベエ・ハカセ・モーちゃんや、ムーミン谷の仲間たち。中学のときに出会った私立探偵スペンサーは、いまでもいちばん好きなキャラクターです。高校時代には散々ミステリーを読んでいましたが、森博嗣さんの「S&M」シリーズや京極夏彦さんの「京極堂」シリーズなど、探偵役の個性が強いものが特におきにいりでした。
そんなふうに魅力的なキャラクターたちのいる物語を好んで読んできましたから、自分自身の創作においても、キャラクターという要素はとても大切にしています。「こういうキャラが書きたい」というところから出発して物語を組みあげることもよくありますし、なかなかはかどらなかった作品が、主役のキャラクターにぴったりの声が見つかっただけで、驚くほどスムースに進むようになることもあります。
というような話を事前にしていたわけではないのですが、第48期の日本児童文学学校では、キャラクターについての講義を担当させていただくことになりました。講演は多少慣れてきたのですが、文学学校の講師というのは初めての経験です。緊張もありますが、ご依頼いただいたからには、受講される皆様の役に立つお話をできるように全力で準備をするつもりですので、奮ってご参加いただけましたら幸いです。