第35期日本児童文学学校を受講された麦野圭さんが、このたび、第19回北日本児童文学賞の優秀賞を受賞されました。おめでとうございます。優秀賞の作品は、朗読され、ラジオで聞けるそうです。すばらしいですね。
麦野圭さんに日本児童文学学校から受賞までの気持ちを書いていただきました。
大切なファイル、大切なノート 麦野圭
今から十年以上前、突然、物語を書いて、作品として成立するかどうか、誰かに読んでもらいたくて、第35期日本児童文学学校に入りました。
児童文学のことをほとんど知らなかった私には、どの先生の講義も刺激的で、毎回、先生方が作ってくださるレジメをファイルし、ノートを取りました。その後、創作教室にも二期通いましたが、いつもそのファイルとノートを持ち歩き、作品を書きだすときは、レジメを横に置いて書いていました。創作教室の仲間から、「そのファイルとノート、難波さん(本名)の宝物だね」と言われるくらい、私にとって大事なものでした。
卒業後、同人誌「ばやし」に入り、2012年に「じったんのオムライス」(くもん出版)でデビューできましたが、その後6年間、二冊目を出すことが中々、できませんでした。
児童文学学校、創作教室時代は、仕事が休みの週末だけ創作をしていましたが、これではいつまでたっても作品ができないと思い、仕事に行く前、一行でもいいから、必ずパソコンを開いて書くという約束を自分で決めました。公募にもあまり積極的ではありませんでしたが、送れるものは、送ろうと思いました。
ようやく去年頃から、一次を通過したり、北日本児童文学賞では二次を通過しました。そして、色々な方のおかげで二冊目「ユンボのいる朝」(文溪堂)を出版することができ、今年の秋には、北日本児童文学賞の優秀賞を受賞しました。
実力がなかったので、二冊目を出すことができなかったのは、今思えば当たり前ですが、その6年間は私にとって苦しくもあり、また貴重な時間となりました。
正直、焦ったときもありましたが、そのファイルとノートを開くと、児童文学学校と創作教室での充実感が蘇ってきます。また、初心に戻れ、作品を書く心構えを新たに整えることも出来ました。
年末年始のお忙しい時期ですが、北日本児童文学賞で受賞した『どんぐりかぞく』の朗読とインタビューが富山エフエムシティ(77.7MHz)で放送されます。良かったら聞いて下さい。
放送:12月31日(火)13:00~14:00 再放送:1月2日(木)9:00~10:00