子どものころの自分に向けて 白井さやか
道で苦手な人に会ったら、かくれるか?
わたしはかくれます。いや、かくれました。おとなになった今でも……です。かくれた時のざわざわした気持ちが忘れられなくて、ふと思い出し、はきそうになる日もある。
覚えている事は良いことなのか。ずっと疑問に思い続けながら、秋の1日講座「今、子どもたちの心をつかむには?」に参加しました。
講師の那須田淳さん翻訳の『ちいさなちいさな王様』と、戸森しるこさんの『理科準備室のヴィーナス』は、変わりたいと思っていた時に出会った本でした。タイトルにある“今”って? 今は30年前とは違うんだろうか。
おふたりのお話を聞いて、違わないと思いました。人は、人の思いは、簡単に変わったりしないんだなーと。変われなくて苦しむけど、変われない自分を認められたらいい。
おふたりのお話で共通していて、大きくうなずき、自分もそうだと思ったことがありました。子ども時代の自分、自分の中の子どもに向かって書いているということ。子ども時代をやり直したい。届けたい。そんな思い。
主人公の年齢設定に迷うことがあるのは、キャラクターがきちんとたってないからだと痛感しました。きちんと向き合えていないと。その人物が好きなものは、楽しく集められるけど、苦手だったり、嫌いなことをもっと考えなくてはダメだと感じました。
それから、名前。ぴったりくる名前がついた時、その人物は動き出す。名前が決まらないと書き進められないので、講師のマネをして名前ノートを作ることにしました。
冒頭に書いたことは、講師のおひとりが話されたことです。普通に生活していても、お話のネタになることはたくさんある。その時、どう思ったかが、創作につながる。
今、書きたいものを書けばいい。その言葉を胸に、ノートを買って帰った秋の日でした。