子育ての合間の「私時間」 華井由利奈
キラキラした表紙の児童文庫に心惹かれたのは、育休中のことでした。以前から作家に憧れていた私は、その後すぐ児童文庫の公募に作品を応募。本気で書き手を目指すようになりました。しかし、子ども向けの物語を本格的に書いたのはそれが初めてで、作法がさっぱりわかりません。講座を探し、仕事復帰のタイミングで児童文学学校を受講することに決めました。日曜日の午後、私の時間を作るために子どもと遊んでいてくれる夫には、感謝しかありません。
昨今はコロナの影響もあり、友人に会う機会がぐんと減りました。それに加えて、子育て中は何かと孤立しがちです。家庭、仕事場、保育園の3カ所を慌ただしく行き来する毎日。そこに「児童文学学校」という新たなコミュニティができ、生き返ったような心地がしています。月に一度、子どもでも家族でもなく、自分を成長させるための時間を持てる。それが私にとってどれほど大きな喜びか、うまく言い表せません。「子育て中はこんなふうに創作活動をするといいよ」「書きたいときがチャンスだよ、でも無理はしないでね」という人生の先輩方からのアドバイスは、涙が出るほど嬉しいものばかりです。
また、今回の講座では児童文庫で著書を出されている先生が何人も登壇されていて、児童文庫についても深く学ぶことができ、ありがたい限りです。
講座を受講して一番驚いたのは、「最初から素晴らしい作品を書ける人がいる」ということでした。講座後半の講評タイムでは、「初めて書きました」という言葉とともに素晴らしい作品を提出される受講生が、何人もいました。私は学生時代から数えきれないほど公募に応募し、落ち続けてきたので、才能ある方々がとてもまぶしく見えます。憧れの存在です。文才のない自分を情けなく思います。
しかし、そんなときに思い出すのは、講座内で先生がおっしゃっていた「とにかく書き続けることが大事」という言葉です。書き続ければいつかきっと形になると信じて、これからも物語を綴っていきたいと思います。何につけてもまだまだ未熟な私ですが、同期のみなさま、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。