月刊絵本の出版に寄せて なみもとあや
はじめまして。なみもとあやと申します。
この度、福音館書店の「月刊絵本こどものとも年中向き」より『てんとうむしくんとかたつむりくん』(2021年6月号)が出版されました。画家のどいかやさんが、繊細でうつくしい絵を描いてくださって、また福音館書店の編集担当者の方にも大変お世話になり、ようやく出版されました。
思いかえせば、わたしが最初に童話を書いたのは、5歳ごろ。おぼえたてのひらがなで、おりがみの裏に、ネコやウサギ、クマなど動物が出てくるおはなしを書いては、母親がホチキス止めして本のようにしてくれました。
小学生のころは、いたってふつうの女の子でしたが、宿題の自習勉強ノートに漢字や計算の練習をせず、勉強と称して物語ばかり書いていました。担任の先生に「将来は小説家になったら?」なんて言われたこともありました。
自分の書いたおはなしが初めて世に出たのは、福音館書店の育児誌「母の友」に掲載された『あくびだま』(2007年8月号)でした。はらっぱでネコがあくびをしたら、しゃぼん玉のような「あくびだま」が口から出て、ふわりふわりと飛んで、ウサギ、カエル、カバと順番にあくびがうつっていく、というおはなしでした。5歳のころに遊んで書いていたものの延長のようですね(笑)。
子どものころから好きだった福音館書店の絵本は、長男の誕生とともに「こどものとも」と「母の友」の定期購読を始めました。次男、長女と育てる中で、両誌は私の心の支えでもあり、社会に開かれた小さな窓でもありました。
その後、「母の友」には10年にわたって合計6作のおはなしを掲載していただき、今回とうとう「月刊絵本こどものとも年中向き」として出版された次第です。
『てんとうむしくんとかたつむりくん』の物語のテーマは、「ちがいを認め合う」ということ。晴れの日が好きなてんとうむしくんと、雨の日が好きなかたつむりくん。どうすればいっしょに遊ぶことができるでしょう?
おたがいの「ちがい」を知り、相手のことばに耳を傾けながら対話をすること、だからこそ広がる世界。そういうものをテーマにしています。
単行本として出版されたわけではありませんので、デビューと言えるのかどうかは分かりません。でも、この状況下で、多くのガマンを強いられている子どもたちの心に、少しでも明るい世界をとどけたい。てんとうむしくんとかたつむりくんといっしょに、物語の中を旅してもらえるとうれしいな。そう願う毎日です。
なみもとあやさんは、第49期 日本児童文学学校をオンライン受講されています。