「雪の日にライオンを見に行く」が書籍になりました
(上記タイトルをクリックすると書影が表示されます)
創作教室を受講された志津栄子さんの「ちゅうでん児童文学賞」受賞作が刊行されました。
おめでとうございます!
志津さんに今の思いを語っていただきました。
受賞時(昨年春)の記事はこちらです。
新刊ブログでもご紹介しています。
こころは自由に旅をする(志津栄子)
病室にパソコンを持ち込んで書き続けた夏の日。
辛い検査を終えて帰宅した冬の日。
ありとあらゆるものを手放すと、もう私には書くことしかないんだという覚悟だけが残りました。ちゅうでん児童文学賞受賞のお知らせをいただいたとき、それでいいんだよと、大きな誰かに言われた気がしました。神さまって本当にいるのかもしれません。
だからといって、今までの生活がひっくり返るわけではありませんでした。あたりまえのちょっと不自由な暮らしが続いていくばかりです。
そんな中、講談社の編集者さんとともに改稿作業を重ねていくと、たくさんの気づきがありました。本を世に出すということの責任の重さのようなものを知り、好き勝手に書くだけじゃいけないんだ、相手に伝わるように書かなくっちゃと、何度も書き直しをしました。本当に大きな勉強をさせてもらいました。
第69回創作教室でご一緒したK氏から、私が人生一発逆転と言っていたことを覚えているよとメッセージをいただきました。今となっては「キャー、恥ずかし~」という気持ちにもなるのですが、人生一発逆転はありかなしか? そこは「洋ちゃんちのおっちゃん」に託そうと思います。
あのころ、私の作品を読んだO氏から「ダメ男の負のループだ」と言われたことが忘れられません。そうでした。あれから数年たちましたが、物語に登場する父親たちの「ダメ男」ぶりは指摘されたとおりでした。トホホ……。どうやら私はダメンズ道をまっしぐらに進んでいるようです。唯人の父親が「ダメ男」に当てはまるのかどうか、O氏の意見を聞いてみたいです。
それはさておき、「おれが代りにどこにでも行ってやる」と、病室の私に言った唯人の言葉をたよりに、ここまで来ることができました。今、物語の中の子どもたちと一緒に、私のこころは自由に旅をしています。時間も空間も、ひょいっと飛んで、過去にも未来にも、どこにだって行ける! やっぱり書くことは素敵です。
多くの方に育てていただき、唯人の物語が完成したことに、今はただ感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。
唯人はもう私の手を離れて広い世界に出て行ったけれど、私にはまだまだ書きたいことがあります。書いて書いて、もう少し先にある何かに手が届くまで書き続けよう。今はそんなふうに思っています。
今後ともよろしくお願いいたします。