講座ブログ

2021年2月

日本児童文学学校に参加して

「夢でいっぱいの教室」 藤村沙希

    

 今から12年前、私は「日本児童文学学校」に参加しました。それまで地方で創作に励んでいましたが、思うようにいかず、思い切って新潟から通うことにしたのです。

 作家の先生方から話を聞けるだけでわくわくし、作品講評の時間には他の人に言われた講評もせっせとメモしました。帰りの新幹線から見える夜景がきらきらと美しく、それを眺めながら「いつか自分の本が出せたら」と夢が膨らんでいきました。

思えば、そこがスタートでした。その後も、本を出すどころか、書いても書いてもうまくいかず、次なる勉強の日々だったからです。

 そして、一昨年、夢が叶い、とうとう本を出版することができました。小川未明文学賞で大賞を受賞することができたのです。12年前、「文学学校」で提出する10枚の原稿に四苦八苦していた私が、いつのまにか100枚を超える原稿を書くようになっていました。書くのに四苦八苦しているのは今も変わらずですが。

「創作は教えられない」というのはその通りで、結局自分で書くしかありません。ですが、他の人たちから刺激を受けたり、作品を見てもらう、という機会は大事だと思います。

「文学学校」では書き始めた人から、すでに本を出した人まで様々な人たちがいました。「プロになりたい」「こういったことを書いていきたい」「身近な子どもにお話を作ってやりたい」と、参加した思いも様々ながら、その夢を叶えようと頑張る人たちが集う素敵な場所でもありました。読み手としても先生方のお話が聞ける、またとないチャンスなのです。

これを書いている今、私もまた今後の自分のために参加したくなってきました。 

(第37期 日本児童文学学校・参加)

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2021/02/27

第三回リモートがっぴょう会の感想②

リモートも良き!  もとまり

 
窓の外に澄み切った青空が広がる冬の午後、自宅リビングから初のリモート合評会に参加した。 
講師は、驚きのペースでユニークな作品の数々を世に送り出している超人作家、濱野京子さん。対する受講生は、東北から関東まで、各地より集いし七名。 
各作品15分ずつの講評と質疑応答。30分のフリートークも含め、2時間半の合評会は息もつかせぬ早さであっという間に終わった。 
リモートなので、作品の解釈を巡ってしわしわの原稿を握りしめて殴り合うようなこともなく(対面合評会でもそんなことはないです)、疲れたけれども、とても充実した楽しい合評会だった。 
自分の作品への講評は、やはり本当にためになった。小さなことでも、作品のリアリティを毀損するかもしれない部分などを指摘していただけたことも大変ありがたかった。 
特に心に残ったのは「熱い思いで書いて冷めた目でチェックせよ」「自分の書く言葉を疑え」という濱野さんの言葉。 
腑に落ちつつも、この言葉の真意が身に染みてくるのはもう少し先かもしれない。 
内容的には大変濃く、ハードだった2時間半。しかしながら、自宅からのリモートだとやはりリラックスできて、また、物理的には離れているにも関わらず、参加者の皆さんとの距離を対面合評会より近く感じた。これには個人差があるかもしれない。美味しいものを食べながら楽しい打ち上げができないのは本当に残念だけれども、普段は参加しにくい遠方の方や小さなお子さんのいらっしゃる方も参加しやすくなったのではないだろうか。フリートークタイムには、かわいいご家族が顔をのぞかせた参加者の方もおられて、講評後の解放感も手伝って、ほんわかとした気持ちになった。 
今回、新しい試みを企画し、当日の滞りない運営に尽力いただいた事務局の皆さん、また、多忙な中、講師を引き受けて下さった濱野さん、そして作品に忌憚なき意見をいただいた参加者の皆さん、大変お世話になりました。ありがとうございました。 
 

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2021/02/22

第三回リモートがっぴょう会の感想

第3回リモート合評会に参加して   小林史人

 

私は日本児童文学者協会主催の創作教室に通っていたことがあるので、合評会は初めてではない。オンラインによる合評会も、創作教室で知り合った仲間たちと月一で行なっている。

けれども、今回のリモート合評会の緊張感は今まで感じたことがないものだった。

リモートという環境や、タイムスケジュールが厳格に管理されていたということもあるが、なんといっても初めて会う方々との一回きりの合評会ということが大きかった。

創作教室にせよ仲間内での合評会にせよ、回を重ねていくうちにだんだん作者の人となりや作風がわかってくる。長所や欠点、そういったものも分かってくる。もちろんそれらを踏まえた意見ができることは良いことだと思うし、また同じ志を持つ仲間がいるという心強さは何物にも変えがたい。しかし、時としてそういった仲間意識のようなものに甘えてしまう事もある。

例えば講評の内容が作者を前提としたものになってしまい、結果的に作品そのものに向かわなかったり、自分でも未熟だと思う作品を提出してしまったり。

今回の合評会で提出された作品は、作風は様々あれど、どれも気迫のこもった力作ぞろいだった。「自分の力がどれほど通用するのか?」そういった作者の真剣な思いをジリジリと感じた。

その真剣さは講評でも表れていたように思う。ほめるところはほめるが、ダメ出しもキッチリする。各人が臆することなく自分の意見を言っていたことが印象に残った。

そして、濱野先生のご講評はやはり素晴らしかった。作品への視点、一文へのこだわり、さらには物書きとしての心構えなどなど、第一線の現場で活躍されている作家の言葉には重みがあった。自分以外の作品についても心に刺さるアドバイスがいくつもあり、用意していたノートにはびっしりと濱野先生の言葉が書きこまれた。ここでそれらを紹介することはしないが、個人的には特に推敲の重要性について思いを新たにしたところだ。

こういったスポットタイプの合評会は少なからず腕試しの要素があると思う。全国津々浦々、日々地道に作家としての腕を磨かれている方はたくさんいらっしゃる。そのような猛者たちの待ち受ける場に自分の作品を出すことは勇気が必要なことであり、参加しても自分が思っているような評価が得られないこともあるが、その分必ず得るものがある。真剣勝負は人を成長させる。

公募で思うような結果が残せなかったり、自分の現在地がわからなくなっていたり、そういった悩みがある方にはこのような合評会への参加をお勧めしたい。

私もここで得た学びを次に活かし、これからも精進していこうと思う。

濱野先生、スタッフの皆様、参加者の方々、ほんとうにありがとうございました。

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2021/02/13

第三回リモートがっぴょう会・報告

リモートがっぴょう会の報告     松原さゆり

 

二月六日土曜日「ONE DAY 第三回リモートがっぴょう会」が開催されました。

講師は作家の濱野京子さんです。

 事前に、第二回リモートがっぴょう会と同時の接続確認会を設けました。

 当日の司会は、事業部員のしめの、タイムキーパーは同部員の筑井、七名の受講生全員が集いました。

 

作品課題は長編となっており、集まった作品の題材も幅広く独自の世界観もあり、力作がそろっていました。

開始前の接続も全員そろい、自己紹介がありました。皆さん、自身の作品を必死で向き合ってかきあげたという、やる気と熱量が画面にあふれていました。

講師の挨拶では「愛あるきびしさで向かいます」と、もうここから受講生が引き込まれた様子です。

合評では、たしかに講師の的確なアドバイスは、時にはきびしくもあり愛情深く具体的なものでした。皆さん、深くうなずいていました。

受講生のレポートと感想も、読みの深さを感じます。司会者からのランダムにふられる感想も、緊張感の中はっきりと話され、会はさくさくと進みます。

終了後のフリータイムや親睦会でも話はつきません。受講生からの質問に、講師は親身に答えて、相互の書くことに真剣に向き合う情熱が伝わってきました。

 

主軸は、七作品おのおのの「作品の未来」についての、いかに、どうしたら、どこに向かうという合評になったと思います。

講師から「公募は運だ。落ち込む必要はない。自分の書くことをがんばりましょう」は、力強いエールです。

「熱い思いで書いて、冷めた目でチエックする」とも、自分の作品は自分のもの、どう書き直すか、ただひたすら自分にかかってくると。受講生の背中も伸びたようです。ぜひ、今後にいかしていただきたいです。

人に会えない毎日の中、画面を通じてですがこうして合評ができて、いい機会になったと思います。

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2021/02/08