第60期創作教室受講生の家田智代さんの作品『怪しい我が家』が光文社文庫『ショートショートの宝箱Ⅲ』に掲載されました。おめでとうございます。掲載されるまでをご本人に書いていただきました。(赤羽じゅんこ)
<小さなお話が入選して本になりました> 家田智代
私が参加したのは第六十期創作教室です。先生や受講生仲間から作品を講評してもらう時間はとても楽しいもので、思いもよらない読み方をされることもあるんだと、目を開かされる思いがすることもたびたびでした。
続けて受講したかったのですが、両親の介護が始まって断念。二年ほどして母が亡くなったあとは自分が心身の調子をくずし、生活していくだけで手いっぱいになってしまいました。
調子が戻ってきたのは一昨年ごろです。そうすると、むくむくと書きたい気持ちがわいてきて、手始めに「JXTG童話賞」に応募しました。それは落ちたのですが、公募雑誌の「TO-BE小説工房」というコーナーで佳作に入選したことが励みになりました。
とはいえ、それからも童話の賞は落選続き。「TO-BE」では佳作四回、萩尾望都先生に会いたくて応募した「ゆきのまち幻想文学賞」では本選進出と、童話以外の賞では手ごたえがあったというのに。
今回、幸運にも光文社文庫『ショートショートの宝箱Ⅲ』に収録された作品『怪しい我が家』も童話のつもりで書き始め、途中で「違うな」と思って「光文社ショートショートコンテスト」に応募したお話です。こちらの賞でも入選のほか優秀賞を二回いただいています。
入選も嬉しかったのですが、大好きな森見登美彦、北野勇作両先生の作品が並ぶ本に入選作が掲載されたこと、その本が書店の新刊コーナーに平積みされている光景には、どれだけ感激したことか。
おかげで、お祭りのようなひとときを過ごすことができましたが、お祭りで終わらせず出発点にしなくては。現在は「日産童話と絵本のグランプリ」「児童文学草原賞」「福島正実記念SF童話賞」ほかの審査待ちです。
創作教室でご指導いただいた小川英子先生には今回、改めて「看多、作多、商量多。多く読み、多く書き、多く書きなおす。これ以外に上達の道はありません。書き続けましょう、花ひらくまで」という言葉をいただきました。書き続けます、花ひらくまで。