創作教室を受講したころ 辻 貴司
ぼくが「創作教室」を受講したのは5年前です。
まず、驚いたというか、うれしかった(ワクワクした)のは、受講生の「デビューするぞ!」というモチベーションの高さでした。
まわりは、2週間に一度の合評に向けて、他の受講生の作品10編以上を読みこみながら、自分の創作時間を捻出して、バンバン新作を出してくる猛者たちばかりです。
ぼくも負けじと全作品をつぎこみ、ストックが切れると、締め切りに追われるように、徹夜しながら新作を書きました。
いつしか、ほとんど寝ないまま、書き上げたばかりの合評用作品を全員分コピーしに走り、そのまま創作教室に行って提出する、というのが恒例になっていました。
でも、全然、眠くなかったです。
ただただ「楽しかったあ」という気持ちでした。
2期連続で受講して、あるときから自分の文体はこうなのかな?と、なんとなくわかってきたような感覚がありました。
すると、あるとき合評でとなりに座ったYさんが「ツジさんは、いつからか上手くなりましたよね」と言ってくれたんです。
ひたすら読んで書いた日々は、きちんと力になっていたんだと、うれしく思いました。
ぼくも「この講座でいちばん上達したのはEさんだよ」と、ほめたことがあります。
そうしたら、Eさんは、その翌年に新人賞でデビューして、なんと受賞作がシリーズ化されたんです。
ぼくの見る目の正しさを証明してくれた出来事でした。
……が、うれしいのだけれど、なんだか置いてきぼりをくったような気分にもなって、夜中の公園でボールを壁にぶつけたりしました。
同期で少なくとも4人が単行本デビューしました。
そういうことが日常的に起きる「創作教室」は、日本の児童文学界でトップクラスの合評会だと思います。
もう書き始めていて、出版デビューを目指しているみなさんにおすすめです(^^)