日本児童文学学校、卒業生の 事業部員からもうひとり、書いてもらいましたー☆ 「さなぎ」は、がんばっている同人誌として、注目されています。
知らなかったこと 大澤桃代
児童文学学校に通ったのは小説を書き始めて間もなく、10年ほど前のことだ。
「書いてはいけないことは、ありますか?」「教訓はいりますか?」「児童文学って何ですか?」講師の先生方にそんな質問をした。初心者丸出しの拙い問いに、先生方はちゃんと答えてくれた。わかる言葉でかみくだいて説明してくれた。たぶん、そこから児童文学とのご縁ができて、今にいたっているのだと思う。
好きで小説を書いていただけの自分にとって、出版をしたり書くことを生業としている方々は、雲の上の人で、住む世界が違うと信じていた。会話ができると思っていなかったし、ましてや一緒にお茶やお酒を飲むなんて……有難かったとしか言いようがない。初めから対等な仲間として見てくれたのだから。
こんな世界があるなんて知らなかった。
そう、あの頃は(少なくとも今よりは)若くて素直で可愛くて謙虚で人見知りで???何も知らなかった。だから、何でも聞くことができた。そうして、尊敬できる師と仲間に出会い、なんと児童文学同人の会「さなぎ」を立ち上げてしまったのだ。文学学校の翌年には「さなぎ創刊号」を発行し、毎年発行を続けている。そして、今「さなぎ10周年記念号」の準備中だ。
ぼーっと生きて来て、ぼーっと講義を聞いていた自分に、こんなに忙しくも楽しい未来が待っているなんて、やっぱり知らなかった。人生に分岐点があるとすれば、文学学校に通ったあの頃に違いない。
ちなみに、先の質問の答えは「すべて自分で決めなさい。自由に書きなさい」だと勝手に解釈している。
第37期文学学校受講 大澤桃代