講座ブログ

第50期 日本児童文学学校 感想⑭

旅路はちいさな一歩から  田中 敬二郎

 

すべての旅のはじまりには、ちいさな一歩が伴いますが、その一歩がどんな道へ続いているのかは、歩き続けてみないとわからないものです。

 

わたしのちいさな一歩は、偶然が紡ぎ合ったものでした。子どもの頃から、古い童話や民話に興味があり、大人になるにつれて、上橋菜穂子さんの「守り人」シリーズが好きでよく読んでいました。また、大人になってから読む児童文学は、大人になっていく過程で忘れてしまったことを思い出させてくれるものであり、どこか児童文学に憧れを抱いていました。

一方、大学で近代文学を勉強していたことから、心の片隅でなにか物語を作りたいなという気持ちがありました。

日本児童文学学校のことを知ったのは、そんなもやもやとしていた時期です。ちょうど大学に通っていた際に、協会の現理事長である藤田のぼるさんの講義があり、そこで学校のことを知りました。そして、わたし自身なにか物語を作れたらいいなと考え、受講へといたります。

 

学校で教えてくださる先生は、どなたも第一線で活躍されている方々ばかり。どのような一歩で児童文学作家になられたのか。書くことの大変さや、その大変さをどう乗り越えてきたのか。そして、自分の中にある物語の種を咲かせるために、先達の本を読み、物語に必要なことを調べ、子どもたちのために、物語を書き続けていく。先生方のお話はどれも貴重で、終始その熱意に圧倒されながら講義を受けていました。

 

学校の後半では、受講生の皆さんがそれぞれ書いた作品について、先生方や受講生の皆さんと一緒に感想や意見を交わします。受講生の皆さんの作品は、どれも面白く、バラエティーに富んでおり、わたしが考えつかないような作品ばかりでした。そして、作品のこういうところが面白かった、どうすればもっと魅力的になるのかなど、先生方も受講生の皆さんも、真剣にその作品の感想や意見を交わしているのが印象的でした。こうした機会が得られるのはとても幸運なことだと思います。

 

わたしの作品が講評されたのは、だいぶ後でしたので、不安との戦いでした。結果として、辻貴司先生や受講生の皆さんに面白いと評価していただきました。自分がうんうんと苦しみながら書いた作品について、真摯に意見や感想を言っていただき、さらには面白いと言っていただくのは、ありがたく、たいへん嬉しいことだと実感しました。

 

この学校は、わたしのちいさな一歩を踏み出すきっかけを作ってくれた学校でした。このちいさな一歩がこの先、どんな道へ続いていくのかわかりませんが、これからも歩き続けていきたいと思います。

 

第50期 日本児童文学学校もあと一回で終了となります。今期は、積極的な方が多く、終了後もグループをつくり、書いて行こうという流れもあるようです。

すばらしいですよね。オンラインの講座でも、こういうこともできるんだなっと、スタッフは感激しております。

そして、今日9月1日は、受講生の提出作品の〆切り日です。10枚までの作品を提出していただき、最優秀、優秀作品を選びます。最優秀作品は、機関誌『日本児童文学』にも掲載します。みなさまの力作、お待ちしています。〆切り厳守で、お願いしますね。 赤羽

2022/09/01