気づいていないだけでそこにある 尾崎悟史
先日、2019年3月16日に行われた「めざせ!絵本テキスト大賞・公募の壁を突破しよう!」を受講しました。
とは言うものの、私はこれまで長編ばかりを書いてきた人間です。ではなぜこの講座を受けたのか? 実はこのところ私は、ずっと自分の児童文学に対する向き合い方に悩んでいました。そんな時、この講座の開催を知り、何か新しい発見や気づきがあるかもしれないと思い、参加を決めたのです。
ですので、純粋に絵本テキスト大賞を目指し、がんばられている他の参加者の方々とは受講するスタンスが違っていたかもしれません。しかし今回の講座は私にとって、大いに得るものがありました。それは作家の「創作に対する姿勢」についてです。
当日は講演やトークショーをしてくださった方々のたくさんの言葉が心に響きました。
「内なる子供を呼び起こし、書いてほしい」「常に作品のことを考えていた。夢の中でも作っていた」「自分が書いて楽しいと思うことが大事」等々、どれも作家にとって大切なことばかりです。
その中でも特に心に突き刺さったのは、きむらゆういちさんの言葉です。
「デザイナーは手が二本しかないのに新作を産み出す。作曲家はドレミファソラシドしかないのに新曲を作り出す。あなたも気づいていないだけで、『アイディア=答え』はすぐそこにある。そう思って書き続けなさい」というものでした。
その時、分厚い雲に覆われた私の頭の中に、一筋の光が射し込んだ気がしました。
一日講座は作家を目指す人であれば、たとえ目的が違っていても、どんな講座であったとしても、きっと何か得られるものがあります。
私にとっては「ほら、モタモタしていないで。さあ、あの雲の向こうにある『答え』に向かって書き出そうよ!」と背中を押してくれた講座でした。