駅伝の如く 空 千佳子
出発点は、二十年ほど前の満月の夜。子どもたちを守りたい、という強い思いに駆られた。その数年後に、日本児童文学者協会に入れていただき、一日講座や実作通信講座を受講した。
多くの尊い同志と学び合い、無数に応募し無限に落選。締切りに追われ、目が回る日々。
「頑張ろう!」「もっと頑張ります!」「頑張りましょう、次回こそ!」
言い飽きるほど言ったし、聞き飽きるほど聞いた。
なぜ、頑張ってるんだっけ? ねえねえ、頑張るって何⁈
でも、『5分ごとにひらく恐怖のとびら 百物語』第二期に応募して、ようやく気が付いた。今まで、頑張っているフリをしていただけだった、と。
本当は、締切り二週間前に、一作品だけで応募しようとしていた。
ところが、あることが引き金になり、ひとり駅伝モードに突入。
「お前はもっと頑張れる」「俺はまだ生きてる」「お前、走れ!」「俺、走る~っ!」
もう踏ん張れないという時点から、更に踏ん張ってみた。初めての体験だった。
ギリギリで、三作品に増やして応募し、秋に結果が出た。
二週間で書き上げた内の一作品だけが入選し、残りの二作品は落選。
嬉しさ半分、焦り半分。なんで、ひとつだけ? 他のふたつは、なんで、だめ?
いやいや、おごるなかれ。『三分の二は圧倒的に実力不足』というメタファーなのだ。
今、静かに、出発点の自分と向き合う。微力でも書き続けたい。子どもたちを守りたい。
すぅう、はぁあ……呼吸を整え、次の駅伝へ。