リモートがっぴょう会の報告
9月5日土曜日「リモートがっぴょう会」が開催されました。
これは、初めての試みで、コロナ禍になにかしたいという若手の思いからでたことで、今回はモニター企画ということもあり、無料にしました。
提出作品の中から二作の優秀作品を決定しましたので発表します。
《優秀作品》
『コーヒーキャンディ』志津栄子 作
『オレたち、編み物クラブ男子部』松ふじ子 作
コロナ禍のため四月から予定されていた「日本児童文学学校」が中止となる中で、今できることを、と、考えたのがリモートによるがっぴょう会です。初めての試みでしたが大きなトラブルもなく、無事に終えることができました。
当日は、10名の受講生と作品コメンテーターの赤羽部長、司会とタイムキーパーの開がリモートで顔を合わせ、オブザーバーとして3名の事業部員が参加をしました。
受講生にはがっぴょうの順番、作品ごとの代表レポーターと一言感想者を予め割り振り、想定時間内に収まるように練習をお願いしました。また、事前の打ち合わせにも参加してもらいました。
合評は、多少終了時間がのび、ミュートのしかたなどに多少とまどいましたが、つながらない人もなく、順調に進みました。受講生の方々も準備した上で合評に臨んでいただいたことが伝わってきました。
司会者は自ら用意した大時計が画面にうつし、時間通り、合評が行われるように声掛けてくれました。
作品は幼年からYA、ジャンルも様々でした。レベルが高く読み応えがあり、優秀作品の選出には苦慮しました。
遠くの方々と時間を共有できるのはリモートならではでしょう。反面、限られる時間の中、作品への掘り下げや議論の不足なども感じました。いずれにしても、次につながる会になったと思います。 (大澤桃代)
講評―赤羽じゅんこ
『コーヒーキャンディ』 志津栄子
主人公の神崎美優が、幼なじみの男子、柚也に呼び名を変えてといわれ、学校では、イノくん、二人の時はユキちゃんとよぶようにする。都会からの転校生、積極的で派手なモナがきて、美優の心にさざなみがたつ。モナが柚也に近づき、仲よくなっていくと、美優の心の中に、今までなかった感情がうかび・・・
おとなしくて、一步さがってしまう美優の心情がうまく描かれていて、読みながらいろんな思いになる作品です。奇しくもただひとり、男性の参加となった、開さんはとくにドッキリしたと押してくれました。
情景描写などをたして、さらにいい作品をめざすとともに、ラスト、この着地でいいのか、もう一度、考えてみてください。
『オレたち、編み物クラブ男子部』 松ふじ子
オレ、(五年生、池田剛)は、学校の授業のクラブ活動で、ふざけて第二志望に書いた編み物クラブにはいることになってしまった。絶対に第一志望のサッカーになるときまっていると思い、はずみで書いてしまっただけなのに。
編み物なんて、やってられるかと思ったのだが、しかたなく編み物を編んでいくうちに、気持ちは変わっていって・・・。
男子が編み物という意外性をねらった作品。書き手が編み物のことをしっかり理解しているので、説明なども適切で文章にも勢いがあり、一気に読ませてくれる。
さらっと読めるのだが、読者の心にうったえる、もうひと味がほしいところで、動機を工夫したり、もう少しひねりといれたり、読者をはっとされるしかけをいれるなど改善の余地もある。さらにブラッシュアップしていい作品にしあげてほしい。
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全体として、今回、レベルが高い作品が多く、互いの作品への講評もみなさん、いいところをついていて、おもしろい会になりました。
がっぴょうというのは、講師だけでなく、みんなでつくりあげていくものだと、改めて感じました。
この二作品のほか、のやまさよさんの『招き猫の寺で私は猫になりました』もよかったという声があがりました。
今回は、リモートでの開催が初めてだということと、がっぴょう研もなくなり、さびしいという声にこたえたいという意味で、モニター価格・無料ということで行いました。
しかし、リモートで開催するにあたり、事業部は何回もWEB会議を重ね、時間をかけ議論しました。実際、開催となると招待メールをきちんと送るなど手間がかかり、講師も対面と同等、それ以上の準備が必要とわかりました。
そのため、以後、開催する場合は有料になると思います。
無料で見られる動画配信なども多い現在、価格の設定には様々なご意見があると思いますが、講師をする作家の権利を守るのも日本児童文学者協会の役目でもありますので、その点、ご理解、いただきたいと思います。