初出版にあたって 森くま堂
二〇二〇年七月、私は絵本『おむすびころりんはっけよい!』を偕成社さんから出版していただきました。
おりしも世間はコロナ禍のまっただなかでしたが、それでも書店に行けば自分の絵本がならび、ネットで検索すれば書影がパソコン画面に浮かび上がります。図書館には新刊で入ってくるのです。
まことにこれは夢か幻か!といった数か月、祭りのような喜びに満ちた毎日でした。
その祭りもようやく静かになり始めたころ、
この原稿の依頼を受けました。
『おむすびころりんはっけよい!』は、およそ十年前、神戸新聞に連載した「おむすび・おにぎり大戦争」という短編がもとになっています。当初、私は自分には幼年童話は難しいと高いハードルを感じていました。ですからけっして小さな子どもたちへむけての物語ではありませんでした。そのハードルを取り払ってもらえたのが、加藤純子先生の通信講座です。小さな人たちへの物語はどうあるべきか。小さな人たちの鋭さ、豊かさを教えていただいたように思います。
「おむすび・おにぎり大戦争」を絵本にと考えたのは講座の終了後でした。が、伝えてくださった言葉の一つ一つ、小さな人たちの物語の骨格一つ一つを思いだして、編集さんや画家さんといっしょに絵本へと改訂していくことができました。
そして今、よい作品に仕上げることができたと自負しております。ありがたいことに二か月で重版にもなりました。
もしも今、自分のなかにハードルを感じていらっしゃる人がいたなら、ぜひ講座を受けられることをお勧めします。そして、あなたにも自分が描いた世界を多くの人に見てもらえる幸せを味わっていただきたいです。
出版を続けていくことはとても難しいことだと思いますが、私も頑張ります!