子どもと平和の委員会

子どもと平和の委員会ブログスタート!

「子どもと平和の委員会」のブログがはじまりました!

まずは,現在,委員会のとりまとめをやっております奥山恵が,委員会の活動の報告やおしらせ,その他,子どもと平和をとりまく問題について,気がついたことなどを書いていきます。 どうぞよろしくお願いいたします。

「子どもと平和の委員会」は,文字通り,子どもが生きる環境について考え,また,その平和が脅かされる恐れのあるときには,それに対処する活動を担っています。昨年の「特定秘密保護法案」が成立してしまう前後には,他の団体の反対の動きなどを参照しつつ,児童文学者協会でも,反対声明をどのように出すかいろいろ話し合いました。このように,直接反対声明を出すというような活動もありますし,平和に関するテーマを児童文学として作品化することにつなげて,学習会をしたり,見学ツアーを企画したりもしています。

そんな委員会のブログ開設の最初の記事としましては,少し残念な報告ですが,今年のはじめ頃から,東京都内の図書館や書店で「アンネの日記」に関連する本が300冊以上破られるという事件があったことは,すでに2月以降の新聞報道などにより,周知のことと思います。じつは,この破損事件の被害にあった図書の中に,日本児童文学者協会が編集した本も入っていました。 その本は,協会の設立60周年にあたり刊行された「おはなしのピースウォーク」シリーズの5巻目『地球の心はなに思う』(新日本出版社、2007)です。このシリーズは,「新しい戦争児童文学委員会」が中心となって編集された平和を考える短編集シリーズですが,この5巻には,小川英子作「続アンネの日記」という短編シナリオ作品が収録されています。他にも,協会員の書いたアンネ・フランクの伝記なども被害にあっていますが,このような本のタイトルとして表面に見えていない作品まで調べ上げて手をかけるというところに,事件の根の深さを感じたりもしました。

「子どもと平和の委員会」でも,1月頃から委員のきどのりこさんより,都内の図書館の被害の情報がもたらされ,意見を出し合ってはきましたが,その頃は,事件の概要も犯人もほとんど明らかになっていない中で,具体的な対応は考えにくい状態でした。その後,3月になって,都内在住の男性が逮捕されたとの報道が流れましたが,事件の動機なども「思想的な背景はない」とあり,依然として不可解な点が残るばかりです。

組織的な犯行というわけでもないので,抗議声明などを出すような案件ではありませんが,近年の図書館環境のあり方や、「アンネの日記」というテキストの受容のされ方,また,最近のさまざまな排外的な動きや暴力について,今後,研究会やシンポジウムなどを行ってもよいのでは…との意見も,委員会の中では出ています。 今期の委員会メンバーは,まもなく解散となり,この問題は次期の委員会へと持ち越されることになります。協会の本も被害にあうという残念な事件ではありますが,子ども・平和・本…を考えるひとつのきっかけとして受けとめて行きたいと考えています。

2014/05/24