『日本児童文学』9・10月号 おまけの情報②

『日本児童文学』編集部

<私は子どもの権利条約の「ファン」。子どもの権利条約は私の「推し」。そう整理するのがピッタリだと自覚している。>という書き出しから始まるのは青木沙織さんの論考です。

たしかに「推し活」は、いまブームで、その対象はさまざまに広がっていますが、それにしても「条約」というお堅い領域を「推し」の対象にするなんて無理があるのではと思いながら読み始めました。

子どもの遊び場の研究や設計をやりたくて東農大の造園科学科に入学した筆者は、世田谷区内の冒険遊び場に出入りしているときに「権利条約」を知ることとなります。すると条約の小難しい文言が、冒険遊び場という現場を支えるおとなや仕組みに照らせば、<ああそういうことかと染み渡っていく感覚があった>と言うのです。その感覚は、前回のこのブログで紹介した「アニマシオン」と近いものかもしれません。そんな青木さんの書いた論考ですから読んでいる方にもワクワク・ドキドキが伝わるのです。

私がとくに面白かったところは、筆者はもともと「権利条約」の読者だったのですが、その「推し活」が高じて編集者となり、さらに「子どもの権利条約ブックリスト」を作ろうと他社に呼びかけるところです。なんというバイタリティ! アニマシオン全開です。その成果であるブックリストには、今号にエッセイを寄せてくださった甲斐田万智子さんの『世界中の子どもの権利をまもる30の方法』や大屋寿朗さんの『ワニブタ子どもの権利【right】絵本』、そして、増山均さんの『うばわないで! 子ども時代』なども紹介されています。本誌46ページのアドレス参照の上ぜひともダウンロードしてみてください。
(文責 荒木せいお)