著作権ガイドQ&A

1小学校のあるクラスで授業をすることになり、何人かの作家の作品をとりあげることにしました。作品のコピーを配ろうと思っていますが、問題はないでしょうか?
基本的に問題ありません。

学校その他の教育機関で、教育を担当する者及び授業を受ける者が、その授業の過程で使用する場合には、必要と認められる限度で、公表されている著作物を、著作権者の許諾を得ないで複製して使用することができます。
ただし、以下の場合は、NGです。
•小説・童話・詩集などを、教材としての必要な範囲を越えて(全編など)複製すること
•市販のドリルなどを複製すること
•クラスの児童の数以上の数の複製をすること
•製本して長期保存にたえるような形に複製すること

また著作物の使用にあたっては、
・作品の題名、著作者名をはっきりと示すこと
・授業で使用しないところまで複製しないこと
が必要です。
ここでいう授業には、教科の授業だけでなく、特別活動や総合的な学習もふくまれます。
また、
・当日欠席したクラスの児童に、後日そのコピーをわたすこと→○
・学校全体で配ったり、教育委員会などで広く利用したりすること→×
です。
あくまでそのクラスでの授業に使用する目的が大事で、それ以外に使用するのであれば、著作者の許諾を得なければなりません。
なお、教育機関には公民館などもふくまれます。それらの講座で受講生に限って著作物のコピーを配ることはできます。
塾や、カルチャーセンターなどは、著作権法で認められている教育機関とはなりません。
2わたしの詩集の中の一編が、見ず知らずの人のホームページにまるごと掲載されていました。著作権侵害ではないでしょうか。
著作権侵害にあたると思われます。

著作者にことわりなく詩をそっくり載せるのは、著作権の侵害にあたります。ホームページの発信者に「無断掲載は著作権侵害にあたる」ことを伝えましょう。その対応などで場合によっては、削除を求めるなどの請求をすべきでしょう。
ただし、きちんとした引用であれば著作権侵害にはなりません。「著作権ガイド」の「引用」を参照して、正しい引用かどうかを確認してください。
なお、発信者がわからなかったり、発信者に削除を請求しても応じない場合でも、プロバイダ責任制限法に基づいて、プロバイダに発信者の情報の開示や削除を求めることができます。当該プロバイダに問い合わせください。
3自分のホームページに発表した新作の著作物はどのように保護されるのでしょうか。
著作権によって保護されます。

著作権法では著作者の権利として公衆送信権をもうけています。
送受信の双方向の機能をもつインターネットは自動公衆送信といわれて、プロバイダなどに送信した段階で著作者の権利が発生する送信可能化権をもうけています。
ですからあなたがホームページに発表した作品は、その時点で著作権が発生していることになります。
4市民会館で行われた詩の朗読会で、わたしの詩もとりあげられました。朗読はある劇団所属の方が行い、入場無料でしたが、後日CDにして有料で販売されるとのことです。こうした会での、著作権はどう考えたらいいでしょうか?
朗読会は、著作権が問題になることはありません。
CD制作については話し合う必要があります。


著作権法では、
①営利を目的とせず、
②聴衆から料金をとらず、
③出演者に報酬が支払われない、
という三つの条件を満たしていれば、営利を目的としない上演等にあたり、著作権者の許諾を得ないで行えます。ご質問の朗読会は、これにあたります。
なお、次の場合は、「営利を目的とする上演」と考えられ、著作権者の許諾が必要です。
・会社のショウルームなどで行う、入場無料のもの
・多くのチャリティーショー
(出演者は無報酬ですが、入場料は福祉や慈善事業に使われるため)

CDの制作について
詩の作者であるあなたの許諾が必要です。また、同時に、詩を朗読した人、レコード製作者の著作隣接権が別に生じます。
CDを制作するのであれば、制作枚数や費用や収益の配分などを関係者で話し合う必要があります。

※お話会や読み聞かせ会について
複数の著作権が重なっていることがあり、十分注意が必要です。
児童書出版者・著作者懇談会では、『読み聞かせ団体等による著作物の利用について』というガイドラインを作成しています。参考にしてください。
※問い合わせ…日本書籍出版協会
5ある編集者に、長年あたためていた作品のアイディアを話しました。ところが一年後にわたしのアイディアそっくりの作品が、作家A氏によって書かれ出版されてしまいました。悔しさと割り切れない思いでいっぱいですが、法律上の問題はないのでしょうか?
問題ありません。残念ながら。
道義上の問題はのこりますが。


著作権法の対象になる著作物とは、「思想又は感情を創作的に表現したもの」でなければなりません。
小説・童話・詩・講演・演奏・楽譜・絵画・絵・イラストなど、「具体的に表現されたもの」にかぎられます。
ですから、アイディアは、それだけでは著作権が認められる著作物とはなりません。
さまざまな表現による新しい作品創造の機会を保証しようという考えがあるからです。
編集者に話したというのもまだアイディアの段階ですから保護の対象になりません。
タイトルも著作権の対象外です。
ときに同じタイトルの作品を見かけることがあるのはこのためです。
(ただ最近は、ネーミングが商標登録されていることがありますから、注意が必要です。)
「発明」や「考案」などの技術的なアイディアの登録・保護等は特許法、商標については商標法で決められています。「著作権ガイド」に記載した、特許庁のホームページで、どんなものが登録されているかを検索することができます。
6出版契約書があるのに印税が支払われません。どうしたらいいでしょうか。
出版社の契約不履行です。きちんと督促しましょう。

出版契約書には印税の支払い時期が記載されています。
出版社はある著作物について、出版権の設定によって、出版という形で独占的に利用できる権利を持つことになります。これに対して、著作者は、印税などの収入を得られます。
出版社はそのほかに、原稿などの引渡しを受けてから6か月以内に出版する、といった一定の義務を負うことになっています。
本が出版されたということは、著作者であるあなたは契約を履行しているわけで、それに対して印税が支払われないというのは明らかに出版社が、契約の履行をおこたっているといえます。
ただ、督促しにくいというケースもあるでしょう。そこで、まず担当編集者に連絡するとか、あるいは直接経理担当者に手紙やメールをおくるなどの働きかけをするとよいでしょう。出版社側に勘案すべき事情がある場合もありますが、そうした場合でも事前にその旨を著作者に報告されるべきと考えられます。
また、契約書を取り交わしていなくても、印税未払いの理由にはなりません。
本が出版されたということは、相互にある取り決めがなされたと認められます。契約書がなくても印税の支払いは標準的におこなわれている条件が準用されると考えられます。
ただし、少なくとも発行部数、定価、印税率、支払方法などは、なんらかの文書(メール、ファックスなどもふくめて)で、著作者が事前に確認されることが必要だと思います。
出版をめぐり著作者と出版社の間でトラブルが生じた時は、日本児童文学者協会も参加している出版ADR(裁判外紛争解決手続き)を利用することができます。

※出版ADR
電話:03-3222-9055
第三・第四水曜日の13 ~16時
電話相談は無料
和解斡旋費用:10000円~
7ある出版社の文学賞に応募したところ、入選はしませんでしたが、三次予選まで残った作品だからと自費出版をすすめられました。自費出版について教えてください。
出版社にあおられることなく、冷静に、じっくりと考えて、対処しましょう。

自費出版を専門とする出版社がいくつかあり、その中で文学賞を立ち上げ、応募者に自費出版をすすめるということをおこなっている社が複数あります。
社との共同出版という名目ですすめられる場合もあります。
出版社によっては、本を出してほしいがために作品を過剰にほめることもあります。冷静に対応しましょう。自分として、ぜひこれだけは本にしたいという一冊に的をしぼり、出版の時期についても、あせらず、熟考すべきでしょう。
自費出版の費用は、装丁、ページ数、挿絵、写真、編集方針、流通形態等、さまざまな要素によって相当にちがってきます。
・予算を明確にする
・複数の社から見積りをとる
・実際に手がけた本を見せてもらう
などをおこなった上でじっくりと交渉しましょう。
また編集がていねいでしっかりした本をつくる、といった出版社の力の入れ方も、決めるうえでの大切な要素といえます。
書店の流通ルートにのせる、新聞や雑誌に広告をだすということを材料に、本が売れる印象を与える出版社もあります。その広告代は出版費用に加算されるわけですが、宣伝がただちに販売部数にむすびつくわけではないので、過剰な期待はしないほうがいいでしょう。
ただ、自費出版では、
詩集、エッセイ集など商業出版が困難なものや、歴史もの、戦争にかかわるもの、短編集など、テーマ、グレード、長さなどの点で商業出版にのりにくいものなどを出版することができ、意味ある出版方法ともいえます。
自費出版された本で、文学賞を受賞した作品、図書館協会などの選定図書になった作品などもあり、いいものはきちんと評価されています。
8著作者がなくなったときの著作権はどのように継承されるのでしょうか。わたしには妻と二人の子がいますが、そんな場合はどうしたらいいのでしょうか。
著作権のうち、「財産権」はご遺族に相続されます。著作権人格権は相続されません。

著作者の権利には、著作者人格権と著作権(財産権)があります。著作者人格権は、著作者本人だけがもつ一身専属制といわれる権利で、相続の対象とはなりません。ですから、遺族などが相続するのは、著作権(財産権)ということになります。
著作権(財産権)は、遺言などの特別の取決めがない場合は、民法の定めによって相続されます。あなたの場合、妻と二人のお子さんが相続人にあたり、著作権者として著作権を承継できることになります。
ただ、著作物の利用にあたっては、多くの場合著作権者の許諾が必要となります。著作権の相続人が複数であるのは、手続きが面倒となります。
このような場合、著作権についての窓口は一人に特定したほうが、著作権者・利用者双方にとって便利で、のぞましいかとおもわれます。著作権使用料の分配などについては、相続人のあいだで別に取決めておくとよいでしょう。
また著作権(財産権)は遺言によるなどして、承継者を特定できますし、他人(団体や自治体などをふくむ)に譲渡することも可能です。
著作物を特定してそれぞれ承継するものを決めることもできます。
著作権使用料が相当額になる場合や権利関係が複雑になる場合などは相続人の間で話し合って、著作権がよりよく行使されるようにしておくことがいいでしょう。
著作者人格権は著作者が死亡すれば消滅しますが、文化の保護という観点から、死後も著作者の尊厳をおかすことのないように、著作権法では著作者人格権を侵害する行為をしてはならないという規定をもうけています。
万一、そうした行為をおこなったものがあれば、出版の差止めや損害賠償請求などの法的な手段をとることができます。
なお、著作権の保護期間は死後七十年となっています。
9ある公募コンクールで●●賞を受賞し、賞金を受け取りました。このコンクールでは大賞作品以外は出版されないため、わたしの作品は本になりませんでした。この作品を別の形で世の中に出すことはできないのでしょうか。
コンクールの応募要項によります。

公募コンクールの応募要項には、著作権について取り決めが書いてあります。
「入選作品の著作権は主催者に帰属」とあれば、原則として、著作権(財産権)は主催者に譲渡されます。移行するのは「財産権」のみで著作者人格権は譲渡されませんから、主催者は作品を勝手に作り変えたり、他の人の名前で発表したりすることはできません。
しかし、作者がその作品をあとから発表、出版したいとなった場合、「著作権は主催者に帰属」とある以上、自分の作品でも主催者の許諾がなければ発表、出版することはできません。
応募要項によっては、主催者への著作権の帰属期間が限定されているものがあります。
「入選作品の著作権は2年間主催者に帰属する」となっていれば、2年間に限定されます。
この場合、期間を過ぎれば、発表、出版の可能性があります。
このように、コンクールに応募する際は応募要項をよく理解することが必要です。
入選作品の扱いについて、要項に抵触することでも、希望があれば、主催者とよく話し合うことです。

※なお、こうしたコンクールの選考委員を引き受ける場合には、応募要項の著作権の条項に関して、積極的に助言を行うことが望まれます。
10わたしの書いた学校演劇用の脚本は、脚本集の中の一作として出版され、現在、全国の小学校で繰り返し上演されています。先日、首都圏のある塾が入場料をとって、わたしの脚本をもとに、わたしの許可なく劇を上演しました。これは許されるのでしょうか。そもそも多くの学校教師たちは、作者であるわたしに連絡もせず、脚本の作者名を明らかにしないで上演しています。
著作権侵害にあたります。

営利事業を展開する塾が脚本を使用しているので、塾は著作権者に許諾を求めた上で著作権使用料を支払わなくてはなりません。
「著作権ガイド」にある「作品使用についての申込書」を使用して、塾が演劇を上演するには脚本の著作者の許可をとり著作権使用料を支払う必要がある旨を申し入れてください。

なお、その脚本が掲載されている本を出した出版社に連絡をし、出版社からも塾に注意喚起するよう頼んでください。出版社は著作権が守られるよう努力する義務を負っています。

また、小学校の上演については、
著作権法35条の規定により、
学校の教室内では、著作権者の許諾なく公表されている著作物を使用することができます。
しかし、著作者には著作者人格権(この場合は氏名表示権)があり、脚本の作者名は明らかにされるべきです。これも、学校への申し入れ、および出版社を通じての注意喚起を要請してください。