チェックポイント
1.出版契約書の注意点
本を出版した場合、出版社との間で通常「出版契約書」を取り交わします。この際、注意するべき点を確認しましょう。
二次的使用について日本文藝家協会などに委託しているとすれば、その旨出版社に知らせましょう。
●出版契約の有効期間と更新
契約期間は大体3~5年。
更新された場合の有効期間は1~3年くらいが妥当です。
契約期間が10年の場合。本が品切れ、休版状態になっても、契約期間内だと、他社での復刊など、作品の扱いが著作者の意のままにならないことがあります。注意が必要です。
2.著作権が侵害されたとき
自分の作品が無断で使用されていたり、約束と違う形で使われていたりといったケースは決して少なくありません。さらには、盗作、盗用といった被害をうけることもなしとはしません。これに対処していくことはなかなか面倒なことですが、自分自身のためにも、また同様なケースをなくしていくためにも、見過ごすことはできません。
●著作権侵害への対処方法
・著作権を侵害している相手方に、文書などで問い合わせと抗議
・是正や損害賠償を申し入れる
●相手先との交渉
・出版社を通して行う場合
出版社が交渉先になった場合は、連絡をとりあって、相手先と交渉する。
・著作者本人が行う場合
「日本児童文学者協会会員」などの肩書を積極的に使う。肩書きはそれなりに有効です。
●交渉過程の記録
・相手方との交渉は、記録に残しましょう。手紙、確認文書、ファクシミリ、メールなど。
交渉をしても著作権を侵害する行為が継続している場合、あるいは権利侵害が起きそうな場合は、裁判所に対して出版(発行)差し止めの請求ができます。
3.電子書籍出版の注意点
近年、電子書籍による出版が増えています。電子書籍は、本体がネット上にあるため、発行形態や流通形態が紙媒体書籍と大きく異なっています。
そのために、発行部数や印税率、支払い方法にもちがいがあります。
出版契約書もふくめて、その点を確認してみましょう。
●部数
・部数=「実売部数」
電子書籍には印刷製本の必要がないので、「発行部数」「初版」「増刷」がありません。
ネット上で管理されているため、ダウンロード数が正確にカウントされます。したがって、電子書籍の部数とは、実際にダウンロードされた回数(実売部数)を示します。
(実売部数のため、著者には実数を把握することが難しくなっていますが、発行元にはAmazonなど配信会社から実数データが届いています)。
●印税
電子書籍の印税率は、出版社の関わり方や配信業者により様々なケースがあります。
一般的には、印刷製本の費用がかからないため、紙媒体書籍よりは高く設定されている場合が多いようです。
ただ、これも幅が大きく、発行元によっては、紙媒体書籍と同程度ということもあります。
・印税の計算
価格×実売部数×印税率で算出されます。
●支払い方法・支払い時期
・出版契約書の確認
印税が実売部数で計算されるため、金額が少額のこともあります。
この点から、支払い方法(時期)は、発行元によってちがいがあります。支払い方法(時期)については、出版契約書に記載されていますから、確認しましょう。
印税が一定の金額を超えなければ、次期の支払いに繰り越されることもあります。このようなときでも、部数確認をするとよいでしょう。
●出版契約書
・紙媒体書籍とは別の契約
最近では、紙媒体書籍を出版するときに、同時に、電子書籍の出版する場合が多いようです。
その場合、紙媒体書籍と電子書籍の出版契約書は別にすることができます。
一括で契約すると、電子の契約が紙媒体の権利をしばってしまうこともあります。
《例》
紙媒体が「絶版」扱いになっていても、電子の契約が残っていて、引き上げられない。
発行元が一括で求めてきても、「紙と電子の契約は別に結ぶ」ことをおすすめします。
なお、あとから電子化するという場合は、新しく電子書籍の契約を結ぶことになりますから、このかぎりではありません。
・著者がホームページを持っている場合
出版契約書に以下の項目を加えるよう要請しましょう。
「著者は、著者自身のホームページで本作品の文章を使用することができる」
これを加えておくと、ホームページで自作の紹介、宣伝を自由におこなえます。
はじめに
著作権とは
わたしたちが著作権法に出会うとき
原稿料と印税
作品使用についての申し込み書
著作権関係団体
著作権管理業務を行っている著作者団体
広報・普及などの団体・関連官公署
チェックポイント
著作権ガイドQ&A
一般社団法人 日本児童文学者協会
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