平和を考えるために今子どもたちに手渡したい本 第一回 西山利佳さん
こんにちは。
2024・2025年度「子どもと平和」の委員のひとり、西山利佳です。
朽木祥新委員長発案で、「平和を考えるために今子どもたちに手渡したい本」を委員が紹介していくということになりました。それを基本形としながら、紹介したい本やイベントなどがあったら、随時自由にアップしていきましょうと呼びかけられています。メンバー(朽木祥、小手鞠るい、指田和、繁内理恵、中澤晶子、長江優子、西山利佳、はらまさかず、村上しいこ)それぞれから、ユニークな提案も出ていますので、今後よろしくお願いします……って、委員長を差し置いて、なんだかすみません。
初回、いきなり自薦でございます。
古田足日・米田佐代子・西山利佳編著『わたしたちのアジア・太平洋戦争』全三巻(童心社、2004年)わたしたちのアジア・太平洋戦争 (doshinsha.co.jp)
刊行からちょうど20年目にあたるのだなぁと、書きながら感慨にふけってしまいます。
小学校高学年ぐらいから読めるように作った戦争体験集です。戦争体験を、たとえば被曝したその日のことと限定して考えるのではなく、その後の人生を含めたものとしてとらえ、各巻冒頭に長い原稿をおいていること、日本の加害も子どもたちに正面から伝えていることなど、意欲的な企画に編集委員のひとりとして加えていただけたことは、私にとって大事な体験となっています。(「戦争を知らない」世代の私が、最初に古田さんから求められたことは、その当時出ていた子ども向け戦争体験集を片っ端から読んで、何に目をとめたか報告することでした。)
この企画の中心であった古田足日さんは、当会会長も務めた児童文学作家・評論家です。昭和2年生まれの古田さんが自らの子ども時代を振り返った「忠君愛国大君のため 僕はアジア・太平洋戦争のなかでこうそだった」が第一巻に収録されています。まずは、この一遍だけでも、児文協会員のみなさん、子どもの本にかかわる方々には、お読みいただきたいと強く思います。子どもの本にかかわる私たちが、なぜ平和をもとめ、考え、書き、語るのか……根っこを確認させてくれます。
その、古田さんが亡くなって10年。『おしいれのぼうけん』出版からちょうど50年。9月29日まで神奈川近代文学館において「企画展 古田足日のぼうけん」が開催中です。
<神奈川県横浜市>「没後10年 古田足日のぼうけん」神奈川近代文学館にて開催! – 童心社 (doshinsha.co.jp)
ということで、9月早めに書きたい!と手を挙げたのでした。
他に「手渡したい本」として朽木委員長のアンケートに回答したのは以下の通り。長くなってしまうので、書誌情報のみ列挙しておきます。
*日本児童文学者協会編「おはなしのピースウォーク」全6巻、「文学のピースウォーク」全6巻 (新日本出版社) おはなしのピースウォーク (jibunkyo.or.jp)
*宇野和美、さくまゆみこ、土居安子、野上暁、西山利佳編著『明日の平和をさがす本 戦争と平和を考える絵本からYAまで300』(岩崎書店、2016年)
*指田和・文、鈴木六郎・写真『ヒロシマ消えたかぞく』(ポプラ社、2019年)『「ヒロシマ消えたかぞく」のあしあと』(同、2022年)
*二見正直『もっとおおきなたいほうを』(福音館書店、2009年)