122、地震のこと、小島よしおさん、そして“作曲”のこと(2024,1,5)

理事長ブログ

【元旦の地震に】

・今年初めての理事長ブログ、「新年おめでとう」と書きたいところですが、元旦の北陸地方での大地震、大変なことになりました。もっとも被害の大きかった珠洲市は「9割方全滅」との報道。珠洲市は、かつて協会北陸支部の事務局を長く務められた作家の橋本ときおさんが住んでいらした所で、まさに“温顔”の典型のようだった橋本さんのことを思い出さずにはいられませんでした。ご家族の安否も気がかりです。被災された方には心からお見舞いを申し上げます。

火災の画像を見ながら、阪神淡路大震災のことを思い出しました。あれも一月でした。ただ、北陸の寒さは別格です。とりあえず、一昨日常任理事にメールをして、正月休み明けに会員に送る機関誌と会報号外に、北陸4県の方には、お見舞いの文書を同封することを決めました。なにしろ会報号外(毎年、新年に送ります)は旧年中に作ったものなので、「新年おめでとうございます」というような文面になっていますが、その点はお許しいただかなければなりません。

【小島よしおさんが……】

・さて、というふうに、話題を切り替えるのは心苦しいのですが、昨年の最後のブログ更新(12月26日付)からのできごとを二つばかり。

「小島よしお」さんと言われて、ピンとくるかどうか。これがむしろ新聞のテレビ番組欄とかならすぐわかるでしょうが、僕のブログには出てきそうもない名前なので、「そんな作家、いたっけ?」などと思われた向きもあるかもしれません。「そんなの関係ねぇ」の小島さんと言えば、もちろんおわかりですね。その小島さんが、どうしたのか? 12月28日に、協会の事務局にいらっしゃいました。なんのために? 入会申込書を出されるため。 どこへの入会申し込み? もちろん我が日本児童文学者協会への入会です。

・11月あたりだったでしょうか。家の光協会の編集者の近井さんという方から、僕宛に一冊の本が送られてきました。近井さんは、かつて同協会発行の子ども向け月刊誌『ちゃぐりん』の編集担当で、僕はこの雑誌に毎号本の紹介記事を書いたり、掲載記事を対象にした読書感想文コンクールの選者を務めたりしていて、お世話になった編集者です。送られてきたのは、『最強無敵の雑草たち~10歳から学ぶ植物の生きる知恵~』という本で、「雑草生態学」が専門の稲垣栄洋さんと小島よしおさんの共著。お二人の掛け合いのような形で、雑草の生態が語られています。

この本に小島さんの名前があることは、僕にとっては意外ではありませんでした。というのは、小島さんは数年前から上記の『ちゃぐりん』誌に毎号登場して、「ピーマンのうた」とか「ごぼうのうた」などを作って、言わば子どもたちに農業を身近に感じる“大使”のような活動を続けておられるからです。上記の読書感想文コンクールでは、「小島よしお賞」というのもあります。

・この本が届いて少しして、会員の指田和さんから、メールがきました。実は、今ノンフィクションの分野で活躍されている指田さんは、かつて『ちゃぐりん』の編集者で、僕はその頃からのお付き合いです。メールの中身は、近井さんから指田さんに、小島さんが児童文学者協会への入会を希望しておられるが、どうでしょう、ということでした。びっくりはしましたが、もちろんうれしいことです。

ということで、今回の入会申し込みになった次第です。小島さんは絵本も出しておられますし、ユーチューブなどでも子どもたちと積極的に交流しているので、こちらとしては大歓迎ですが、当協会は時に政府批判の声明を出すような団体ですから、芸能界にいらっしゃる小島さんが、その点大丈夫かな、というのが、僕の側のやや余計な心配でした。近井さんによれば、そのあたりも織り込み済みで入会を希望されている由で、一月は理事会がないので、正式には二月からになりますが、小島よしおさんが協会会員に加わります。

・12月28日は、午後から千葉の書店で上記の本の宣伝のキャンペーンがあるということで、3,40分の滞在でしたが、いろいろお話しできました。小島さんは早稲田大学教育学部の国語科を出られていますが、在学中からお笑いのグループを組んで活動していたこともあり、教職は取っていないということ。ただ、(これはネット情報ですが)小学校の先生になるのが夢だったということですから、これから大いに子どもたちに夢を与える仕事をしていただければと思います。

【そして、“作曲”の話です】

・もう一つ、というか、僕にとっては年末のやや大仕事がありました。以前に書いたと思いますが、詩人の小泉周二さんを囲んで、泊りがけで冬のあんこう鍋を楽しむ会というのがあり、僕も数年前から仲間に入れてもらっています。コロナで中断していましたが、去年再開し、その会食の際に、僕は“宣言”とまでは言いませんが、小泉さんの詩に曲をつけるのが夢、というようなことを話しました。ご存じの方もいらっしゃるでしょうが、小泉さんはご自身の詩を歌うコンサートを開いたり、CDも出されています。彼の詩のファンでもある僕は、以前からそういう夢がありましたが、2020年に出た小泉さんの第七詩集『たたかいごっこ』(四季の森社)の解説を書かせてもらったので、余計にそれを実現したいと思うようになりました。それで、この一月に、またあんこう鍋の会があり、その前になんとか、とあせったわけです。

・改めて詩集を読み返して、候補になったのは二つの詩。「たいくつ」と「サザンカ」です。ただ、「サザンカ」の方は、相当にいいメロディーでなければだめだけれど、「たいくつ」の方はリズムでなんとかごまかせるような気がして、チャレンジしてみました。29日の夜に一応楽譜にしてみて、その日の夜にアマゾンでピアニカを注文し、30日に届いたピアニカで楽譜を確認しました(便利な世の中です)。そして1月1日に楽譜を清書して、小泉さんに送りました。

曲を作ったのは、小学校の教員の時以来でしょうか。オリジナルの劇の中の歌を作って、子どもたちに歌わせたりしました。半世紀近い前のことです。今回、勢いでやってしまったものの、小泉さんがどういう反応を示すか。ちょっと怖い……。

ともかく、本年も理事長ブログをよろしく。