公開研究会「児童文学と子どもの権利~子どもにとって「いちばんいいこと」ってなんだ~ (森埜こみち)

研究部

公開研究会は、講演とシンポジウムの二部構成でおこなわれました。

 

講演は、増山均さんによる「子ども文化と子どもの権利を考える ―子どもの権利条約第31条に注目して―」。
子どもの権利条約31条は大雑把にいうと、子どもには、ぼーっとして休息する権利があり、夢中になって遊ぶ権利がある、というものだと理解しています。増山さんの講演のなかで、わたしがもっともドキリとしたのは、授業中の生徒の集中度を把握するために、生徒の左手首にリストバンドをつけて脈拍を計っている、そういう実証実験がおこなわれているということでした。

わたしは、授業中の居眠りが得意な子どもでした。とくに水泳の後がいけない。どうしたって眠くなるのです。すわったまま眠りました。先生にはバレていないと思います。注意されたことはなかったので。

でも、リストバンドをつけされられたらバレますよね。いやだなというのが最初の印象です。居眠りがバレた後、どうなるんだろうというのが、つぎに思ったこと。注意されるんだろうか? それとも、眠くなったわたしをも起こしてくれる楽しい授業が始まるんだろうか。授業が楽しくなるのはいいけれど、でも、そのためにリストバンドをつけさせられるのは、やっぱり、いやだな。

増山さんには語るべきことがたくさんあり、わたしたちには知るべきことがたくさんありました。90分があっという間に過ぎてしまいました。もっとお聞きしたかったのに残念。

 

つぎのシンポジウムはじつに刺激的でした。登壇された四人の作家や翻訳家のスタンスや考え方に差異があるからです。その差異が緊張を生み、自分ならばどうするだろうと考えずにはいられなくなったのです。いま、あらためて思います。差異があってよかった。それが当たり前のことだし、状況を多角的に見ることの大切さを教えてもらったように思います。