「今の児童書 私の推し」第2回  田部智子

子どもと読書の委員会

「今の児童書、私の推し」第2回は、しめのゆきさんからバトンを受け取った田部智子が担当します。

第1回目、しめのさんの押し本は、おおぎやなぎちか著『ヘビくん ブランコくん』(アリス館)でしたね。わたしもブランコくんにのったら、ヘビくんみたいに空を飛べるかな?

さて、私の推し本はこれ!

『YA! ジェンダーフリーアンソロジー TRUE Colors トゥルー・カラーズ』(講談社)

「Peony」鎌谷悠希(漫画)

「女子高か、共学か。それが問題だ!」 小林深雪

「チョコレートの香りがするね」 にかいどう青

「チキンとプラム」 長谷川まりる

「いわないふたり」 如月かずさ

「羽つきスキップ」 水野瑠見

「いつかアニワの灯台に」 菅野雪虫

以上7人の新進気鋭&実力派作家によるアンソロジー、おもしろくないはずがありません。

「ジェンダーフリー? トレンドワードだし、押さえておきたい大事な分野だけど、どうアプローチしたらいいんだろう。難しくない?」と二の足を踏んでいるあなた!

ぜひ表紙を開いてください。

ここに描かれているのは、異次元でも、異世界でもない、リアルに今を生きる中学生たち。

特別な存在ではありませんが、それぞれが瑞々しい感性を持った、若い命の物語です。

例えば……。

ミッコに寄せるピュアな恋心。でも関係を壊したくないから、今はそれをぐっと抑え込んでいる、心が女子のアユ。

「一緒にお風呂入ろう!」。中学生になっても、そんな冗談を仕掛けてくる父親に嫌悪感を持つ自分を嫌悪してしまう、家族思いのすもも。

クラスの女子の落とし物を手渡そうとしたら、それがナプキンだったことから大騒動! 戸惑いながらも生理を理解しようとする、オクテの大希。

特別な事情を抱えていても、いなくても、わたしたちのすぐとなりには、頭を悩ませたり、心を痛めたり、胸をときめかせたりしている子どもたちがいます。

「今」を切り取った採れたて新鮮な物語に、ぜひ心を揺さぶられてください。

 

次回9月の担当は、いとうみくさんです。さて、どんな本かな?

お楽しみに!