第17回「絵本テキスト大賞」入選発表
日本児童文学者協会と童心社は、昨年に引き続き「第17回絵本テキスト大賞」の作品募集をいたしました。応募総数は1084編(Aグレード 506編、Bグレード 578編)でした。たくさんのご応募をありがとうございました。応募作品は7月から8月末にかけて1次選考を行いました。1次選考通過作品としてAグレード28編、Bグレード36編を選びました。
9月24日、童心社にて2次通過作品を選び、そこから最終選考に向けて議論いたしました。最終選考に残った作品は、
Aグレードは、「かにさされたろう」(黒木ハナコ)、「おおきなかみであそんでみた」(くろかわなおこ)、「おおどろぼうのたこちょうた」(やすいけのりこ)、「みんなでシンクロ」(稲葉友樹)の4編でした。
Bグレードは、「「雨やどり」(しが たつる)、「きつねのおめんのこ」(神田雄輝)、「おわりの船が通る日に」(恩田濔治)、「新八とろくろっ首」(及能 もい)の4編でした。
毎回議論に上がっていたAとBのグレードを意識せずに書いている作品が多いということについては、まだ若干、見受けられますがだいぶ改善されています。その上で、子ども読者が、読んでもらった時の楽しさやうれしさを意識して書いているか。子どもの日々の生活を作者がきちんと感じ取ったベースの上での面白さの発想か。ラストをどう着地させるか。軽くまとめていないか。格闘しているかなど、もうひと頑張りを期待する選考委員の声も書いておきます。そんな議論を経て、今回も大賞は残念ながら見送りとなりました。
優秀賞 Aグレード「おおきなかみであそんでみた」(くろかわなおこ)
優秀賞 Bグレード「おわりの船が通る日に」(恩田濔治)
A 、Bグレード共に、優秀賞一点ずつでした。
Aグレード優秀賞の「おおきなかみであそんだら」は、楽しい発想で、文章にリズムがある。さらに作品として広がりの可能性も感じるということで選ばれました。Bグレード優秀賞の「おわりの船が通る日に」は、抒情性の中に豊かな物語が膨らんでいく予感を感じた作品でした。この賞は未来へ向けて、新人作家の登竜門として書き手を応援しています。なお一層、言葉にこだわり、絵本そのものをもっと学んでいただけたらと思いました。
次回もご応募くださいますよう、選考委員一同、新しい書き手の誕生を心待ちにしております。
◆主催 日本児童文学者協会/童心社
第17回「絵本テキスト大賞」選考委員
内田麟太郎、加藤純子、浜田桂子、橋口英二郎(童心社取締役 編集長)