会報部員の作品をご紹介!
師走となり、急に慌ただしさが増しましたね!
会報部4年目の岡沢ゆみと申します。
今日は、この1年間に刊行された会報部員の作品を、抜粋してご紹介いたします。
●『や・い・ろ・の』
まずは、いまたあきこさんの『や・い・ろ・の』(文研出版より1月刊行)から。
田舎から都会の学校へ転校してきた大樹は、クラスメイトからなまりをバカにされてしまい、しゃべれなくなってしまいます。
そんな大樹が下校途中に見つけた竹藪のなかにたたずむ古い建物には、いまにも消え入りそうな文字で、「や・い・ろ・の」と書かれた看板がかかっていて……。
いかにも不穏な看板です。勘のいい方なら、もうおわかりでしょう。
実はそこには陰陽師がいて、ドキドキするような展開が待っています。
自分だったらどうするだろう?
そんなふうに考えさせられるおはなしで、読後感は爽快です。
最後に大樹が気づいたことが素敵です。
●『線路わきの子やぎ』
2冊目は、にしかわとよこさんの詩集『線路わきの子やぎ』(銀の鈴社より3月刊行)です。
わたしにとって詩は、子どものころには身近な存在だったのですが、おとなになるにつれて疎遠になってしまいました。
そんなわけで、少しかしこまった気持ちでページをめくり始めたのですが、一つ、二つと味わうごとに、そんな張りつめた気持ちはすぐに緩みました。
西川さんって、こんなユーモラスな詩を書く人だったんだ! とびっくり。
きっと、お読みになればみなさんも、にやりとする瞬間が幾度とあるはず。
なかでもわたしは「昆虫警察 午後三時」がお気に入り。
詩人のまなざしって、やっぱりすごいなぁ、素敵だなぁ、と感心しきりです。
1、むしのうた
2、生きものたちのうた
3、植物のうた
4、地球のひとりごと
と、4つの章がありますが、ユーモラスな詩が続いたあとに、地球のひとりごと では、ズシリと考えさせられました。
●『アリゲーターガーは、月を見る』
最後に、山本悦子さんの『アリゲーターガーは、月を見る』(理論社より5月刊行)をご紹介します。
お城のお堀にひっそりと一匹だけで生きているアリゲーターガーという巨大魚。
おそらく誰かが捨てたであろう外来種のガーは、人々に怖がられ、駆除を望まれる存在です。
そんなアリゲーターガーに引き寄せられるように出会う少年少女3人は、それぞれに大きな悩みを抱えています。
ガーを救おうとすることで、3人は自らの悩みと孤独に向き合うことになります。
月と孤独という取り合わせがとてもいい!
読み始めてすぐに作品の世界観が見えてくるのは、さすが山本さんです!
わたしは、「孤独も悲しみも、そんなに悪いものじゃないですよ」といった、物語で唯一おとなである後藤さんは、どんな人生を送ってきたんだろう、と思いを馳せました。
最後は希望のきざしを見せながらも、せつなさが漂う珠玉の作品です。
みなさま、今年も大変お世話になりました。
次号の「Zb通信127号」は、来年3月10日発行予定です。
どうぞご期待ください。
来年も引き続き会報部をご支援いただけますよう、よろしくお願い申し上げます。
(岡沢ゆみ)


