9・10月号の感想  福原英博

『日本児童文学』編集部

 9・10月号のP10「胡蝶の夢の果て」たからしげるさんの短編が印象的でした。現実と夢のパラレルワールドのような世界感に考えさせられました。
 交通事故で母子家庭になった主人公の現実が夢になり、夢が現実になった。そして母子家庭の厳しさ、寂しさからの解放と幸福感がにじみでている作品でした。
 世界では、2022年2月から始まったロシアによるウクライナ侵略下の悪夢のような現実が今も続く。2023年10月から始まったパレスチナ・イスラエル戦争下の悪夢のような現実が今も続く。
 避難先の子供たちは、今どのような夢を見ているのであろうか。家族や友人そろっての誕生日会をする平和な夢であろうか。
 悪夢のような現実が夢で、夢だと思っている世界が現実になって欲しい。

                                  (東京都 ・福原英博)