7・8月号の感想 櫻井ひろこ
戦後八十年の夏、特集「記憶を残すという文化」というテーマが感慨深かったです。冒頭の白根厚子さんの詩には今なお続く紛争を重ね合わせて、井上良子さんの詩には、ご家族が体験し背負ってきたものから今につなげる使命を感じました。
繁内理恵さんと編集部の対談の中で、朽木祥さんの作品からの引用に「そしてなによりも傍観者になるな」というところがあって、「共感共苦」を感じる人にどういうふうになるかという繁内さんの言葉に背筋が伸びる思いでした。また、古田足日さんの「体験の思想化」のことも興味深く読ませて頂きました。評論集「戦争と児童文学」ぜひ読ませて頂きたいです。
日本児童文学を読んでいて、毎回、出会った方との再会にドキっとしています。それは、詩、創作やエッセイだけでなく、同人誌評の数行だったりします。
今回は、中澤晶子さんのエッセイでした。初めての広島で中澤さんのお話を伺った二十年前の夏の日を思い出し、ドキっとしました。
広島の原爆をチェルノブイリの悲劇を子どもたちへつなげようとする強い強い姿勢に感激した夏でした。