7・8月号の感想 のやまさよ
7、8月号の特集は「記憶を残すという文化」でした。繁内理恵さんへのインタビューで、「子どものときの記憶とかまなざしとかっていうのは、一番人間の芯にあるもの」という箇所が印象に残りました。繁内さんは、『彼岸花はきつねのかんざし』という朽木祥さんの作品の、「小さいものの視点から原爆をとらえる」姿勢に感銘を受けたそうです。
私も『彼岸花は~』を読みました。読んでいるうちに、幼いころの自分の気持ちを鮮明に思い出しました。
昔、祖母にきつねの話をしてもらったこと。非科学的なことを嫌う父から、「くだらない話をするな」と叱られたこと。「お父さん、本当はこの話がこわいんじゃないの?」なんて、ひそひそ話をしては父から怒られたこと。
本の中で、幼い私は也子と一緒に遊び、子ぎつねとおしゃべりをしました。そして、ある日を境にピカドンにあいました。
大きなものに、突然襲われて。突然、会えなくなった人たちがいて。子ぎつねにも会えなくなって。なぜ「化かされたい」と言わなかったのか、後悔をしている小さな自分がいます。