動画第六回目「作家が作家に…ほんまちひろ×加藤純子」全文起こし3/3 ラストまで
作家が作家にきいてみた おでんの具はなにがいいですか?
で、はじまったこのおでんプロジェクト動画。
この形で全6回をお届けしてきました。いかがだったでしょうか?
おでんの具を聞けるのも、ほんまさんのお話が最後!
次回以降も「作家が作家に」のおでんプロジェクト動画は続きます!
第7回目は第65回日本児童文学者協会賞受賞記念インタビュー!
「作家いとうみくの作家性・人間性にせまります」と、加藤純子さん(聞き手)。
ぜひお二人の対談、楽しみにしていてください!
インタビューの全文を3回にわけて掲載しました。前ふたつもぜひご覧ください。
※無断転載やご使用はご遠慮ください。
●ほんまちひろ×加藤純子(聞き手)
●『同声(混声)のための まちの音』(ほんまちひろ・詩 寺嶋陸也・作曲 音楽之友社)
◇動画作成/ほんまちひろ
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【むっつめの質問】
カ:ちょっとなんか作家と発想が違うっていうか、あの、その広がりの豊かさっていうのが、作家とまた違う感性っていうのがね、こう、詩とか絵をかく方っていうのは持っていらっしゃるんだなっていうのを、今日お話をうかがっててすごく思ったんですけれど。
あの……色への感覚っていうの、どういうふうに、こう、詩を書いたり、絵を描いたりするときに、大切にしてるのか? そこをちょっとうかがいたいなと。
ホ:あ。あの何年前かな、コロナの、ほんとうに、コロナ禍で何もイベントとかができなかった頃から、少し収まってきた頃に個展をしたんですね。で、あの「夕やけ」をテーマに、夕やけを年齢の数だけ描いたんですよ。40何歳だったのかな。まあ45前後。いくつだったかちょっと忘れちゃったんですけど、40何枚か夕やけを描いたんですよ。で、こういう、ちょっとまあ、こういうのとか。(絵を見せる)
カ:わあ! すてき!
ホ:こういうのとか。もうとにかくなんか似たようなものですよ。こういうの。
カ:それ全部、油?
ホ:油絵です。
ホ:であの、夕やけの日もあれば、曇り空の日もあれば。
カ:ああ!
カ:で、夕やけを毎日一枚しばらく描いてたんですよ。で、ほんとにいろんな色があって。黄色い色ってありますよね。空の黄色。ピンクもありますよね。青もあって、黄色と青があるということは、緑もあるんじゃないかと思って。でも、夕やけとか空の色で緑って、あんまりいわないじゃないですか。でも、色彩の感覚って個人個人のものだから。私は緑をみたいと思って、毎日夕やけをものすごい凝視してたんですよ。
カ:へえ。
ホ:そしたらこう、黄色と青の間に緑を感じる時があって。でも、それはもうなんていうんですか、その科学的にね、それがなんか光の分析とかで緑のジャンルなのかどうか、わかんないんですけど、私はあそこの部分は緑なんじゃないかと思って。緑を感じ取ったんですよ。
カ:うん。
ホ:で、それがすごいなんか、うれしかったんですよね。だから、その、ほんとに見え方っていうのも人それぞれで。ね、近眼もあるし、なんか老眼もあるし、もしくは目が弱視の方もいらっしゃるし、見えない方もいらっしゃるし。あと、もしかしたら私の詩からね、見えない方が、夕やけっていうものを感じることだってあるわけで。で、そういうのを考えると、あの、いろんな表現方法でものを作っていくというのは、とても楽しいことだなと思っているので。なんかこの分野に、とか、自分では限定しないようにしています。
カ:なんかやっぱり、それがこう、なんていうのかな。多面性を持ってるアーティストっていう、そのおもしろさっていうのが、あの、ちひろさんを支えてるんだろうなーって、お話しをうかがってて思いました。だから緑の夕日のうたも作ってほしいなあって。
ホ:ありがとうございます。そう、緑、だと思えば、緑だし。なんか、こう、黒いものを、みて、赤を感じるとか、あるじゃないですか。
カ:んん。
ホ:ね? なんか青空をみても、悲しければそれはモノトーンのグレーにみえるとか。その、自分の感覚を通して見た世界っていうのは必ずあって。もしかしたら、すごく鮮やかなものをみてるかもしれない。いや、もしかしたら今、その人はとてもこう、暗い世界をみてるかもしれないっていうのは、その人の中にある世界なので、私はそれをすごく大切に考えています。なので、あの、作品に触れて、読んだ方の中で、作品の、その景色が浮かぶということを、すごく大事に思うので、読んでくださる方に対して、とても、ありがとうございます、って思いますね。
【ななつめの質問】
カ:これからさらにやりたいこととかってあります?
ホ:今、なんか一生懸命、あの、手話もやっているんですけど、点字をやっていて。点字に取り組んでいて、これがすごい楽しい、なんていうんだ、なんか楽しいっていうか、嬉しいっていうか、点字に出会ってすごい幸せだなって感じる瞬間があって。やっぱり自分がこう、例えば私は詩を書いているので、で、こういう作品を私は書いてますって、やっぱり知っていただきたい、って思った相手に「ちょっと詩を書いてるんだけど、点字で打ったものをお渡しして、ご迷惑じゃないですかね」みたいのを、ちょっとうかがって。で、ちょっとこうお渡ししたりしたときに、自分が書いた詩、自分が点字で打ったものを、こうやってね、指で、こう、なぞって、すごく喜んで読んでくださったりした時の嬉しい気持ちって、あって。
で、あの。見えない方のために点字がある、っていうのももちろんあるんだけど。見えてる私が、知っていただくために点字もあるんだと思って。私の点字でもあるんだ、って、すごいその時感じたんですよね。でもそれって、なんか実際にこう、相手がいて、こう、やり取りがあってつかみ取ること、つかみ取った気持ちなので。なにか、出会う出会う、出会う人たちのおかげで、いろいろ学んだり、感じたりとかして、今日も生きてるなって思います。
カ:なんか今日は、お話うかがってて、ほんとうにあの、ちひろさんの豊かさっていうのは、こういう様々な視点、視点とか取り組みとか、そういうところから生まれてきてるんだなあっていうのを、しみじみと感じさせていただきました。もうほんともっともっとこう、ちひろワールドを広げていってほしいなあって思います。
ホ:ありがとうございます。
【やっつめの質問】
カ:あの、仕事に煮詰まった時とか、あの。まあ、なんかやりたくないなって思った時、気分転換っていうのは何をしていらっしゃいますか?
ホ:ぼんやりします!
カ:あー。ただ、普通に椅子に座ってぼんやりすると、こう。何かこう、うかんでくるわけ?
ホ:そう。
カ:あぁ。
【ここのつめの質問】
カ:それでは最後の質問です。おでんの具は何が好きですか?
ホ:昆布。ちょっと脇役みたいなのが好きなんですよ、たぶん。
カ:おもしろいわね。
ホ:でも、昆布って脇役なんだけど、でも昆布さんいなかったら、さみしい。
カ:おダシはでない。
ホ:そう、おダシでないし。そういうのに、こうちょっとこうキュンって。
カ:ああ、いいところに目をつけいる人だわねえ。すごい、それは。
カ:じゃ、ちひろワールドを、今日は堪能させていただきました。ありがとうございました。
ホ:ありがとうございます。
しめの:いかがでしたか? 夢みる時間を大切にしているというちひろさんのお話し、ほんとうにとっても素敵でした。
次回はスペシャル企画として、先日ですね、『真実の口』で第65回日本児童文学者協会賞を受賞された、いとうみくさんに、加藤純子さんが特別インタビュー。どうぞ、お楽しみにしていてください。
【プロフィール】
◇ほんまちひろ
詩画家。東京学芸大学大学院修了。作品には絵本『おむすびにんじゃのおむすび ぽん』『おむすびにんじゃのおいしいごはん』(ともに、リーブル)、詩の仕事に『ねこひげ ぴぴん』(ミース・ファン・ハウト絵/西村書店)、『同声(混声)合唱とピアノのための まちの音』(寺嶋陸也 作曲/音楽之友社)など。工作ワークショップや、手話通訳士の友人と絵本を使っての手話講座などに取り組んでいる。
◇加藤純子(かとうじゅんこ)/聞き手
児童文学作家。
主な作品に、「初恋クレージーパズル」「モーツアルトの伝言」「家庭教師りん子さんが行く」(以上ポプラ社)、「仕事でハッピー」シリーズ(そうえん社)、「勾玉伝説」シリーズ(岩崎書店)、「母と娘が親友になれた日」(ポプラ社)で産経児童出版文化賞、「超高層マンション、暮らしてみれば」(講談社)、「荻野吟子」(あかね書房)、「アンネ・フランク」(ポプラ社)など伝記多数。他、監修した作品集、単行本も多数。作家デビューして45年になる。日本児童文学者協会副理事長。
しめの:せーの。
全員で:またね~! ありがとうございます! またね~!