動画第五回目「作家が作家に…いとうみく×しめのゆき」全文起こし3/3 ラストまで

子どもと読書の委員会

動画の文字起こしを三回にわけてアップしていきます。今回はいとうみくさんインタビューの文字起こし三回目、ラストです。

今回は文字起こし第一回目(9月9日更新)のときに出題したクイズの答え公開です!

 

Q1)いというみくさんが、缶に集めているものは、なんでしょう?

→A)飼い猫ちゃんのひげです。動画の12分14秒あたりからをご覧ください。

 

Q2)今回話題にしている本の中に「ふえおとこ」なる人が登場します。この場合の「ふえ」とは、なんでしょう?

→A)トランペットです。動画の17分10秒あたりからです。

 

Q3)いとうみくさんは、「いわゆる猫好き」?

→A)いとうさん曰く「いわゆる猫好きじゃ全然ないんですね」。11分28秒あたりからどうぞ♪

次回は、おでん動画の編集を担当してくださっている、詩画家のほんまちひろさんのインタビュー。聞き手は児童文学作家の加藤純子さんです。お楽しみに!

(文=しめのゆき)

 

※無断転載やご使用はご遠慮ください。

●いとうみく×しめのゆき(聞き手)

●『つくしちゃんとながれぼし』(いとうみく・作 丹地陽子・絵 福音館書店)

 

◇動画作成/ほんまちひろ

 

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【3つ目の質問】

 

シ:3つ目の質問お願いします。

えー、作品執筆中にですね、ちょっと行き詰まったり、気分を変えたい時に、いとうみくさんはどんなことをなさっていらっしゃるでしょうか?

 

イ:えっとですね。もう、ほんとうにすみません、って感じの答えなんですけれども、詰まっているのが日常なんですね。

 

シ:さすが!

 

イ:基本的にそんなさらさら書けることがないので、だから私は、書けないときは、もう、しがみつくしかない、って思ってて。だから私、自分でノルマを決めているんですね。一日何枚書こうみたいな。何枚っていうのは、ちょっと教えないですけど。

 

シ:はい。

 

イ:何枚書こうっていうのは決めていて、そこまでは全然面白くないと思っても書くんです。だから翌日全部それ消しちゃう事もあるんですけれども。書いていると、見えてくる……、あ、これが違ったんだ、とか。あ、こういうことだったのかもしれない、みたいなのがわかってくるので。書けない時に気分転換は、基本はしないんです。

 

シ:さすが! 素晴らしい。

 

イ:そう、全然しなくて。えっと、だから、そうですね。しないですね。で、何だろう? あとは、そのほんとうは趣味みたいなものがあったりとかしたらいいなと思うんですけれど。私ないんですね。ほんとう、つまんない人間だなって、自分でも思って。

 

シ:いやいやいや、そんなことはないですよ。

 

イ:何かね、何やっても続かないんです、ほんとうに。それで、あの、何でだろうと思っていろいろ試すんですね。試すけど、本当に1、 2回でもう飽きちゃう。飽きちゃうっていうか、やる気がしない。これやってるヒマがあったらこっちやりたいみたいな感じがあって、できなくて。何でだろうなと思ってたら、私、あのデビューするのすごい遅かったので、40過ぎてからデビューして。なので、ずっと仕事しながら物語を書いてきたんですね。

 

シ:はい。

 

イ:なので。書くことが趣味だったんです。

 

シ:おお!

 

イ:もともと。その趣味が仕事になっちゃったので。ちょっとつらい面はあるんですけれども。でも、とても幸せなことだとは思っていて。だから、何か。趣味が仕事になっちゃったから、趣味が無いみたいな感じ。

 

シ:それはでも、幸せですよね。

 

イ:幸せな事ですよ。

 

シ:うんうん。

 

イ:ただ、やっぱりこう、辛くなっちゃうこともあるんですけど。そうですね。あとはね、仕事が終わった時には、飲むこと。お酒ね、それは。お酒飲んだりとかして。あの映画見たりとか。

あ! ごめんなさい。あとね。趣味ないって言いましたけど、本読むのはやっぱり好きなんです。だからどうしても詰まって……、あ、でもなあ、ん~詰まってる時は、とりあえずやるんですけども、とりあえず雑にでも仕上げるんです。ノルマが。

 

シ:ああ、なるほど。

 

イ:だけど、その後にあの、本を読んだりとか、人の書いた本ですよね。そうすると、何かこう、あの、あーこんな書き方してるんだなとか、私の書き方とは全然違うけれども。あ、こういう風に展開させてるんだなとか。何かそれが刺激になって、自分が書く時にちょっとこう、乗っていけたりってことはあるんです。

私、あの映画とかドラマも大好きなんですけれども、だからね、根っこが、物語がすごい好きな人なんだなって。

 

シ:あーすごい、いいですね。

 

イ:うん、そんな感じはします。

 

シ:素晴らしいです。素敵です。あの、そこにちょこっと猫が入ってきたりは、しないんでしょうか?

 

イ:しますします。猫の、あの遊びます、それは。でもね、仕事中、私、仕事部屋にはいれないんですね。パソコンの上とか乗ってこられると、仕事にならなくなっちゃうんで。だからあの、時間になると、何か体内時計があるんですかね、猫ちゃんたちって。

 

シ:ああ。

 

イ:もういいだろうって、ガリガリやって(ねこがむかえに)くる。

 

シ:さすが本能で知ってる!

 

イ:そうそうそう、だからあの、何かね、時間的にもちゃんとそれでうまく。あ、もうここからはあの、飲んで猫たちと遊ぼうとか。そういうのにはなりますし。そういう気分転換は、そういう猫と遊ぶっていうのも、ひとつはあります。

 

シ:なるほどです。いいですね。

 

【さいごの質問】

 

シ:では、最後の質問です。えー、もはやね、定番になってしまった最後の質問なんですが、いきます。おでんの具は、なにがいいですか?

 

イ:はい。辛子を多めにつけた大根です。

 

シ:おお~! 大根いいですよね。

 

イ:いいよね。

 

シ:味がしみてるとなおさら良いですよね、

 

イ:ね。あの厚切りの。分厚く煮たやつ。もう最高! と思って。

 

シ:辛いのは好きなんですか?

 

イ:辛いの大好きです。だからそれ、あの。何だろうね。それに何かね、大根って何か、私ノーカロリーだと思い込んでいるフシがあって。

 

シ:わかる。

 

イ:何個食べても大丈夫みたいな。

 

シ:大根とこんにゃく!

 

イ:そ! だから積極的にそれを取って食べるみたいな感じは。どっちも、辛子いっぱいつけて。

 

シ:いやー、おいしいです。

 

イ:はい。

 

シ:私も大好きです。

 

イ:はい。

 

シ:今日は、たくさん楽しいお話、そして私、個人的にすごい勉強になりました。ほんとうにありがとうございました。

 

イ:どうもありがとうございました。

 

押川:いかがでしたか? おしゃべりや本をとうして、いとうみくさんの素顔が見えてきましたね。いやあ、創作の秘密、ずいぶん楽しい話、興味深いお話がたくさん聞けて、ほんとうにありがとうございました。次回はほんまちひろさんの秘密に、加藤純子さんがせまってくださいます。どうぞ次回もお楽しみに。

 

【プロフィール】

 

◇いとうみく

フリーライターを経て児童文学作家へ。

『糸子の体重計』でデビューし、日本児童文学者協会新人賞受賞。そのほか『朔と新』で野間児童文芸賞、『あしたの幸福』で河合隼雄物語賞、『ぼくんちのねこのはなし』で坪田譲治文学賞を受賞。『かあちゃん取扱説明書』「車夫」シリーズ、『おねえちゃんって』シリーズなどが人気。近著に童心社から『あおのいえ』、双葉社から『蒼天のほし』など。全国児童文学同人誌連絡会「季節風」同人。

 

◇しめのゆき/聞き手

児童文学作家。元編集者。千葉県出身。神奈川県在住。主な著書に「ティアラちゃんシリーズ」全9冊(新書館)『美雨13歳のしあわせレシピ』『せっしゃ、なべぶぎょうでござる!』「マジカルピアノレッスン ピアノようせいレミーシリーズ」既刊2巻(すべてポプラ社)、『くびびじんコンテスト』(岩崎書店)ほか。日本児童文学者協会理事。「栞」「季節風」同人。

 

押川:せーの。

みんなで:まったね~!